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心の安全基地をつくりたい!広げたい!(統合失調症の私のNPO法人設立奮闘記)

心の安全基地づくりがしたい

私は統合失調症です。発病して約20年。この間いろいろありました。本当に色々ありました。

やりがいを感じていた児童英会話講師の仕事を辞めざるを得なくなったり、離婚して最愛の息子たちと別れなければならなかったり。淋しさと絶望感から自殺未遂をしたこともありました。

パチンコ依存にもなったし、誰かに抱きしめてもらいたくて、マッチングアプリで次々と男の人に会ったりして、男性依存にもなりました。そんな自分が嫌で仕方なかったけれど、暗闇から抜け出せずにいました。

でも、今私はとても幸せに暮らしています。介護補助の仕事にもやりがいを感じているし、毎日ちゃんと料理して、一人暮らしも頑張っています。

息子たちともいい関係が続いているし、素敵な仲間に囲まれて、とても楽しく幸せに暮らしています。

以前私は、クリニックとは別にカウンセリングを受けていました。そのカウンセラーの先生と一緒に「違いを認め合える会」Crossroadsという会を立ち上げて、その活動を頑張りました。その活動を通じて、外国人の方達や、日本人の方達や、とても素敵な方達と出逢うことができました。

カウンセラーの先生には、物事の捉え方や、考え方などとてもたくさんのことを教わりました。
「もう、一人で考えて選択していくことができるかもしれない」
そう思ってカウンセリングは卒業しました。Crossroadsの活動も卒業しました。卒業することは、自分自身で選びました。

カウンセリングとCrossroadsの活動を卒業した私は、「心の安全基地づくり」のSafe Space ほっこりという会を立ち上げました。

「心の安全基地」。それは、発病前の私が切実に求めていたものでした。

元夫が僧侶だったため、私はお寺の奥さんとして、毎日忙しく働ていました。それプラス児童英会話教室の仕事と家事育児。毎日睡眠時間を削って働いていました。睡眠不足と過労に加えて、実家で次々に問題が起こりました。その悩みを誰にも打ち明けられずに、一人で抱え込んでいました。心の安全基地がなかったのです。

その結果、私は34歳の時に統合失調症を発症してしまいました。心が壊れてしまったのです。

心の安全基地があれば、私は発病せずにすんだと思います。だから、「心の安全基地づくり」をしたいと切実に思ったのです。


統合失調症のミュージシャン、竹村公成さん

Safe Space ほっこりの活動

ありがたいことに、私の思いに賛同してくれた仲間と出逢うこともできました。毎月第2土曜日に一乗寺の珈琲焙煎処桃栗さんで、「コーヒーと音楽を楽しむ会」というイベントを開催したりして活動しています。

イベントに来てくださった皆さんと

5月には、発達障害の当事者で、プロのナレーターとして活躍されていて、「発達障害で『ぐちゃぐちゃな私』が最高に輝く方法」の著者であり、二人の娘さんのお母さんでもある中村郁さんの講演会と、特別支援学校の教師として、長年障害児教育に携わり、早期退職後はシンガーソングライターとして活躍し、世界5大陸で歌ってこられた阿部ひろ江さんのライブのイベントを開催しました。たくさんの方に来ていただき、とても温かなイベントになりました。

中村郁さんと阿部ひろ江さん

イベントを開催することを選んで、本当に良かったと思います。仲間の支えにも感謝しています。


フランチスカさんのイベントのチラシ

毎月開催している桃栗さんのイベントに加えて、10月には、ドイツ人の女優でアーティストのフランチスカ・ローザさんのコンテンポラリーダンスと写真作品展も企画しています。ギターの伴奏者のTo Yukawaさんは、私のクリニックの友達で、統合失調症です。

表現する場を求めていた二人に、チャンスを与えられたことをとても嬉しく思っています。素敵なイベントになるために、仲間の意見も聞きながら準備しています。

「イベントを開催する」ということを選択してよかったと思っています。大変なこともたくさんあるけれど、学ぶことや気づきがたくさんあるからです。そして出逢いもあるからです。


NPO法人設立に向けて

そんな私は今、なんとNPO設立という目標に向かって、頑張っています!

「NPO?」
「なんでまた?」
「テンションが上がってんのとちゃう?」
「そんなの無理に決まってるやん」
と思う人も多いと思います。無茶苦茶な時代がありましたから、私。そう思われるのも当然です。

でも、本気なのです。本気でNPO設立の決心をして、動き始めています。

NPO設立についてご存知の方もおられるかもしれませんが、ものすごくたくさんの書類を用意しなければいけません。

そんな労力を使ってまで、なぜNPOを設立したいのか?
それは、私自身が、心の安全基地を得たことで、大きく変わることができたからです。もちろん良い方へです。

心の安全基地を得たことによって、一歩踏み出す勇気が持てるようにもなりました。この一歩踏み出す勇気って、とても大切だと思います。
「どう一歩を踏み出したらいいかわからない」
そんな人の背中を押すことができれば、とても嬉しいです。

幸いなことに、病状というか心の状態もとても安定しています。

そして、とても素敵な仲間と出逢うことができました。この活動自体が私の「心の安全基地」になっています。

「そんな心の安全基地づくりの活動をもっともっと広げていきたい。そして、かつての私のように暗闇の中にいる人の支えになりたい」という思いが日に日に強くなっていって、NPO法人を設立することを決心したのです。

今は京都で活動していますが、その輪を全国に広げていきたいのです。理事になってくれた5人のメンバーのうち3人は関東在住。京都以外にも活動の輪を広げていくことができそうです。



誰を助けたいのか?

私はほぼ毎週土曜日に、Clubhouseの赤羽雄二さんの「なんでも相談カフェ」のルームに入って、赤羽さんに色々なことを報告したり、相談したりしています。赤羽雄二さんはゼロ秒思考の考案者でです。
赤羽さんにNPO設立に向けての準備をしていることについて話し、相談しました。

赤羽さんは、「とてもいいことだし、意義のあること思います。暮島さんたちが『誰を助けたいか?』ということがとても大切ですね」とおっしゃいました。

Zoomで、理事のみんなでその事について話しました。

私は、
「統合失調症や心の病を抱えている人、特に就労意欲のある人や、就労していて人間関係の悩みなどを抱えている人を助けたい」
と言いました。

あと、
「自分も悲しく辛い思いをした、離婚によって傷ついた人の力にもなりたい」
とも言いました。離婚して子どもと会えなくなった時の辛さは筆舌にしがたいです。

介護現場で働く、京都の理事と東京の理事は、
「介護のことで悩んでいる人の力になりたい」と。

また、
「病気と診断されていなくても、生きづらさを抱えていたり、孤独感を抱えている人はたくさんいる。そんな人の力になりたい」
と言った理事もいます。

そしてみんなの意見をまとめました。

「誰にも相談できない悩みを抱えていたり、生きづらさを抱えている人の心の安全基地づくりをしていきたい」。

それがNPO Safe Spaceの会の目的です。


なぜNPO法人にしたいのか?  

「会の目的はわかったけれど、なにもNPO法人にしなくてもいいのでは?」
という声も聞こえてきそうです。たしかにNPO法人を設立するにはたくさんのプロセスを踏まなくてはいけないし、正直大変です。

それでも私たちは、NPO法人設立を目指しています。なぜなら、「心の安全基地づくり」の活動を広げていきたいからです。京都中、日本中いや世界中に広げていきたいのです。

「愛着障害 子供時代を引きずる人々」の本の中で岡田尊司さんは、愛着障害の克服のためには、「安全基地」を持つことが大切だということを書いておられます。心の安全基地が必要なのです。

家庭や学校や職場や社会で安全基地が持てずに、傷ついたり、生きづらさを抱えている人はたくさんいます。本当にたくさんいます。

そんな人たちの心の安全基地にSafe Space ほっこりがなれるように、みんなで頑張っていきます。そして化学反応みたいに、Safe Space ほっこりで出逢いが生まれて、温かな輪がどんどん広がっていけばいいなと思います。

それが私の夢の1つです。
なんかこの夢、叶う気がするのです。

だって、私はこんなに素晴らしい仲間に出逢えたから!

私は、病気になって、たくさんの物を失いはしましたが、それと同時にたくさんの物を得ることもできました。

今はこの病気になったことに感謝しています。


病気をオープンにして、あきらめずに生きる

病気と共に生きる私。病気になることは私が選んだことではありません。でも病を得た私は、たくさんの選択を自らしてきました。自分で選んで一歩を踏み出してきました。

一番大きな選択は、
「病気をオープンにして生きること」
です。仕事も病気を開示して働いていますし、友達にも病気のことを伝えています。

いや、もっと大きな選択をしているかもしれません。それは、
「病気だからといって、あきらめないということ」
です。

統合失調症になったからこそ、心の病気になったからこそ得られたもの、出逢えた縁がたくさんあるからです。だから、あきらめずにチャレンジしていきたいのです。前に向かって歩み続けていきたいのです。

これからの人生でも色々な岐路に立つことがあるでしょう。どんな時も自分を信じて、仲間や友達や息子たちの支えを得ながら、自分の進むべき道を選んでいきたいです。

「なんか私、けっこう頑張ってるやん!」
そう思えるように生きていきたいです。
燃えるような「YES !」を胸に生きていきたいです。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました。  


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