企画展作家のインタビュー&ギャラリートークを開催しました【学芸員のバックヤード】
2023年4月9日(日)に企画展『描かれた出羽三山ー女性アーティスト達による作品展ー』の2部制のギャラリートークを開催しました。
第1部はいでは文化記念館レクチャーホールにてインタビュートーク、休憩を挟み、第2部では企画展示室に移動してのギャラリートークを行いました。
第1部:インタビュー
第1部では、アーティスト紹介を行った後、青木みのりさん・山月まりさん・吉田祐子さん・渡辺綾さんに当館学芸員がインタビューをしました。本企画展における作品制作で思ったことや、アーティストの方々から見た出羽三山の魅力についてお聞きしました。
山を見て育ったという青木さん。自身の価値観に関して「人間がどうにかして自然を乗り越えようとすることは悪いこととは思っていない」とおっしゃっていて、自身の作品コンセプトに反映されているようです。
埼玉県出身の吉田さんは、山形の人や風景や食べ物といった豊かさに魅せられ、山形での活動を続けています。「天然のリゾート地のよう」「やっぱり人が温かい」と庄内の魅力を熱く語っておられました。
山月まりさんは地元である羽黒で創作活動を行っています。「山に囲まれて安心感があるのに、海があるので閉塞感がない」「庄内のどこにいても月山が見える」と月山の雄大さと地元育ちならではの視点をお話されました。
吉田さん主催の飛島ツアーで羽黒山伏に出会い、山の文化を知った渡辺さん。「大学の授業で見た月山の写真があまりにもきれいだった」と出羽三山を描くきっかけをお話いただきました。
第2部:展示解説
第2部は企画展示室に移動し、アーティストによる展示解説を行いました。同じ出羽三山を描きながらもアーティストによって表現される絵が多様であり、何より若い女性アーティストによる感性を感じることができる作品でした。
今回の展示における新作『いくつ崩れて』は、月山の八方七口の一つである大網にある注連寺と七五三掛地区の地滑りを表現しています。「この場所がわかる人には見ただけでわかる様にした」と画面作りについて解説いただきました。
羽黒山の神を表現する烏、月山の神を表現する兎、湯殿山の神を表現する牛を描いた『神威』。「それぞれ神様を描いているので、烏と兎より牛を大きく描くと、それは動物になってしまう」と、描き方のこだわりを解説いただきました。
実際に配布された地域通貨に描かれている『手向地区・地域通貨のための作品』では、描かれている山伏の絵に対し、「中性的な山伏をお札っぽくしてほしいという注文があり、どう描こうか迷った」などの裏話を解説いただきました。
今回の新作『山の神さま~刻の衣ずれ~』では、作品への最後の筆入れがまちあかりだったといいます。「何か足りなくて画面が締まらない。そうだ、まちを描いていなかったんだ、と」と、制作における発見を解説いただきました。
今回は休憩を挟んだ二部構成という長丁場でありながらもたくさんの方に参加いただき、大変興味深いお話が聞けた素晴らしい機会となりました。