『イリヤの空UFOの夏』が平凡な僕の思春期のかたきをとった。
僕は小学生の時にほとんど自我がなかった気がする。あんまり記憶がない。
そして高校は男子校だった。
だからってわけじゃないけど、小中高の中で1番色鮮やかな思い出は中学に集約されてる。
僕の思春期は中学から始まった。
好きな子がいて、仲のいい友達がいた。
THE中学生ライフ。
それ以上でも以下でもない。
平凡で突飛じゃない。
よかった。後悔なし。
でも地味だった。
結局彼女もできなかったし、勉強もそこそこ。
スポーツはダメだし、恥ずかしくて授業で発表なんてもってのほか。
ギターをやっていたけど、バンドを組む勇気もライブを組む勇気もなくて、友達のライブを見に行くだけだった。
もっと特別な中学時代だったらよかったかも。
どこかでずっと思っている。
なんか特殊な力があったり、特別な任務があったり。
漫画とかアニメの主人公みたいな。
いや待てよ。てことは中学時代に後悔がないなんて嘘なのか。
もっと目立ちたかったのかもしれない。
もっと特別でいたかったのかもしれない。
そんなどうしようもない妄想を形にした小説を読んだ。
夏休みの最終日。
主人公の浅羽が夜の学校のプールで謎の少女、伊里谷加奈と出会うことシーンから物語は始まる。
あーもうこれだよこれっていう出会い方だ。
全然、中学生の出会い方あるあるに当てはまらない。
恋の始まりとして、出会い方として普通じゃない。
同じクラスで、同じ塾で、、。
弱い弱い!
夜の学校のプールでの出会いだ。
そりゃ運命感じるだろ。好きになるだろ。
普通しかない日常で、こんな非日常最高だろ。
そうだよなあ、こんな出会いがあればって中学生の頃考えてた気がする。
そうかこれは、この物語は今更になって出会ったあの頃の妄想の念が固まってできた僕が送りたかった普通じゃない中学生活なんだ。
てな感じで話は進んでいく。
地味で何も起きなかった僕のあの頃の敵を取るような物語だな。
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