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おんなのこきらい

私は女意識過剰なので、どこにいても、どこまでいっても「女」から逃げられない。そんな女目線で周囲を眺めていると、「かわいいは正義」というより「かわいいは力」だと感じる。もう、パワーであり権力なのだ。「かわいい」は人を集め、笑顔を咲かせ、好意を掻き立てる。私は早々に戦意喪失、即時撤退。その圧倒的な輝きに恐れおののき、ひれ伏すばかりだ。ああうらやましい。

そんな私のアンテナに引っかかったのが『おんなのこきらい』という映画のタイトルだ。なかなかのB級映画だった。以下、抜粋。

【ストーリー】とにかくかわいい事だけが取り柄のOLキリコは、かわいい食べ物を過剰摂取しては吐く、過食症の女の子。職場の男達にはちやほやされ、女の子には嫌われているが、女の子の価値は可愛いことがすべてと信じて日々を送るキリコには、何も怖い物はない。そんなキリコには、バーで働くユウトという好きな人がいる。ユウトとは友達以上、恋人未満の煮え切らない関係が続いていた。ある日、仕事でアクセサリー作家のコウタと出会う。いつも通り、媚びを売って仕事を得ようとするキリコのことをお見通しのコウタ。最初は険悪だったキリコとコウタだったが・・・。

B級映画のおもしろいところは、登場人物が「共感なんて求めてません」とばかりに尖っているところだ。周囲に迎合せず、孤独に屹立した個性が魅力的で、ぞくぞくする。こうした理由により、主人公・キリコの際立った性格の悪さがツボだった。清々しいまでに自己顕示欲にまみれていて、愛おしい。

(ちなみに、新宿・パセラリゾート※ラブホテルにて、女三人で観賞した。「クリスマス女子会」というプランを利用し、天蓋付きベッドで赤いハートのバルーンを抱え、ノースリーブのサンタコスプレに身を包み、ハニートーストを頬張りながらえぐい映画を鑑賞する26歳×3人の図はかなりシュールだった。)

キリコは「女」という道をひたすら走っている。最初はハイヒールで、やがて裸足で。女の一本道。引き返せど女、先ゆけど女。キリコは一度も「おんなのこきらい」とは言わない。いついかなるときも、女を全うしている。痛々しいまでに、狂おしいまでに。

ああ、女なんてきらい。でも、来世も女に生まれてみたい。
女という鎖に縛られながら、どこまで歩けるか試してみたいの。

#おんなのこきらい #女 #映画 #エッセイ

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秋カヲリ@星天出版代表
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