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「いざ介護」となったらどこに相談するか
もともと事業を実施している地域の関係者に向けて書き始めた本稿ですが、少しずつ情報開示する領域を広げていって、ありがたいことに今ではSNSなどを通じて全くの別業界の方にも読んでいただいています。
そうすると、意外とここまで話題にしてこなかったのが、私たちの業界では「当たり前」として捉えている情報について。
例えば、いざ介護が必要な状況になったらどのようなアクションをとればいいか、など。
特にここ最近になって、異業種交流会などを通じて知り合った別業界の方から相談を受けることが多くなってきました。
私含めて、皆さんそろそろ身内の方々に介護が必要な状況が増えつつあるのですよね。
前述の例えについて言えば、少し前まで健康に生活していた親が、ちょっと体調を崩した結果、あれよあれよという間に状態が落ちてきて、このままではひとりでの生活がままならなくなりそうだ、と。
まずしないといけないのが、市区町村の介護保険窓口か、お近くの包括支援センターに行って相談する。
そこで「要介護認定申請」を行うことになります。
申請時のポイントは、わざわざ本人に承諾を得なくていいということ。
いちいち承諾を得ようと思っていたら時間もかかりますし、結構ご年配の方は「まだ大丈夫」とか、いきなり家族以外の他人に頼るというのは心理的ハードルを高く捉えがちです。
押し問答をしているうちに、状態はみるみる進行していきますので、まずは身内の相談というスタンスででも窓口に出向いてみてください。
そうすると、行政の方からかかりつけ医に連絡が入り、現況について「主治医意見書」をいただくことになります。
そうした情報をもとに派遣された「認定調査員」による「要介護認定調査」が始まります。
ざっくりとした期間ですが、主治医意見書を依頼して入手までが約15日間。
認定調査の依頼から実施までが約10日間。
申請から認定を受けるまでで約40日間(原則は30日以内)かかりますので、身内の方の状態がいつもと違うなと感じたら早めに手続きを始めておくことをオススメします。
この調査結果を経て、要介護認定を受けられてから初めて「介護保険制度」の現物給付、つまり各種の公的介護サービスを受けられる状態となります。
ところが、サービスは現物給付ですから、要介護状態に応じた上限額の枠内で各種サービスを組み合わせていくスケジュール「ケアプラン」を組み立てる必要があります。
ケアプランは自分で立てることも可能ですが、プロに一任することも可能です。
その相手こそが、介護支援専門員、つまり「ケアマネジャー」です。
頼んだ方が良い理由としましては、まず個人負担金が発生しないということが挙げられます。
そう、無料でお願いできるサービスになります。
入居系の施設であれば、ケアマネジャーが所属していることが多いですが、そもそもお住いの地域でどこの施設がオススメなのかさえ情報がない。
どうすればいいか。
情報が集まるところに確認することですよね。
「主任ケアマネ(主任介護専門員)」というケアマネジャーの上級職がいるのですが、この人たちは経験の長い方しかなれませんので、当然ある程度の情報を持っているはずです。
また、こうした人の所属している居宅支援事業所(ケアマネジャーの職場)だと、おそらく複数人のケアマネジャーを擁しております。
当然ですが、ひとりで仕事をしている事業所よりも、複数人が所属している事業所の方が情報が多く集まります。この法則は、特段ケアマネに限った話ではありませんよね。
ケアマネジャーを探す時には、行政から貰った冊子などに居宅支援事業所の一覧がありますから、自宅近くの事業所に連絡した際には、「主任ケアマネがいるかどうか」また「ケアマネが何人所属しているかどうか」を確認してから依頼してみるといいかと思います。
その方々が推してくれる施設に決まって、先方に所属しているケアマネがいるようであれば、入居が決まった段階でケアマネを変更すれば大丈夫です。
ここまで知っておくと、最初の段階で困ることはないかもしれませんね。
業界の常識では当たり前ですが、一般の方にはまだまだ知られていないことが多いというのはよくある話です。
今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。
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