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「お客様」という呼称の意味
今更ながらですが、「お客様」という呼称について。
当社では、サービスを提供するお相手のことを「お客様」という呼称で統一しています。
それは、相手に対しての尊敬の念や感謝の気持ち、それからおもてなしの心などを含めていることはもちろん、何よりもサービスをする側の当事者意識を込めての呼称と捉えています。
私たちはあくまでも何かを「してあげている」のではなくて、「させていただく」機会をもらっている立場です。
良いサービスを提供しているからお客様が使ってくださるのではなく、「あんたのところを使ってあげてもいいよ」というお客様がいらっしゃるからこそ、良いサービスを提供させていただく機会が得られているのです。
そこから報酬をいただいて事業を運営したり生計を立てているわけですから、明らかに目上の立場にあるのがお客様だと捉えています。
現在使われているサービスが無くなったところで、おそらくすぐに代替サービスの候補がいくつも出てくるはずです。それはなにも介護の仕事に限った話ではなく、お気に入りのレストランにしても、がっかりはするかもしれませんが、他の選択肢は見つかるはずです。スマホのキャリア会社など、例え10年以上使用していたとしても、その会社が無くなってしまったとしたらもっとすんなり他の候補のキャリア会社を見つけるはずです。
それがお客様側の心理です。
もちろん、「利用者様」や「患者様」といった呼称を使用されている施設においても、上記のような考え方の要素は含まれているとは思いますが、一番の違いは、この「お客様」という呼称にはサービスを提供するご本人様以外の要素も含んでいるということです。
看護師さんに、「患者さんのご家族のことは何と呼ばれますか?」と訊いてみると、「患者さんのご家族は患者さんのご家族です。」と回答されます。
お客様という言葉には、「ご家族」も含まれています。
そう考えると、ケアをする対象、つまり気にかけないといけない対象には、ご家族も含まれます。
新人のヘルパーさんが、「ケアをするのは好きだけれども、介護人さんの愚痴を聞かされるのが辛い」などと言われることがありますが、その介護人さんをお客様に含めて考えると、「愚痴を聴く」という行為もケアの一環となります。
コロナ禍の今の状況においては、なかなかお会いできないご家族様と情報共有を密にしていくというのも提供すべきサービスの一部になります。
私たちが関われない時間においては、ご本人様の症状にご家族として正しく対応していただく必要性も出てきます。また、正しい向き合い方は、家族間の関係性の改善にもつながります。
サービスを受けるご本人様だけでなく、「ご家族丸ごとケアをしていく」という会社の意志をもって「お客様」という呼称を選択しています。
そして、これはまったく個人的な見解ですから文句を言われても困りますが、「利用者」という言葉は、サービスを提供する側が使用するのではなく、本来はそのサービスや施設を利用する側、つまりはお客様の立場でいる側が使う言葉なのだと捉えています。
「あの人はウチの利用者なの」よりも「私はあの施設の利用者なの」という方がしっくりくるなと感じています。
上から目線的な要素もなく、自然な活用方法だと感じるのは後者の方かなと勝手にそう思っています。
今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。
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