服の設計士hagyの「服の見どころ・腕の見せどころ」vol.37~神は細部に宿る~
はじめてご覧の方、このnoteは服の型紙設計士つまりパタンナーである自分の「服に対する視点」を紹介しています
これを読んでいただき、服の選び方が少しでも変われば幸いと存じます
早速ですが、こちらをご覧ください
見ての通りただのベルクロ(マジックテープ)ですね
わかる人にはわかる、ってやつで
ここに一流の技が見て取れるのですが、わかりますか?
(Twitterで糸の継ぎ目がわからないくらいキレイとのリプライをもらいましたが、それもそうです!)
「神は細部に宿る」
なんてよく言われますが、
服作りにおいて、細部に様々な工夫が凝らされています。
細かすぎて伝わりにくい(?)一流の技
それをいくつか書いていこうと思います
目次
1.ベルクロの角落とし
2.バックルとめつけ
3.ポケットの角
4.タブのゆとり
5.フラップ裏の控え
6.ベルトの縫い目
1.ベルクロの角落とし
タイトルがほぼ答えになっているんですが冒頭の画像の正解は
角が丸くなっている、ことです。
何のためかというと、
ふつうはこのように角になっているものが多いと思いますが、
これだと指に刺さったりするんですよね。(皆さんも経験あると思います)
なので角を丸くしてあります。
しかし、丸くすると縫製の難易度が上がるんですよね。
だから、ここまですることはあまりないんですが、
知り合いの縫製士のKazamaさんは、こちらが指示していないのにコレをされてきて、シビれましたね!(Twitterアカウント要チェック=Kazama)
2.バックルとめつけ
バックルのとめつけとは
ここの部分ですね。
バックルが動かないように、ベルトのループを糸で閉じています。
閉じていないと
このようにピンが穴から抜けやすくなってしまいます。
地味なんですけど、急いでるときにピンが穴から抜けるとイライラしますよねw
3.ポケットの角
ポケットの袋なんですが、このようにポケットの袋のステッチが直角だと、角にゴミが溜まりやすいですが
(ポケットの袋をひっくり返すと、角にホコリがギッシリ溜まっていた経験はありませんか?)
このように丸いとゴミが溜まりにくくなります。
ただ直角のほうが少しだけ縫いやすいです(←作業効率)
4.タブのゆとり
これはコートの袖タブですが、角度を変えて見てみると
このように少し浮いています。
これワザとなんです。
これはわざとタブを5mm程長くして浮かしてあります。
なぜかというと
腕をとおすと内周と外周の差でちょうどの長さになるんです。
ちょっと浮かしてるなんて、まぁ誰も気付かないですよね。
5.フラップ裏の控え
これは服好きの人なら、わりと知ってる人も多いかな
ジャケットですね。
ポケットのフラップを裏返すと
裏地が2mmほど控えられています。
もちろん、これは裏地が表に覗かないためです。
表地を少しイセこんで縫うことになるので、キレイに縫うのは少々難しいです。(表側が大きくて裏側が小さいので)
6.ベルトの縫い目
ベルトのパターンは
このように表と裏がつながっていることが多いのですが(←作業効率など)
こうすると片方は縫い目あり片方は縫い目なしになります
どういうことかと言うと
こうなります。
で、このとき、縫い目ありを下側になるようにします。
なぜかというと、縫い目を下側にすると着用時に縫い目が見えずに見栄えが良いからです。
これも細かい技ですよね。
以上、いかがでしたでしょうか
アパレル業界以外の、一般の消費者の方は初めて知ったことも多かったのではないでしょうか?
どうすればもっと良くなるか?と先人たちがあくなき向上心をもって考えられてきた技です。
安い服だからどうとかなく、作業効率や工場のやり方によっても変わりますし、どこまで細かいところまでやるか?!みたいな話なんで、単純な優劣ではないので悪しからず。
このnoteを読み終えたら一度お手持ちの服をチェックしてみて下さい。
それでは最後までご覧いただきありがとうございます。
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