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キャリコンことば辞典その8:「ミラーリング」と「ペーシング」…仕事のみならず恋愛でも役立つスキル

コミュニケーションにおいて、大切だと言われる「間」や「話すスピード」、そして「あいづちや返事・リアクション」。
それらをカッコよくしたことばが「ミラーリング」と「ペーシング」です。

キャリアコンサルティングでは、クライエント(相談者)との話のスピードに気を付けましょう…特に「ペーシング」に気を使うように言われます。
でも、「ミラーリング」と「ペーシング」をうまく使えば、仕事や恋愛・人間関係全般にポジティブな影響をもたらすことだってできるんです。

この記事では、キャリアコンサルタントの視点から「ミラーリング」と「ペーシング」の違いと効用について考察します。


「ミラーリング」と「ペーシング」の違いとは

「ミラーリング」と「ペーシング」は、コミュニケーションで相手との共感を深め、信頼関係を築くために用いられる重要なテクニック。
どちらも「相手の状態に合わせる」という点で共通していますが、それぞれに特徴があります。

ミラーリングとペーシングの違い

・「ミラーリング」は主に相手のノンバーバルな表現やしぐさを真似ること

「ミラーリング」 は、主に相手の非言語的な表現(ノンバーバルな表情や仕草など)を真似することで、相手との一体感を高める手法。

ミラー、すなわち鏡のように相手の行動を反射することで、相手は「この人は私のことを理解してくれている」と感じやすくなる心理的な効果を利用します。

何でもかんでも、相手の真似をしてばかりだとわざとらしくて逆効果ですが、適度に真似ることで自然と相手とのペースが合いやすくなるという効果もあるようです。
例えば、食べるスピードや飲み物を飲むタイミングなどが同じだと、安心するというか、どことなく親近感がわくことがあるかもしれませんが、それに似ていると思います。

・「ペーシング」は相手のことばや声のトーンなど様々な事象を合わせること

「ペーシング 」は、相手のことばだけでなく、声のトーンや呼吸・話すスピードなど、様々な要素を合わせることで、相手の内部の状態に同調しようとする手法。

相手のペースに合わせて会話することで、相手は安心して心を開きやすくなります。
一方で、ペースをコントロールしたい時に、敢えてこちらが遅くしたり、一拍置くなど、流れを変える時にも利用することも可能です。

相手とテンポよく会話が進むと、こちらも気分が良くなりませんか?
イメージとしては、テンポよく会話が進んだり、違和感を覚えることなくスムーズに話せている感じを想像すると分かりやすいかもしれません。

「ミラーリング」と「ペーシング」どちらを使ったらいい?

「ミラーリング」と「ペーシング」は、どちらも自然にさり気なく使ってこそ効果を発揮します。
どちらをより使うといいかは、状況や相手によって異なりますが、ざっと分類すると次の通りです。

「ミラーリング」 は、初対面の人とのコミュニケーションや、相手の感情を理解したい場合に有効。例えば、初めて会う取引先の人や、お見合いでしょうか。

「ペーシング」 は、相手と信頼関係を深めたい場合や、交渉ごとを進めたい場合に有効です。
例えば、大切な商談で相手からの信頼をもっと得たい時や、意中の相手ともっと仲良くなりたい時などが考えられます。

「ミラーリング」の実践例

相手が笑顔を見せたら、自分も笑顔を返したり、相手が眉をひそめたら、自分も少しだけ眉をひそめるなどの表情の真似。

または、相手が見ている方向に視線を合わせてみたり、相手が手を広げて話しているなら、自分も手を広げて話す、相手が前傾姿勢で話しているなら、自分も前傾姿勢になる、などが挙げられます。

あくまでも相手に「あ、真似られてるな」と悟られない程度にさり気なくやるのがポイントです。

「ペーシング」の実践例

例えば、 相手が「今日は疲れた」と言ったら、「私も今日は少し疲れているんです」と共感の言葉をかけたり、プレゼンなどで聴衆の反応を見ながら、話す内容やスピードを調整することなどが挙げられます。
相手の話を遮らずに最後まで聞き、相手のことばや感情に関するキーワードを繰り返すことで共感を示すこともできるでしょう。

「ペーシング」は、意識的に行うことで、より効果を発揮しますが、こちらもあまりにもわざとらしいと、かえって逆効果になりますので注意が必要です。

キャリアコンサルティングにおける「ミラーリング」と「ペーシング」

キャリアコンサルティングにおいて、「ミラーリング」と「ペーシング」を効果的に使えば、クライエント(相談者)は「理解されている」「共感されている」と感じやすくなります。
結果的に、信頼関係構築の効果を発揮すると考えられます。

また、 クライエントが心を開き、より深く自分のことを話してくれるようにあり、問題解決や自己肯定感を高める働きも期待できます。

「ミラーリング」と「ペーシング」は大切だけど…それ以上に相手と向き合おう

「ミラーリング」と「ペーシング」は、どちらも相手との関係性を円滑にするための強力なツールです。
これらのテクニックを効果的に活用することで、より深いコミュニケーションを実現することができますが、頼り過ぎると危険。

本来、キャリアコンサルティングだけでなく家族や恋人・友人などの人間関係において大切なのは「相手の気持ちを知りたい」「もっと話を聞きたい・理解したい」といった気持ちと態度です。
これらのテクニックさえ使えば、確実に相手の気持ちや信頼を得られるわけではありません。

あくまでも、「ミラーリング」や「ペーシング」はちょっとした助けになるテクニックですが、絶対的なものではないことを認識しておくことが大切。
まずは、目の前の相手の目や表情を見て、感じることや受け取るものに耳を澄ませてみてくださいね。


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