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服の設計士hagyの「服の見どころ・腕の見せどころ」vol.29~店頭に並べてはいけない?服のチェック項目~

お盆も明けてしまいましたね
あいかわらず蒸し暑いですがみなさまいかがおすごしでしょうか
最近、だいぶカレーの人ってイメージがフォロワーのみなさまに浸透してきて嬉しい限りですw
おすすめのブランドより、おすすめのカレー屋を教えるほうが得意ですw

はじめてご覧の方、このnoteは型紙設計士つまりパタンナーである自分の「服に対する視点」を紹介しています
これを読んでいただき、服の選び方が少しでも変われば幸いかと存じます

前回からだいぶ経ちましたが
今回はアパレル業界の新人さん必見!

これです
このような商品を店頭に並べておくのは、そこのブランドの信用とか評判を損なうことになりかねないので気を付けなくてはいけません!

われわれパタンナーは商品が全て仕上がったとき、抜き上げで何着か納品前チェックを行います
そこで上記のような不良が見つかれば縫製工場にそのような商品を納品しないように注意します
ところが何千・何万になると縫製工場でもさすがにすべては目が届かないのが現状です

そこで最後のセーフティネットとして店頭でのチェック、そして不良が見つかれば商品をひくことが大切になります

そこで、今回のお話

なにをチェックすればいいのか!?

はい、ざっと下記になります

1.滑脱
2.中希
3.ネップ
4.針穴・針跡
5.アタリ
6.糊
7.とびこみ
8.引き傷
9.鍵引き

では詳しくお話していきます

1.滑脱

この矢印の部分
縫い目が裂けてきてますよね?
これは生地が弱いことが原因です
縫い目を引っ張ってみてスルスルと裂けていくようでしたらアウトです
(多少裂けても元に戻るようなら特に問題はありません)

とくにパンツの尻ぐりが裂けると一大事なので、われわれパタンナーは検品の際、非常に注意を払います(裂けやすい生地は縫い目に滑脱テープを貼ったりします)

2.中希

中希とは一反の生地のなかで色味が異なる部分があることを言います
色味が異なると例えば上記のように身頃と袖でなんとなく違う色になってしまいます
(画像だとわかりづらいですが、下のほうが黄みがかってます)

3.ネップ

ネップとは生地にできた節のことです(矢印の糸玉みたいなの)
これを不用意に切ったりすると生地に穴が開くので注意です
ちなみに下の画像のような麻の入った生地は、生地の特性上そもそもネップがありますし、あえてネップを出している生地もあります(ネップ=悪というわけではありませんのであしからず)

4.針穴・針跡

これはそのままミシンの針で縫った跡です
間違って縫ったり、縫った糸が抜けてこうなります
当然ですけど商品に穴が開いてたらまずいですよね…苦笑
ちなみにだいたいの生地はプレスをすれば直ります

5.アタリ

プレスアタリですね
生地によってはアイロンをかけると矢印のように白くなります(縫い代のアタリです)
化繊系は光ったりします
わかりにくいですが下の画像もプレスアタリが出ています(縫い目の両脇)
一度あたりが付いてしまうとほぼ直らないのでプレスは慎重に

6.糊

生地に白いツブツブが付着しているのがわかりますでしょうか?
これは芯地の糊です
(芯地とは画像の白い布で、糊が付いていて生地に張り付けて補強する布です)
芯地を貼るときに生地と芯地を重ねてローラーに通します
そのとき糊がローラーに付着してしまって、その糊が次にローラーを通した生地に付着してしまうわけです
例えばシャツの衿先とか目立つところに糊が付いていたらクレームになりますよね

7.とびこみ

黒い線が見えますよね?
このように生地に関係のない糸などが混入することを”とびこみ”といいます
これも目立つところにあればクレームになります
ちなみに器用な人は上手く混入したものだけを抜くことができます

これはulcloworks代表の山本さん@HARUKUNI_Yから頂いた画像
カットソーのとびこみですね
よ~くみると黒い糸が混入しています

8.引き傷

生地を構成する糸が1本だけ抜けてできた線状の生地キズのことです
糸引きとも言いますかね
矢印部分に引き抜かれた糸が出ています
ちなみにこれは修理屋さんに出さないと直せません

9.鍵引き

これはulcloworksの山本さんから教えて頂いたのですが
カットソーにできた線状の生地キズです
生地を作る段階で機械の手入れ不良で起こるそうです
詳しくはこちらまで


以上、つらつらっと書いてきましたがおわかり頂けたでしょうか?

ここまで書いてきてあれですが、実際、裏地の目立たないところに少しくらい生地キズがあっても自分は気にせず着ますw
目立つところにキズや汚れがあるのは困りますが、
重箱の隅をつつくようにアラ探しをしてポケットの袋の中に少し飛び込みあった!とクレームを言いに行くようなことは勘弁してあげてくださいね!
良識のある読者のみなさんはそんなことない思いますが

一方で、ブランドの信頼を重視するなら、上記の不良箇所がある商品を出来るだけ店頭に出さないことも重要です

もちろん安かろう悪かろうで、多少不良部分があっても安いんだからいいでしょ?って売っているお店もありますし、お客さんも気にしない人はそれでいいと思います

ちなみにvol.26では縫製についてお話しているので、未読の方は合わせてどうぞ!

ではでは最後までご覧いただきありがとうございました



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