UNISON SQUARE GARDEN全曲の好きなフレーズvol.1【新世界ノート~Populus Populus】
全て暫定です。この機会にじっくり歌詞を読んでみようという試み。
新世界ノート
アナザーワールド
「なった」ではなく「鳴った」。
さよなら第九惑星
神秘的な空気感をまとったA、Bメロの歌詞を抜けた先に現れる「なんか」「言ってんの」という砕けた表現。
ここだけが口調として異端だからこそ、『強がってる』『消えちゃいそうな声』であることが強調されているように見える。
サーチライト
『新世界ノート』という名前のアルバムなこともあり、最初はノートが白紙になっている様を想像した。が、この曲のテーマが「灯台」であることを考えると、『線』とは水平線のことなのかもしれない。水平線の先に行ってしまったものは見えなくなるということを『続きはずっと白紙』と表現している?
ライトフライト
こういう時って「長針も短針も」と言いたくなりそうなものだけど、『秒針も短針も』なのが好き。もっとも時間をもっとも短く刻む針と、もっとも長く刻む針。
流星前夜
流星前夜
この曲は、歌詞カードにも歌詞が記載されていない。
ただ不思議なのは、実際に歌詞カードを確認してみてほしいのだが、曲名である「流星前夜」は、他の楽曲同様に書かれていることだ。けれどその下が不自然に空白になっており、背景の宇宙が目立つレイアウト。
つまり、「歌詞を見ようとしたら歌詞ではなく宇宙を見させられる」という現象が起こる。
『ひとり空を見』させられるのだ。……考えすぎかな?
フルカラープログラム
1A『それだってのに相も変わらずあなたは』は、語り手の視点から「あなた」が喋っている様を書いているようにも見えるけれど、こちらは明確に二人称小説のような語り口で書かれている。「世界と仲良くなる」というのは心象=内部の話であり、客観的な視点で「あなた」を見る形式では描けない話なので。
あと『高く跳んだ』ではなく『高く飛んだ』なの好き。
水と雨について
「明日晴れるのはため息のせいではない」という表現は、まず一般に「ため息には晴れをもたらす力がある」という理論があった上で、それを否定する形でしか発現しない。
これはまた別個で記事にしたいのだが、ユニゾンの歌詞は「ため息」という存在に攻撃力があることを前提にして書かれているものが多いなと思う。
2月、白昼の流れ星と飛行機雲
律儀に四つとも書かれているのが良い。何度も何度も飛ばしたんだろうなあ。
MR.アンディ
たぶん「この曲で好きな歌詞は?」とアンケート取ったらぶっちぎりで1位になりそうな一節なので、出来れば逆張って違う箇所を選びたかったけど、敗北 だって良い言葉なんだもんしょうがないじゃん
やっぱり「悩んでいる=夜」「悩みが解消される=朝」という図式が表現としては一般的で、それが創作における風景描写法のスタンダードだと思い込んでしまっていたので、この歌詞を聴いたときは目から鱗だった気がする。そうだよな、実際問題悩んでるかどうかと太陽の動きって関係ないよな。
流星行路
深呼吸を、たった1秒で……?
流星となった語り手には、もう時間の感覚が普通とは異なっているのかもしれないと、こういう細かい表現ひとつひとつに気づかされる。神は細部に宿る……。
UNISON SQUARE GARDEN
カラクリカルカレ
向きを変えたのがたった20度でも、走り続けているとどんどん元の軌道からはズレていく。みんなが正しい道を走っている中、自分だけは20度ズレた軌道を描いてコースアウトするから、絶対に1位にはなれない(金メダルは手に入らない)し、そもそもなりたくもない……ってことかしら。
センチメンタルピリオド
この歌詞の肝は鉤括弧だと思う。
鉤括弧で括られていることによって、語り手が自分自身に言い聞かせている、ある種の強がりのように見える。『みたいな』とあるけれど、全然『みたいな』ではなくて、自分そのもののことだろう。理想の自分のふりをしている自分と、それを『背伸び』と客観している自分が同居していることが、たったの二文で分かる。
だからこそ、今のユニゾンがこれを歌うと、「たった今自分に言い聞かせている言葉」だったものが、「過去に自分が言っていた言葉を思い返す回想録」に姿を変える。
サンポサキマイライフ
『つける足あとが最良のアンサー』『どれにしようかな、いや、この時点ではどれだっていいでしょ』あたりもそうだが、この曲の歌詞は執拗なほどに「先のことが全部分かるなんてつまらん」を謳っている。全部なんか分からなくたって、見据えるのはたった三歩先で充分。
デイライ協奏楽団
今の時代にこういう歌詞出したら野次馬によって炎上させられそうなので2000年代のうちに出ていて良かった
等身大の地球
『悪魔の槍』という非現実的で不穏な言葉を出した上で、『財布を落としちゃう』というただの日常的な事象に着地させる。セカイ系の作品のやり口だろこれ。
WINDOW開ける
「優しくないぞ」みたいなノリで「厳しくないぞ」って言う。楽しいのが一番という価値観がこの時から変わっていないことがよく分かる。奇音怪音不穏のオンパレードみたいな曲なのにポジティブなのが良い。正気のまま狂気をやっている
マスターボリューム
『悩んでないのに朝が来て~』シリーズ。心象と現実には誠実なほどに乖離がある。
いつかの少年
対比構造または類似構造なので二つ抜粋。
上は『飛んで』であって『飛んでて』ではなく(=現在進行形で動いている)、下は『落ちてて』であって『落ちて』ではない(=既に動作が終わった状態)。
箱庭ロック・ショー
かっこいい………………(恍惚)
クローバー
「君」と「あなた」を別人物とするか、同じ人物をまず「君」と言った上で「あなた」と誠実に言い直しているのかで味わいが変わります。
JET CO.
メッセンジャーフロム全世界
前人未踏固定観念ってなんだよ 固定観念は前人未踏ではないだろ それとも区切り方が違って、「前人未踏! "固定観念の謎"」ってことなのかな UMAとか探すテレビ番組だ
あと歌詞カードでは「観念」のはずが歌は「概念」と歌われてるっぽいんだけど、これは歌詞が誤字なのか歌がミスなのか、はたまたそういう表現なのか……。
コーヒーカップシンドローム
傘がただのアクセサリになるのってふつう晴れが続いたときじゃね?という引っ掛かり。雨の日ならむしろ実用性バリバリのはず。
個人的には『青い傘』=青空だと解釈していて、これなら雨で台無しになるのも納得できるんだけど、実際これどういう意味なんだろう……?
チャイルドフッド・スーパーノヴァ
この歌詞って香川県の公演で歌ったら変な意味出るのかな
そういえば自分は"ボス戦"って言葉どこで覚えたんだろうなあ。ゲーム内に出てくるワードではないし、親から聞いた記憶もないし。攻略本とか?
cody beats
空白の美学。
ひとつひとつ誠実に確認していくような情景が見える。
気まぐれ雑踏
雑踏の音といい、『遊園地』の要素を一番色濃く感じる曲。
アルバムのテーマを5曲目で回収するやつ、最近のアルバムだけかと思ってたけどこれもなのかしら。
キライ=キライ
ジャケットにもある風船を思い起こす一節。
風船の視点から人や物を見下ろしてその大小がわかんないのか、下にいる人物から見て高く昇った風船の大きさがわかんないのか……。
ライドオンタイム
このアルバムで一番明るい言葉だと思うし、決して綺麗事のつもりで言っていない、または綺麗事だとしても諦めない強さを持っていると思う。
meet the world time
?????????????????????????????????
夜が揺れている
ひとつも解釈が浮かばないけどなんか好き。
憧れって色があるんだ……。
その憧れは「君」のものなのに、僕が預けるんだ……。
アイラブニージュー
文字の解釈ばかりしてすみません、という気持ちに……。
スノウアンサー
『時として』は「in some cases」と「as the time」のどっちの意味なんだろう。前者なら「時計はたまに不親切になって時間を刻まない」だし、後者なら「不親切になった時計は時間を時間として刻まない」の意味になる。
23:25
とにかく語感が好き。
『あって』ってどういう字だろうね。「合って」「会って」「有って」「在って」……。
Populus Populus
3 minutes replay
『中心は僕で、そして君』。自分の人生は自分のもの、ということを歌うアーティストはとても多いけど、こんなに簡潔でビシッと決まった言い方はそうそうない。
kid, I like quartet
音のハマり方が気持ちいい。
シャイだけど自分の好きを信じている子供を、暗くても輝く夜桜に例える。『夜桜』というワードはタイアップ先から受けているものであるが、それをここまで見事な比喩に落とし込むとは。
プロトラクト・カウントダウン
ここの斎藤さんの歌い方、他の曲で似たようなのあったっけ? この曲が唯一無二な感じがする。
きみのもとへ
上のブレイクは「壊す」、下のブレイクは「休む」の意味かなとぱっと見は思うし、逆でも面白いなと思う。
僕らのその先
天才。
自分だけが改札を通れずため息だけが抜けていく、というシチュエーションだけで既にもののあはれを感じさせるが、言葉が短く区切られていることもまた表現に一役買っている。「改札が閉まる」ではなく『改札 閉まる』、「後ろがつかえる」ではなく『後ろ つかえる』。
スカースデイル
初めて聴いたときは作詞作曲者による違いが分からなかったけど、XIIXなどで斎藤リリックによく触れるようになってから改めて読むと、なるほど田淵からこの歌詞は出ないなと思う。
ワールドワイド・スーパーガール
一発で『彼女』のキャラクターが分かる。
この曲の、とにかく『彼女』の魅力について描写した上で折に触れて語り手たる『俺』が出てくるという構図、ライトノベルとかの常套手段である。
CAPACITY超える
わかる(共感)
わざわざ『プディング』と呼ぶのがいいですよね 小癪で
場違いハミングバード
久々に音源聴いたらBPM遅すぎてバラードかと思った
『鳴くから』の後にリードギターが入って、その後に『ラララララ』と謳い出す構成が良い。ギターも鳴いています。
カウンターアイデンティティ
『真似』ではなく『サンプリング』。
神への反抗というスケールの大きい話をしていた中で現れる『生活』の一語が光る。
未完成デイジー
広義でのプロポーズソングの中に差し込まれる幼さ。
また、大人になるといっても、公園で遊ぶこと自体をやめるのではなく、あくまで乗る遊具を変えるだけというのが良い。
オリオンをなぞる
この曲をきっかけにバンドとしての闇期を脱した、ということを考えると、その最後の節で綴られる言葉がこれなのは、出来過ぎなほど出来過ぎているなと思う。十分適度にどころか、あまりにもドラマチック。
シュプレヒコール~世界が終わる前に~
UNISON SQUARE GARDENの経歴を物語にまとめるなら、ここが第一章のラストだろう。
『新世界ノート』から始まった虹色のロックンロールが、ここで一度目の結実を果たす。
感想は各フレーズ一文で書くつもりだったのだが、無理だった。おかげで全曲やろうとすると白目を剥く文章量になるため、とりあえずここまでを記事のvol.1とし、一旦投稿することにします。
vol.2はこちらから↓