デジタルセールスの創る未来その③~営業生産性の向上と企業間競争の激化~
デジタルセールスが実現されると、営業パーソンが従来のように常に顧客先に訪問する必要がなくなります。新規の法人営業などの場合、営業準備や移動時間等を考えると一日に2件くらいの訪問件数が現実的でしょう。地方など遠隔地への営業活動が必要な場合はさらに少なくなります。デジタルセールスによりオンラインで顧客とのコミュニケーションとる事が普通になると、一日に6件~10件程の顧客接触が可能になります。また移動にかかる営業交通費も必要ありません。営業する側もされる側も在宅というようなケースも出てきていますし、オフィススペースについても必要性や見直しが計れるでしょう。そういった事を考えると、同じ業界で同じような商品サービスを扱っている会社があるとして、デジタルセールスを導入している会社とそうでない会社では、営業生産性に著しく差が出る事になります。
もちろんすべての営業活動を非対面で行えない業種や商品サービス、またはリアルが必要な営業シーンもありますが、コロナ禍の影響でユーザー側が非対面で営業を受ける事に対しての抵抗感がなくなったので、コロナ禍が終わってもこの流れは変わらないと思います。営業される側も、会議室や応接の場所を用意してお茶を出す必要もありませんから。今後はデジタルセールスの仕組みを導入して、活躍できる人材を整備できた企業とそうでない企業での格差が生まれる事になるでしょう。
現状は先進的な企業からそういった流れは、はじまっていますが、生産性という観点から言うと、日本の伝統的な産業や地方にも徐々に広がっていくと考えられます。デジタルセールスを導入する企業の中でも、オンラインを使ってただ非対面の営業形態へという会社と、マーケティング的な戦略思考を持ち、マーケティングテックやセールステックなどのテクノロジーを使いこなしていく企業の間にも大きな格差が生まれるでしょう。またマーケティングの戦略性やテクノロジーはそれに従事する人材の働き方にも大きな影響を与えます。いずれは人材の方が、企業の営業のDX化の度合いから働く場所を選ぶようになり遅れている企業は営業人材を集められない状態になっていくと思われます。コロナの波も一度収束してきていますが、この営業変革の流れは止まらず、さらに勢いを増していくと思われます。
注釈)デジタルセールス職とは?
一人の営業マンが、顧客の発掘から、受注、顧客フォローをリアルな訪問活動で行う従来の日本型営業ではなく、マーケティング戦略に基づき、見込み客の発掘、商談の育成、受注業務、顧客フォローの4つのプロセスに分け、それぞれの役割をマーケティング、インサイドセールス、オンラインセールスもしくはフィールドセールス、カスタマーサクセスの4つの職種人材が、デジタル技術を活用しながら主に非対面で行うそれぞれの職種。アメリカの企業や、日本でも先進的なSAAS系IT企業が導入している専門性の高い次世代営業職。