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田中愛子になれない
文才なんてカスだし、媚びる為に分かるふりしなくていいカモ、健気だね。
覚めちゃう、醒めちゃう。
身内だからね、の擁護君にはまだ適用されないよとか言ってしまう陰湿さ。
こわい、怖い冬の夜は小さくまるまって眠りの縁と縁、漂うみたいに円を描こう。
生活は思ったよりも彩りが少ないということ。
家コンビニ家コンビニコンビニコンビニ近くのスーパー。
住んで二年目杉並区、最近いつも使っているスーパーより近いスーパー見つけちゃった。
きゃは、えへへ。
益々出なくなるじゃん!ってつつかれる度、
本当は大好きな秘密を嘘と押し隠して飲み込んだ。
菜箸から伝う黄身が沸騰した透明なシャボンに飛び込んで繊細な模様を描く。
フォークの 4 で付いた痕を隠すみたいにササミ肉を片栗粉へ馴染ませる。
きらい、きらい、きらい、きらい、きらい。
大好きの反対は無関心だって、嫌いじゃないって。
じゃあこのきらいは何なの。
満たされない渇望が、行き過ぎた欲は私の首を絞める度呼吸は希薄になる。
スカイツリーが白に光ってたよ、雪みたい。
黒髪で尖ってて、私みたいだったら誰でもいいのかよクソが
私は私へと収集され、それはやがてひとつの概念へと固まり象を描く。
その群勢の1人だったら誰でもいいのかよ。
プリンター、フリーター。
唯一無二は存在が無いから光る。
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田中愛子になりたい女の子がいた。
もう遠い昔みたいに感じる。
先日、丁度その話をしたから思い出した。
夢にも出てくる。もう会えないのに、もうでてこないで欲しい。
夢の中の私は変わらず、バカみたいな媚びを売って恐る恐る機嫌を取っている。
顔には何も書いてないのに顔色を伺ってしまうのは多分小さい頃からのくせで、痛みで。
あなたは優しかった。
誰に対しても慈しみ、平等で平穏だった。
でもそれは誰に対してもどうでもよかったからだと言う事実、大人は歪む。
「みんなプンプンには簡単に慣れるのに、田中愛子にはなれないんだよね」
あの子が寝起きの顔で柔らかく伝えるわらえない現実。
絶望的に愛することは出来るのに、一生を刻めるほど約束して愛されることは近い様で遥か遠く。
「田中愛子」になりたかったあの子は拒食症になって、作画が浅野いにおみたいな女の子になりたいって呟いていた。怖かった。
私の声は、いつだって届いていなかった。
私だって、届ける気が本当は無かったのかもしれないね。
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盲目的になること。沼に陥ること。
あなたしか居ないと引きちぎるみたいに愛すること。
本当は全部逆のことって私気付いているんだ。
追う苦しみよりも、本当はもっともっと追わせるよう仕向けることの苦悩や満たされなさ、渇望の方がずっと呪いなんだよね。
試して、堕として、分からなくなって置いてかれるのは結局自分だけで、他者が他者である限り永遠に心なんて射止められない傍には置けない。
その事の苦しみ、愛子ちゃんのじっと見つめる執拗に暗いその目の奥。
やっぱり裏切るんだ。
1ヶ月経っても、2ヶ月経っても、三年経っても。
ずっと好きだなんて嘘じゃん。
誰にも言えない心の醜いあの部分。
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