幸せってなんだろう?
7日間で「幸せになる」授業 前野隆司さん著(慶応大学大学院教授
掛値なしの愛
昨日はクリニックのスタッフさんとの面談の日だったので、クリニックに行ってきました。スタッフさんとはもう10年以上の付き合い。スタッフさんに話を聞いてもらうと、私の心はとても安定します。
昨日は途中用事で外出してからまたクリニックに戻り、ナイトケアで夕ご飯を頂いて帰ってきました。
夜は、修行僧である次男が家に来てくれました。次男に会って話を聞いたり、私が話をしたりするのは、私にとってはなにより幸せな時間なのです。
面白くて、とても優しい次男。友達もいっぱいです。修行もとても頑張っています。そんな次男に昨日は手紙を書きました。伝えたいことが溢れてきて、5枚も書きました。メールやラインでもいいけど、手紙にして感謝の気持ちをどうしても伝えたかったのです。
私はバツイチです。元夫のお寺は中国山地の山の中。次男がそのお寺から大学進学のために京都に来て、修行僧として京都のお寺に入門してから今に至るまでの10年の日々を手紙を書きながら振り返りました。
お寿司をご馳走してくれたり、母の日や誕生日にはプレゼントをくれたり、一緒に鴨川にピクニックに行ったり、彼の素敵な友達を紹介してくれたりと、彼は本当にたくさんの喜びと幸せを私にくれ続けています。感謝しかないです。
彼に手紙を書いていたら、私の心の中が温かいもので満たされてきました。次男のためにと書いた手紙だったのですが、私自身の心を温めてくれたのです。
次男への思い。それは愛です。掛け値なしの愛です。きっぱりと言い切れます。掛け値なしに彼を愛しています。22歳で京都という大都会から過疎地の山寺に嫁いだ私。辛いこと苦しいこともたくさんありました。
でも、長男と次男を産むことができて、途中までだったけど育てられたことは私にとっては何にも代えがたいことです。今こうして交流できることにも感謝しています。彼らの母になれた私は幸せです。
いずれ修行を終えて、山寺へと帰って行く次男。それまでの彼と過ごす時間を噛みしめるように大切にしていきたいです。
幸せってなんだろう?
私は今幸せだと書きました。そう私は幸せです。息子たちの母になれたことも幸せだし、病気が安定して働けているのも幸せです。そして温かい仲間に囲まれていることも、フランス語の勉強という学びたいことがあるのも幸せです。心の安全基地づくりのSafe Space ほっこりの活動ができているのも。
でも、そもそも幸せってなんなのでしょう?
どうすれば幸せになれるのでしょう?
そんな疑問が心にわいて来て、前野隆司さんの「7日間で『幸せになる』授業」という本を手に取りました。
前野さんは元技術者。科学者の視点から幸せについて研究する「幸福学」の第一人者です。幸せという抽象的なことについて科学的に書かれたこの本は、とても分かりやすくていい本です。
すごく内容が濃いので、7日間の中の第1日目の章に書かれていることをまとめて、感じたことを書きたいと思います。
幸せの鍵は「主体性」
起業・事業体で働くビジネスパーソンにアンケート調査を行ったところ、もっとも幸せを感じる人が多かったのは経営者。次いで管理職。もっとも不幸せを感じていたのは一般社員の社員だったそうです。
これは何を意味しているのでしょう?前野さんは「主体的に仕事をしているかどうか」がポイントになると書いておられます。そして「自由さがあるかどうか」も。
「ですから、一般社員が幸せに働くコツの1つは、自分自身がやりたいと思いながら仕事をすることです。自分が持っている個性や強みが生かせるような仕事に従事する。組織に縛られるのではなく、自由さの中で仕事をしていく。あるいは、仕事の中に面白さや意味を見出す。それができれば、人は幸せに働けるのです」
と書いておられます。
主体的であることの大切さは「7つの習慣」を読んだ時にも学びました。「やらされ感」ではなく、自ら動く、働く、判断する。主体的に働けているかどうかで、仕事においての幸福感が得られるかどうかが決まるのだそうです。
これ、すごく納得です。私は高齢者施設で介護補助として働いていますが、「どうすれば利用者さんは喜んでくださるだろうか?」「どうすれば職員さんの助けになれるだろうか?」といつも考えて働いています。心を込めて働いています。だから仕事を終えた時は、疲労感ももちろんありますが、それを上回る充足感があります。
主体的に働くこと、主体的に生きること、とても大切なのですね。
幸せとは多様な価値を「尊重」すること
ある人はそれを幸せだと感じるけど、また別の人にとっては幸せとは思えないということはあります。時代によっても年代によっても住んでいる地域によっても違ってくるでしょう。
前野さんは、
「社会が複雑化すればするほど、人々の幸福感は多様化します」
と書いておられます。そして、
「価値観が多様化した今、大切なことはお互いの幸福感を認め合うことだと思います。自分の幸福感を押し付けるべきではありません」
とも書いておられます。これもすごく納得です。
自分の幸福感を過度に、無理やりに押しつけることによって、戦争などが起こってしまうのではないかとも思います。戦争までには至らなくても、押しつけられた人は生きづらさを抱えるはずです。
でも、前野さんは、こうも書いておられます。
「幸福学に基づくならば、多様性はもちろん大切だけれど、どうやら『推奨すべき多様性』と『容認されるべきでない多様性』があるのです」。
多様性にも良いものと、悪いものがあるのですね。
そして、
「幸福学とは、道徳や良識の科学です」
「幸福学とは、単に幸せとは何かを考えるだけでなく、いかに生きるべきかについての基軸を提示する、応用倫理学であるとも言えるでしょう」
とおっしゃっています。
幸せになりたくない人っていないと思います。もしかしたらいるのかもしれませんが、多くの人は幸せに生きたいと望んでいるはずです。
でも、その幸せになりたい気持ちからの行動が、他人の幸せをおびやかしてしまうものだったら、「ちょっと違うんじゃないの?」ということをおっしゃっているのだと思いました。
「いかに生きるべきかについての基軸」ってとても大切だと思います。
山寺で、息子たちの子育てに家事に寺の仕事に、そして自分の仕事に明け暮れていた日々を送っていた頃の私は、それがどれほど幸せでかけがえのないものなのかということに気づかずにいました。病気になって、離婚して家庭を失ってみて初めて、そんな日々がどれほど幸せで、ありがたいものだったのかということを思い知りました。
今私は幸せに生きたいと願っています。そして周りの人を幸せにしたいとも思っています。そのために幸せについて学べるとてもいい本に出逢えました。しっかり学んでいきます。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。