まぁ、全部嘘なんやけどね。【その6】「ほほえみの爆弾」
これは僕がキャンギャルやった頃の話やねんけど。
知っての通り、キャンギャルっちゅうのは別名「決闘者(デュエリスト)」と呼ばれて万札握り込んだ拳で殴り合う職業の事言うんやけど。これがまー、またツラいツラい。
10円玉握り込んだらパンチ重なるいうのは高校の物理で習うから知ってる思うんやけど、金額上がったらもっと重なるなんか教えてもらってないやん?頭のエェ高校やったら習うんかもしれんけど、僕の出身校偏差値7やさかいに、知らんがなって。
ほな辞めたらええがなって思う?
それがやっぱりツラいっちゅう事はそれなりにお給金がええのよ。コレが。所謂ブルーオーシャンっちゅうやつやね。知らんけど。
1番儲かったけどごっつツラかったんはアレかなぁ。海外のキャンギャルさんで、ブロック・レスナーちゅう子が来た時かな。
その子はスラーッとおっきいて、勿論パイ乙もカイデー。
僕は「はー。ガイジンさんはやっぱちゃいまんなぁ」思ってたんやけど、後から聞いたら向こうもそう思っててんて。尊敬は万国共通やね。ブイ。
そんなこんなでその子とのキャンギャル対決通称“KBDAGS(カワイコちゃんバトルドーム相手のゴールにシュー!”が始まる訳やけど。
やっぱり相手さんの方が高身長やからそこは降り注ぐ万札を先にいっぱい取られてもて。コラかなんわぁ思ってたらすぐ膝取りに来よったんよ。
この時僕、思ったね。
“勝てる”って
膝取りにくる言う事はパンチに自信無い訳やさかい、ほんまもんの決闘者(デュエリスト)や無いわけよ。しょうみね。
それに、今やから言えるけど僕右膝のパッドに60万の小切手と、左膝のパッドにQUOカード30000円分隠し込んでたんよ。
まー見事にそこでカウンターが決まって。
解説の魔裟斗も「乙ゥー!乙ゥー!」言うて。ようわからん事叫んどったわ。愉快な坊ちゃんやね。
まぁこう書くと僕は輝かしいキャンギャルやと思われそうやけど、この後の試合で見事に紐パンが切れて不浄負け、そのまま引退した訳や。
ま、その経験を活かして、トルコアイス屋をやれてるっちゅうワケやから、決して無駄ではなかったんやけどね。命狙われる職業やさかい。
そや!実は僕、今でもあの時の気持ち忘れん様にQUOカードは隠しもってるんよ。
唇の裏側にね。
まぁ、全部嘘やねんけどね。
ところで、僕は管楽器が吹けます。
これはホンマやねんけどね。