気を遣う相手、間違えてた。
大阪市U地区の老舗。A珈琲店。
緊急事態宣言が明けて、ご挨拶に伺った。
大阪駅を降り、Uチカを抜けると、地下1階にそこはある。
ダークブラウンのL字カウンターに、紫色のタオル。長く守られている同店のコーポレートカラーだ。ジャズを聴きながら、カウンター越しに店主と話し込む。
休業期間中は、完全休業しててんけど、ほんま苦しかったな。
そういえば、再開したときに、昔よく来てくれてたサラリーマンが、十数年ぶりに来たで。「東京に転勤です」言うてから一回も来てなかったけど、休業明けに突然来てくれて。どうしたん?って聞いたら、「実はA市(兵庫県)で喫茶やってるんです」やって。休みの日に来てくれたみたい。
あと、休業中に昔のこと思い出してて。
珈琲専門店で修行してた頃、お客さんがいっぱいで忙しくて。はよ出さなって焦ってたから、お湯がちゃんと温まりきらんのに、コーヒー淹れてだしてもたわ。提供遅れたら「オーナーに怒られる」と思って。でも、今店構えて思うことは、ちゃんと温まったお湯で、もう一回出し直したらよかったな。提供の遅れは、オーナーに後で怒られたらそれでしまいや。最後まで無言でそのぬるいコーヒーを飲んでくれたお客さんは、二度とけぇへん(来ない)かもしれん。※ 実際は、その後も何度も来てくれていたようだ。
あんた、気を遣う相手、まちごおたら(間違えたら)あかんで!
とある喫茶店での一場面。効率重視の無機質な時間ではなく、人間らしい有意義な時間を過ごせたと思う。