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人材紹介会社活用のジレンマ
実はこれまでもいくつか自主規制をしてきたお蔵入りのコラムがあるのですが、今回のもギリギリのラインとなってしまいそうです。
現在当社でも大いに活用している要素となりますので、業務に支障を来してしまうといけないのですが、あくまでも個人的な見解とご理解いただければ幸いです。
今回はタイトルにもありますとおり、人材紹介会社について。
売り手市場となった今、人材紹介会社は大活躍です。
というのも、自身の価値を測るにも買い手が多過ぎて、求職者は就業先の選択肢の多さに混乱してしまうからなのだと思います。
情報の洪水の中から自分で活路を見出される猛者もいらっしゃいますが、「もう多過ぎてわけが分からない」という人にとっては、人材紹介会社は情報を整理して必要なものを提示してくれるありがたいサポート資源です。しかも無料で活用できるという利点があります。
一方で、求人をしている企業側からすると、求職者の誰も彼もが人材紹介会社に登録してしまうことで、これまでのような有料の求人媒体を利用してみても思ったような反応が得られなくなってきています。
複数の求人媒体を使ってみても、求職者からの反応はゼロなんていうのもざらにあります。
ましてや単体の紙媒体は、もうほぼ石器時代の代物に近くなってきました。
反応が少ないことからも、掲載する企業情報もどんどん減り、ページ数もどんどん少なくなったり、今では薄くペラペラになって余白を埋めようと媒体自体の自社広告記事を載せたりともはや末期状態です。
ここが、今回主張したいことであり、今回のコラム内容を果たして公にしてもいいのかどうかという分かれ目のポイントでもあるのですが、「求職者の皆さん、人材紹介会社へ登録し過ぎじゃありませんか」という問題。
登録する人が増える。
紹介会社の数も増える。
利用する人は更に増える。
ということで、紹介会社を介さないで就職活動をする人がどんどん減っていっているような気がします。
少し調べてみると、どうやら海外に比べても日本国内の人材紹介会社は圧倒的にその数が多いようです。
だからこそ、日本国内においては、企業が直接求職者といきなり関わるという機会は、現在はどんどん少なくなってきています。
そうなるとどうなるか。
求職者にとっては直接的には何も関係ありませんが、求人募集している企業側の事情としては「採用単価」が跳ね上がります。
採用単価というのは、1人採用するに当たりいくらのコストがかかっているかという単位です。
私が担当している2つの会社では、年間の採用計画人数が約240人。
そこに対して計画している年間の予算は約2,400万円です。
ということは、1人当たりにかかる採用単価は10万円となります。
これがハローワークからご応募があれば、実質の採用コストはゼロ円。
また、1回の掲載が例えば5万円の求人情報誌や折り込みチラシで反応があって1人採用できたとしたら、掲載料にかかった5万円がそのまま採用単価となります。
ところが、紹介会社を活用すると、今だと例えばフル勤務の正看護師さんは1名採用するのに約100万円の紹介料が必要となります。
ここにかかる費用は、入社されるご本人には全く関係なく、全てが紹介会社へ支払われます。
ここで、入社されたスタッフご本人には直接的には責任は全くないにも関わらず、「100万円支払って雇用した人」というレッテルが有無を言わさずにペタっと貼られます。
この「100万円かけて採用した人」という枕詞がついて回った時に、「にもかかわらず、あまり優秀でない」とか「にもかかわらず、あまり協力的でない」「にもかかわらず、あまり積極的でない」、そして最悪なのが「にもかかわらず、すぐに辞めてしまう」という語尾とつながっていきます。あくまでもマイナスなイメージの人物に対しての見方ですが。
誤解を恐れずに言いますと、これが紹介会社を介してせっかく入社された皆さんに対して、直接口にすることは無いですが、「何かあった際に残念に感じてしまう」という採用した企業側の思考の在り方です。
出来ることならば、紹介会社に支払う100万円は、むしろ社内のスタッフやこれから入社されるであろう将来のスタッフに還元していきたいというのが本音です。
例えば、良い人材を紹介してくださったスタッフには「紹介料」を20万円、そして入社される看護師さんには「入社お祝金」や「入社支度金」という名目で30万円お支払いしたとしても、かかる費用は両者合わせても紹介会社へ支払う額の半分の50万円です。
費用を抑えるという目的よりも、何よりもその費用が外部機関の儲けのためではなく身内のために使われるということが、これから仕組み化していくための強みともなり工夫のし甲斐があります。
日本においては上記のような状況ですが、どうやらアメリカにおける採用単価は日本の10分の1に下がってきているらしいです。
かつては日本同様に紹介会社に丸投げをする「アウトソーシング」が主流で、餅は餅屋ということでお任せしていたようです。
ところが、SNSなどが発達して誰もが情報発信者になれる社会に変わってきた結果、転職したいと考える候補者と採用したいという企業の単純なマッチングは、紹介会社が提供するデジタル技術を活用した「ダイレクト・ソーシング」「ソーシャル・リクルーティング」に取って代わられつつあります。
冒頭から、あくまでも個人的な見解とお断りをさせていただいておりますが、今後も人材紹介会社が用意している様々な仕組みを有償で活用していくのだとしたら、社内にはないそういったデジタル技術の有効活用のための投資であって欲しいと考えています。
だいぶんオブラートに包んで述べてまいりましたので、これくらいなら掲載しても大丈夫かな。
今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。
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