CES 2025:すべてがAIに組み込まれる未来の様子
AI技術がほぼすべての製品カテゴリに組み込まれ、空飛ぶクルマやロボット掃除機など、生活のあらゆる面を刷新している。
ロール式画面のラップトップや弾丸級の高速GPUなど、価格・性能面でのハードルが下がり、最先端技術が手の届く存在になりつつある。
視覚障害者向けスマートケインや家事代行ロボのように、実用性と社会的意義を両立するイノベーションが目立つイベントとなった。
CES 2025では再び大勢のテックファンや業界関係者がラスベガスに集まり、今年は例年にも増して熱気にあふれていました。AIがほぼすべてのカテゴリーに浸透しており、ラップトップや携帯型ゲーム機から空飛ぶクルマ、さらにはアームを搭載したロボット掃除機に至るまで、その存在感は圧倒的。さらにホームエンターテインメントの大幅な進化や、新しいパーソナルモビリティの形、高度にスマート化する車載インフォテインメントシステムなどが、急速に現実味を帯びてきました。以下では、製品タイプごとに目立ったトピックをまとめています。
自動車&モビリティ
BMWの「Panoramic iDrive」
今回の主要トピックの一つは、BMWによる次世代インフォテインメントシステム。複数のディスプレイを使い、フロントウィンドウ下部にパノラマHUDを広げ、ボタンが色変化する触覚フィードバックつきステアリングホイールを導入。AndroidベースのOSにより動的にウィジェットを更新し、年末までにEVと内燃車の両方に搭載予定とのことです。
XPengの「空飛ぶクルマ」+バンの組み合わせ
XPengは、バンのトランクに格納可能な折りたたみ式航空機を提案。絶景ポイントへ運転して行き、そこで機体を展開し飛行する仕組みです。機体は最大2人乗りで、XPengは2026年の納入を目標にしています。価格は約30万ドルほどで、そこまで「非現実的」でもない印象を受けました。
ZEEKR RTロボタクシー
目立ったのはZEEKR RTという専用ロボタクシー。車体に多数のカメラ、LiDAR、レーダーを統合し、小型ワイパーでLiDARをクリーニングするなど細部も面白い。これは高レベルの自動運転フリート向けで、既に中国などでテスト済みだそうです。
ロボット&AIコンパニオン
RealBotics「Melody」&「Arya」
RealBoticsのヒューマノイドロボットは、人間さながらの表情(微笑や怒りの表情など)を再現できる超リアルさで来場者を驚かせました。音声・視覚認識などのマルチモーダルAIにより「愛情を伴う知能(affectionate intelligence)」を唱え、接客やエルダーケアなど様々な用途を想定しています。
Lunaパーソナルボット
もう一つ注目されたのが「Luna」。犬のような個性を備え、ゲームをしたりダンスしたり、音声やアプリの命令に応じて動き回ります。顔認識で家族を学習し、スケジュールに合わせて稼働し、要充電になると自動ドックへ戻る。ほぼ「AIペット」的存在です。
ロボット掃除機にアーム搭載:Roborock・Dreame
ロボット掃除機では前例のない「アーム」搭載が一気に増えました。Roborockの「Saros Z70」はOmni Gripアームを装備し、ソックスやケーブルを拾ってバスケットに入れるなど。Dreameの「X50 Ultra」にも類似構想があり、専用ドッキングステーションでモップの差し替えを自動化、タイヤが伸縮してドアの段差を登れるなど、まるで万能ハウスキーピングロボのような進化ぶりが目立ちます。
SwitchBot K20 Plus Pro
SwitchBotは「マルチタスク家庭用ロボ」を発表。小型のロボット掃除機とプラットフォームを合体させることで、空気清浄機や監視カメラ、さらには3Dプリントで作成した独自アタッチメントまで搭載可能。移動式空気清浄や、飲料配達、さらにはDIYの自由度も高く、独創性に満ちたシステムに仕上がっています。
Tombotの「Jenny」
「Jenny」は認知症患者やペット不可の環境向けに開発されたAIロボット犬。体温やセンサーがあり、撫で方に応じてリアクションが微妙に変わる愛らしさを備えています。精神的な癒しやケア効果があり、医療・介護現場で注目されています。
スマートホーム&家庭向けガジェット
Acer Revo Box AI
超小型のデスクトップPCであるAcer Revo Box AIは、Lunar LakeベースのIntelプロセッサを搭載し、ローカルAIアクセラレーションが可能。複数画面出力にも対応し、ファンレスに近い静音性をアピール。ホームオフィスや小規模事業向けとして期待大です。
EcoFlow&Olight
EcoFlowは相変わらずポータブル電源の改良を進めており、Olightの「Ostation X」という電池充電システムがユニーク。通常のAA/AAA電池を自動判別し、使えないものは破棄、新品は保管と一連の動作を自動で行う「電池版ロボット掃除機」のような存在です。
Goveeのピクセルライト他
Goveeはレトロ風ドットマトリクスを現代風にアレンジした「Gaming Pixel Light」を出品。30fpsで動く文字やGIFを表示しながら、スマートホーム連携で状況に応じてアニメーションを切り替える。壁用のミニパネルやJBLスピーカー内蔵ランプも発表。
AqaraサブS1プラス
壁スイッチ型のスマートハブ。7インチ画面を備え、ドアベルや照明、カメラビューなど統括可能。複数のAqaraデバイスを一元管理できるホーム中心デバイスで、ドアロックとの連携や音声アシスタントとも連動できるとのこと。
PC&ゲーミングハード
Lenovo ThinkBook Plus Gen 6 Rollable
Lenovoの画期的「ロールディスプレイ」技術が、ついに実製品となって発売。最小14インチから16.7インチに拡張する画面で、内蔵モーターがワンタッチで上下へ伸び縮み。お値段$3,500と高額だが、開発者やクリエイターが飛びつきそうな先端ギミックが魅力。
OnePlus 13 & 13R
CESにてグローバル展開開始。OnePlus 13はスナドラ最新世代を搭載、13Rは1世代前のSoCで値段を抑えた構成。OxygenOSの軽快さやAI最適化が魅力で、性能・価格のバランスが秀逸。
MSI・Gigabyte・IntelのAI PC
MSIやGigabyteは、AMD X3D Turbo ModeやIntel B860マザーなど、拡張性重視の新マザーボードを披露。Intelは「Lunar Lake」「Arrow Lake」CPUやNVIDIA 50シリーズGPUとの組み合わせで、PCにおける「AI時代の幕開け」を強くアピール。内蔵NPUでオンデバイス機械学習を実現し、リアルタイム推論が一般化する見通し。
ディスプレイ・テレビ&エンタメ
LG 4K True Wireless QNED
LGの最新QNEDテレビは、多数のバックライトゾーンとAlpha AI Processorを搭載し、映像アップスケーリングや音響最適化を行う。さらにケーブルを電源だけにする「Zero Connect」機能が改善され、レイアウトがすっきりに。
TCL Nextpaper 11 Plus
タブレットだが、次paperボタンを押すと液晶が電子ペーパー調になり目に優しく、バッテリー節約にもなる新技術。フルカラーOLEDよりはやや発色を落とすが、反射を抑え読みやすさを向上するという実用的なハイブリッドが印象的。
Hisense Canvas TV
SamsungのFrameに対抗するアートTV。Androidベースで非常に明るく、多数のアプリや音声アシスタントをサポート。コスト面でFrameより優位に立つ可能性もあり、アートを楽しむ層へのアピールが期待される。
ヘルス&アクセシビリティ
Dexcomパートナーシップ
多くのブースでDexcomのグルコースセンサーとローカルAI解析のデモが行われ、血糖値変動を即座に可視化。Garminなどのウェアラブル企業が連携し、血糖モニタリングがより幅広いユーザに普及する兆し。
WeWALKスマートケイン
大きな話題を呼んだ最新モデルはGPT音声アシスタントを統合。利用者に細やかな道案内を音声提供し、障害物感知機能も強化。ハンドルの振動で警告を発し、Bluetooth連携で細かいルートを確保するなど、視覚障害者の強い味方として注目が集まった。
Withings BPM Vision
内蔵EKGと高精度アルゴリズムで脈拍・血圧をトータル管理するスマート血圧計。カラー表示とAIの補助で、医療レベルの計測を家庭で簡単に実施。Withingsアプリとの同期もスムーズ。
モビリティ関連(Eバイクや他)
InMotionの2輪一輪車
一輪車に慣れない人でも練習しやすいよう、 parallelな2輪アタッチメントを追加。傾きで加減速する独特の操作感が魅力で、上達したら1輪モードにも移行可能。
Amphere & Yadea
電動スクーターの領域でも進化が。Yadeaはダッシュ画面とGPS付きのハイエンドモデルを展示し、Amphereは自動ロックなど盗難防止AIを開発中。
総括
CES 2025では、AIが掃除機や空飛ぶクルマ、さらには視覚障害者向けの杖にまで食い込む形で、生活のあらゆる面を塗り替える様が鮮烈に示されました。家事ロボはソックスを拾い、ラップトップはロールディスプレイを伸ばし、クルマは空を飛ぶ。しかもこの進化はコストを大きく下げつつあり、高性能GPUやスマートフォームがより手の届く存在に。
どの製品やアイデアが最も興味を引いたでしょうか? モノを拾える掃除ロボか、透明パネルを備えたワイヤレスTVか、マルチロール家事ロボか――CES 2025はどれも実に近い将来に手が届きそうなものばかりでした。引き続き動向を追っていきましょう。