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宵の終わり

12月になりましたね。
ふよふよ、ひらひら
たった1匹で泳ぐ生き残りのグッピーのこと、「元気くん」って呼んで毎朝毎晩挨拶するようになって何ヶ月が経ったのでしょうか。
元気くん、隠れて見えないと不安になってしまう。
元気くん、死なないでね、げんきくん。

昔の友達に人と住めなさそうって言われて、なんで?って聞いたら「苦しそうだから」って言われた。
秋葉原 上野 のりかえ、嫌いです。
人はこわくて、美しくて、眩い宇宙の煌めきと光が飛び散る刹那に喜びを感じる度、やっぱり好きで好きで。

今年心に刻まれたライブの日記を残しておこうと思い立ったので書き残しておこうと思います。
停止した宇宙の箱庭みたいに見える水槽。なびく尾ひれから時々目が離せなくなる。

9/23にFORESTLIMITで開催された『えん』というイベントがずっとずっと心に残ってる。

傘は 花群成す という言葉のあまりにも危うい美しさ
めを閉じると幾つもの赤い傘が濡れたアスファルトの上で花開く
変わらない、じゃなく変われない
変われない。
雨の日の夜のさみしさ。
冬の夕暮が好きになれないこと、人と居るのに空白を感じる夜、薄暗いトイレに逃げ込んだ先、鏡に映る己のあまりにぼんやりとした表情。変われない

薄い約束、目に見えない透明な透明なオブラートを何層も手のひらに乗せるような人との距離感、いつもそのあまりの繊細に難しく、立ち止まってしまう。
ふちふちと泡で包まれた乳白色のパールみたいな夜と夜の間の線、夜明けの海を見てみたい。
分かってるつもり、大人だから

大人だから、声を出す前に息を飲む、全ての諦めを、我慢の振りをして言い聞かせる
分かってるつもり 大人だから。

冬の引きずるみたいな凍てつく凍えと、まるくまるく小さく縮こまった白くて狭い部屋は似ていて。
14時を過ぎた頃から徐々に徐々に加速して部屋の隅から隅まで流れては舐め尽くす西陽はわたしを許してはくれず、何度だって刻んだちいさな絶望を生き長らえた分この胸に宿す。
本当は1つだってほんとうのことなんて言いたくないのに、呆れるほど嘘が吐けない。
この部屋を出たい、この部屋を出たい。
思えば思うほど脱力と諦めを許してくれる夜に包まれ、安泰している。
的は揺れた 奈落 朦朧か 
宵の終わり

この日のライブはサ柄直生さんとuamiの時だけ薄暗い部屋、皆で丸くえんになり、言葉のない助けを求めるみたいに確かに共鳴した。
あたたかくて優しくて
今までのおぼろげな孤独や微かな痛みさえも浮かび上がっては小さく消えていくみたいで
それは穏やかで静かな宇宙のような
ずっと止まない庭園の雨中にも似ていて

途切れ、途切れつながってはもう一生出られないんじゃないかと揺れる炎と願望と錯覚
ちりりと本能にうったえる瞬間だった、忘れられない。
一瞬の中の永遠って、ああいうことを言うんだろうな

今も喧騒の中、目を閉じればいつだってあの夜に戻れる。
夏が円を完全に閉じ、秋の訪れを諦めたあの夜に


photo 葵 

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