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上司の仕事は決定業 ~ 決められない人はどうするか
コラムのタイトルを見て、自分のことだと心当たりのある社内の役職者もいるかと思います。
私の師匠は、「全ては社長の責任だ」という鬼の経営コンサルタントであった一倉定先生の門下生でしたから、会社が赤字の時でさえ「それは社長がそう決定しているからだ」というのが持論ですし、私もそう教わってきました。
ところが、現場で素晴らしく活躍されて、とても良い営業所運営をされていても、いざ取り立ててみて更に広域のエリアを任せてみると、「決めること」が実は不得手なのではないかという管理職が中にはいます。
たとえば拠点でスタッフの問題が発生すると(まあ介護の現場の問題のほとんどはお客様かスタッフという「人の問題」なのですが)、本当に親身にそのスタッフの話を向き合って聴きます。
むしろ傾聴と言ってもいいでしょう。
ところが、です。
話を聞いてもらったスタッフも、その時間は寄り添ってもらえたわけですから、しばらくは鳴りを潜めるのですが、肝心の問題解決に向けての決定をしていないものですから、時間が経つと再び騒ぎ出します。
そして、残念ながら次の面談時には傾聴の姿勢は役に立たなくなります。
相手からすれば、寄り添ってくれたところで今の問題に変化が生じないのであれば、「あの時間は何だったの」と、この後また同じような無駄な時間を過ごすのであれば、それは勘弁してほしいという気持ちになります。
厳しい言葉となりますが、決めない上司は組織の損害を生み、また上司や部下といった関わる周囲の人たちからの自分への評価を下げます。
「先にしくじる 絶対に失敗できない仕事で成果を出す最強の仕事術」という著書の中で山崎裕二氏は次のような方程式を示されています。
問題が起こす影響 × 決断までにかかる時間 = 損害の量
この方程式どおりだとすると、決断するのに時間をかけている場合ではありません。
それでは、決められない人は何に「ためらい」を覚えているのでしょうか。
当然ながら、決定には責任が伴います。
ですから、決定するには勇気がいります。
「ああなったらどうしよう」「こうなったらどうしよう」といった考え過ぎがためらいとなります。
しかし、考え過ぎたところで未来のことは誰にも何も分かりません。
考えても成功確率が上がらない決定は世の中に多いですし、せいぜい仮説が立てられるくらいです。
「好きな人に告白する」なんていうのも、考え過ぎたところで成功確率が上がらない決定のひとつですよね。どんな手を打ったところで、残念ながら振られる人は最初から振られます。
では、仮説を立ててみる。
一番簡単な仮説は消去法です。ああなったら、こうなったらと選択肢があるわけですから、それぞれの「未来の失敗」をイメージしてみる。そしてそこでの損害の大きさを比べてみて、損害の大きな選択肢はやめればいいです。
そして、決定には責任が伴うと言いましたが、責任には「説明責任」と「結果責任」があります。
管理職が負うのは説明責任の方です。
その決定を「どう考えて決めたのか」。前述した仮説を含めて、決めるまでの思考の過程で自分自身が納得できているかどうかが大切です。
また、「何のために、なぜそのように決めたのか」。相手(お客様や現場のスタッフ)のため組織のためとなるのか、決定の目的・目標が自分の中で明確になっているか。
この二つの要素を含めた説明責任を果たせる決定であるのならば、覚悟をもって決断すればいいです。
「これだったら社長はいいと言ってくれるはずだ」と自信をもって決めて欲しいです。
そして、結果の責任は企業のトップが負います。
今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。
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