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トイレを磨く
前回に引き続きとなりますが、当社には「トイレ掃除はリーダーが担当する」という方針があります。
これは、不衛生な場所を一番清潔に保っている人が一番気づける人になるという考え方からです。
立場がある人ほど多くのスタッフへの責任を背負うわけですから、より気づきの多い人である方が望ましいです。部下の内面の変化を知るには気づきが必要です。
私も長年トイレ掃除をしていますが、教わった師匠の師匠である鍵山秀三郎さん(イエローハットの創業者であり、「日本を美しくする会・掃除に学ぶ会」の創唱者)に見習って、素手で磨くようにしています。
便器に素手を突っ込むことに抵抗を覚えたのは最初の一回だけでした。喉元過ぎれば熱さを忘れる、ではないですが一回やってしまえばあとは慣れです。
実際、素手で実践することで分かったのは、細かい汚れを感じ取ることができるという点。手袋越しでは分からない汚れや陶器の質感がよく感じられるようになりました。触感を含めて五感をもって環境に向き合うというのは、気づきのセンサーを鋭敏にしてくれます。
また、便器の前で膝をついて、顔を便器に近づけて自らの手を汚して磨いていると、自然と謙虚な気持ちになっていきます。
たまに営業所に立ち寄った際に、トイレの便器の内側なんかを手でなぞってみるのですが、汚れを確認した時に感じるのは、「ここの所長は何をやっているんだ、方針を守っていないじゃないか」という憤りよりも、こういうところに目が向かないくらい忙しい状況にしてしまっているのだな。その下で働くスタッフさんのためにも、所長自身のためにも今の状況を何とかしてあげないといけないな、という想いです。
手を汚す覚悟をもって日々便器に向き合っていけば、行動した結果を日々目の当たりにできる体験を積み上げていくことにもなり、主体性を発揮できる思考力がつきます。
たまに、「素手で便器を磨くなんて、衛生的に問題がある」と息巻いて訴え出る人がいますが、別に皆に強要していることでもありませんし、これまでそれによって体調を崩したこともありませんし、何よりも文句を言ってくる人で実際に素手で実践している人は見たことがありません。
これはやってみた人にしか分からないことです。考え込む暇があったら、試してみることをおすすめします。
今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。
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