決算後の値動き①決算後チャートをまとめて見よう。
機械学習エンジニアのhagiです。普段はグランビルの法則を主体にした日本の個別株のスクリーニングアプリを毎日更新しています。
さて、年初から半年が過ぎましたね。今回は4月~6月の決算後の値動きをデータから考えたいと思います。
構想は5月の決算多数出てるタイミングからあったのですが、普段からデータ解析・機械学習モデルを作ってはいますが、データの質が全く異なり、意外とデータ取得、整形ともに時間が掛かりました。
尚、値付けしていますが、こちらは全文無料で読めます。
反響があれば、次回はこのデータにスクリーニングアプリで使っているテクニカルのフラグを利用して更に深堀したいと思っています。(なので仮で①としました。)
記事を読んでよかったなと思う方は応援頂けるとありがたいです。
※こちらのノートは特定の銘柄や決算後のエントリーを進めるものではありません。投資はご自身の判断でお願いします。
チャートノック用リスト
きっかけは「決算後に株価上昇銘柄を素直に買う」という趣旨のツィートを見た後に色々ネット記事を見て自分でチャートを確認したいなと思ったことです。そこで決算の翌営業日から5日後のチャートを見れるように株ドラゴンのリンクを作りました。
決算時の値動きだけに絞ってチャートを見続けた人はあまりいないと思います。今回のnoteの内容で最も価値がある部分だと思います。
是非チャートノックに使ってみてください。
エクセルで作成した表の独自部分説明はデータ分析の項目で整理していますのでそちらをご覧ください。今回はエントリー後の5日後の利益率でソートしています。上昇率が大きいもの・下落率が大きいものだけでもまとめてみてみると気づきが得られるのではと思います。
尚、おすすめの使い方は[Copy All URLs for Google Chrome]のようなURLのコピペを楽にするブラウザの拡張機能を使い、URLをまとめて開くことです。
また今回のエントリー方法以外では例えば見方として参考になるのは以下のような記事があります。
まだ株さんも決算発表に関する記事を出してます。
こちらは逆張り手法になります。決算発表銘柄を見る際に合わせて確認されるのが良いと思います。
データ分析
さてここからはデータをいじり、優位性を見いだせないか検証した内容になります。興味があれば引き続きお願いします。一通り読んでからチャートノックをするとまた違った見え方ができるかもしれません。
<検討内容>
・決算発表後の株価で陽線かつ前日比プラスになった銘柄について、次の日の始値でエントリーした場合の5日間の値動きを分析した。
・ただし上記だけでは銘柄数が多く、実際のスクリーニングでは使いにくい。そこで時価総額・業種・テーマ株の括りで有意な差がないか確認した。
データの前提として、ザラバ中の発表があった場合は、当日株価が決算影響を受けた日とし、それ以外は翌営業日が決算影響を受けた日としています。
ただし、発表時間が公表されていないものも多くありました。その場合は下記の記事を参考にザラバ中の発表銘柄が少ないことを鑑みて、翌営業日が決算影響を受けた日としました。
(一部で間違っている銘柄もあるかもしれませんが、あくまで統計的な検討を前提にしています。)
https://moneyworld.jp/news/05_00014550_news
エントリーのイメージとエクセルとの対応
実際の株価推移やチャートを使ってエントリーのイメージを整理します。
<検証結果>
・決算発表後の株価で陽線かつ前日比プラスとなるのは全体の28%
・次の日の始値でエントリーした場合、5日後には54%の銘柄でプラス・5日間の利益率で平均+0.75%となる。
⇒期待値としては十分高いとはいいがたいが、初日~5日間までの全期間で銘柄割合>50%、利益率>0%となっている点は基礎スクリーニングとしては使えそうな印象。
・更なる絞込みを想定し時価総額・業種・人気上位のテーマ株を分析した。
時価総額別では想定通り、小さいものほど分布は狭かった。
業種・テーマ株の内容によりパフォーマンスに差が出るのがわかった。特にテーマ株に関しては今回用いた人気30テーマに該当する銘柄は、利益率でマイナスになるものが減っていた。上がりそうな業種が明確に決まっていれば良いが、そうではない場合はテーマ株に絞ることは良いように思う。
<データの図解>
以下データの分析結果を図解します。
まずは今回の元データの状況です。
次に今回のスクリーニング手法の効果です。
累計損益額は銘柄数が多いスクリーニングしない方が良いものもありますが、平均損益額、平均損益率で大きく上回っており十分効果があると考えられます。
エントリー後の経過として損益がプラス/マイナスになる銘柄数の割合を確認します。基本的にはどの領域でも半数よりは良いです。時間が経つほど買値を割り込む可能性が減ります。ただし統計値なので個別では損益率が上下している可能性は十分にあります。
まず時価総額別の影響(銘柄数を時価総額順で3分割)を見ます。
やはり時価総額が小さいものの方が傾向としては分布が広いように思います。ただし時価総額大でも外れ値としてボラが大きいものは存在しています。
次は業種での差がないか確認します。
各業種ごとの平均リターンの比較(5日目利益率順)です。
該当数が少ないものは個別銘柄の影響が大きいため除外して考えても、業種によりパフォーマンスの差が出ています。
括弧の中は本スクリーニング銘柄の該当割合を記載しています。おおむね30%前後が該当する業種が多い。(陽線、前日比プラス)という条件に該当する銘柄が多いほどパフォーマンスが良くなるのでは考えましたが特に相関はなさそうです。
更に分布を確認するために該当銘柄数がある程度あるものについてヒストグラムを見てみます。
ほとんどの業種では段々とブロードになりながら、値幅が増えているようです。つまり日にちを追うごとにばらつきが大きくなることがわかります。
また業種によっては初日寄りもプラス側にずれているものもありますが、先ほどのエントリー後の経過の円グラフで見た結果(損益率の正負の割合は5日目の方が有利)を過信しすぎると大きな損失につながる可能性があります。
続いてテーマ株に関してです。分析には6月末現在の人気上位の30テーマを採用しています。
テーマごとの平均リターンの比較(5日目利益率順)です。
該当銘柄が少ないため、統計的に何かを言うのは難しいですが、初日、3日目、5日目すべてで良くなかったというテーマはほぼなく、業種ごとのデータでスクリーニングを掛けるよりは失敗は少なそうです。
テーマ株でのスクリーニングを加えた場合と加えない場合の利益率のヒストグラムの比較をしました。テーマ株も時価総額が低い銘柄を多く含んでいますが、全体と比較して分布は殆ど変わらないが外れ値が減っている特徴がありました。
また25銘柄以上があるテーマに関しては個別にヒストグラムも載せておきます。特に考察はなくおまけ程度ですが。
<今後について>
今回、テクニカルスクリーニング用のタグ付けも行っていますが、膨大すぎるため、その分析は今後できればやっていきたいなと思っています。チャートをみてる限りではテクニカルに従う方が結果は向上しそうですね。
以上、皆さまの参考になれば幸いです。
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