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【エッセイ】支笏湖——カタチになった四万年の時間
約四万年前、火山の大噴火によって形成されたカルデラに、水が溜まってできた支笏湖。
……と、文字で書くと、なんとなく読み流してしまいますが、よくよく考えてみると、これだけの水量になるまで水が溜まるまでには、どれくらいの時間がかかったのでしょう。はたして、人の一生で見届けられたのでしょうか。
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支笏湖の周りには、風不死岳、恵庭岳、樽前山などの山がありますが、この山々は支笏湖ができてから、また何万年か、何千年かを経て、順々に出来たのだそうです。
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中でも特徴的なのは、こちらの写真中央にポコンとしたプリンのようなカタチが見える樽前山。このポコンとしたところは「溶岩ドーム」と呼ばれるもので、1909年4月に起きた噴火で出来たのだとか。意外に最近で驚きました。
ドカンと大きな噴火で出来上がった、まあるいカルデラ。
そこに水が溜まって湖に。
まあるい湖の縁に一つ山ができて、まあるい湖の縁がカクンとへこむ。
また一つ山ができて、丸かった湖はカクン、カクンと二つへこんでひょうたん型に。
また山が出来て、溶岩が出できて、ポコンとドームが現れて。
四万年前に出来た窪地から、100年前に出来た溶岩ドームまで、今を生きる私の目には四万年分の地形の変動が一つの風景として映っている。
私が見ているのは四万年という時間のカタチ。
大樹にもカタチになった時間を感じたこともありますが、
時間の長さでいうと数十年、数百年。
また、人間として僅か数十年の生を過ごす身なりに、その生を超えた長い時の流れを感じることもありますが、
今回、支笏湖のほとりに立ってみて、初めて数万年単位の時間をひとつのカタチとして感じました。知識として頭で分かるのではなく、感じた。
いつか、数億年、数十億年単位のカタチも感じることができるでしょうか。
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