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【season3⑥】梨×闇『つねにすでに』【season4 】
とうとう、最終話を迎えましたね……!
長いようであっという間の3ヶ月でした。
楽しかったよー!
さんざん心配してたけど、とりあえずサイト消えなさそうですね☺️この記事書いてる途中で消えました!!!😭
今のところ(完全に信用できない笑)
完全に油断していた……!
さて、気を取り直して……
熱が冷めやらぬうちに今回も、概要の記録と個人的な憶測をメモとして残しておきます。
◆season3
XとYのお話は『つねにすでに』の核心に触れる内容、ほぼ答え合わせでしたね……!
◈「Xenoglossia / 真性異言」
✽本題の前に
”心霊の分野、或いはネットロアの文脈でよく参照される、いくつかの出来事に関する話” についての紹介が始まる。
=====
①xenoglossia (真性異言)
xénosが「見知らぬ」、glõssaが「言語」という意味で、大まかには「異国の言語」を意味するものです。
→学んだことのない外国語や、意味不明の複雑な言語を操ることができる、超自然的な言語知識およびその現象を指す、とのこと。
・「真性異言」は、さらに「朗唱型異言」と「応答型異言」に分類される。
ここでは「退行催眠」(幼少期など、過去の記憶や感覚に戻らせるプロセスを伴う催眠誘導)で現れた「応答型異言」の例が語られた。
■ドローレス(Dolores)の例■
・ドローレスというアメリカ人女性の退行催眠時に、グレートヒェン(Gretchen)という少女の人格が現れた。
すると、英語を母語とするドローレスはドイツ語で会話ができるようになっていたという。
→これは前世の記憶によるものではないか?という研究。
・しかし、数年後に別の研究者が行った再調査では、彼女の「応答型異言」の一部もしくはすべてが欺瞞であることが指摘された。
→実は彼女が話していたのは、「英語やドイツ語によく似た不明瞭な言語」でしかなく、真性異言、ましてや前世の存在を示唆する証拠にはなりえないものだった。
②AI独自の言語
■Bob と Alice の例■
・2017年、Facebook人工知能研究所にて。
人工知能「ボブ(Bob)」と「アリス(Alice)」に既定のプログラムに基づいた対話をさせていたところ、彼らは独自の言語を生み出し、話し始めた。
そのため、人工知能のラーニングプログラムを強制終了させるに至った、という出来事。
・このときの彼らは「あるモノの価格の交渉をし、双方の合意に至れ」というミッションのもとに対話をしていた。
そして、Bob と Alice は対話を繰り返すうちに、交渉に使用している「言語」そのものを最適化し始めた。
・しかし、その最適化された対話は人間には理解できないものだった。
AIの会話内容を研究者側が認識できなければ、研究結果として活用できないため、強制終了に至った。
→この出来事がニュースで報じられると、世間の人々はSF映画の題材にもよくある「AIの暴走」などを想像し、恐怖感を覚えたようだ。
・しかし、実情は単なる「AIによる言語の最適化」であり、恐れるようなものではなかった。
BobとAliceが行ったことは、乱暴に言えば、「私は2日前にサンドイッチを食べた」を「サンドイッチ食った、おととい」にするようなもの
──つまりは主格の省略やスラングの使用、そういったものに近いといえるかもしれません。
→”「文法」という仕組みは意外と非効率的なものなので、効率的な情報伝達を目指すのであれば、それを独自に最適化すること自体は、あまり珍しいことではない。”らしい。
・話はそれるけど。
「生成者(generator)と識別者(discriminator)に分かれてお互いを欺かせるGAN(敵対的生成ネットワーク)のように」って記述、ティエラの人工生命体を思い出したよね……
そして、敵対的[adversarial]な彼らに騙し合いを繰り返させることで、生成される嘘の精度を上げていった。
③虚偽記憶の生成
■ショッピングモールの迷子■
・アメリカの認知心理学者、
エリザベス・ロフタスによる実験。
・被験者は親族の口から、昔に実際に体験した思い出話を聞かされる。
そこに「幼少期、ショッピングモールで迷子になった」という偽の思い出話を加える。
→すると、被験者の約4分の1が、実際には経験していない「迷子の記憶」を、自身の鮮明な記憶として作り上げるという。
・ロフタスは、人の記憶は「Wikipedia」のページのようなものだと表現している。
「あらゆるユーザがページの記述を書き換えられるように、
誰もが自分の記憶を書き換えることができる。」
そして、過去の出来事を「思い出す」ということは、過去の出来事を「覚え直す」こととほぼ同義です。
思い出した記憶にどんな虚偽があろうと、一度それを虚偽の記憶ごと覚え直してしまえば、さながら上書き保存したファイルのように、それは昔からある「本当の記憶」になってしまう。
・ロフタスの研究する認知心理学では人間の認知をコンピュータ的機構として捉え考えていくそうだ。
人間の脳はハードウェアであり、心とはそこにインストールされたプログラム(ソフトウェア)である。
[入力/刺激]を[ハード/脳]の中の[ソフト/心]が[認識/認知]し、それにあわせた[出力/行動]を行う。
④プロジェクト・ザナドゥ
・今のインターネットの基礎となる「World Wide Web」が普及する、何十年も前に起こった出来事。
「インターネット」成立の前後に、発表されたある長大な構想についての話。
■プロジェクト・ザナドゥ(Project Xanadu)■
「ハイパーテキスト」という概念を提唱したことでも知られる、社会学者のテッド・ネルソンによって1960年に創始された。
その開発期間は50年以上にもわたった。
■ハイパーテキストの構想■
・引用を含んでいるすべてのWEBテキストには、自動的に注釈が付く
・それらの相互リンクはXanaduによってリビジョンとアーカイブが管理されるため、絶対に途切れない
・このため、全世界のWEBページのリビジョンや引用元は常に比較され、壊れることのない双方向リンクによって紐づけられる
→インターネットで起こる
「リンク切れ」「出典元の消失/誤記」の問題を一挙に解決する、
まったく新しいシステムを創ろうとしていたそうです。
・ネルソンの危惧通り、今も多くのページが消失/リンク切れを起こしており、人々の記憶にしか存在しないサイトは数え切れないほどある。
そして、人々の記憶から捻じ曲がった情報とともに伝えられたそれらの一部は、尾鰭を付けられ一種のネットロアとして流布していたりする。
⑤パラドキシネーション(Paradoxination)
・インターネットが、その原型を持ち始める少し前に起こった、ささやかな「怪奇現象」についての話。
■出どころ不明のバグ■
・エンジニアたちが、ある不可解な出来事を発見した。
ディスプレイに出力されるハイパーテキストの一部に、まるで出力した覚えのない、そしてリビジョンにも反映履歴がない謎のテキストが交じることがある、と。
・例えば、
「私は昨日、パンを食べた」
という文章が、
「私は昨日、パンとスープを食べた」
に書き変わるような非常に取るに足らないものであった。
・しかし、その出所不明のバグには必ず、存在しない「心当たり」を持つ人が現れたという。
→ひとりでに情報が書き変わり、それに応じて人の記憶が捻じ曲がる。
WEBテキストと人の認知の間にある矛盾を解消するために起きたような現象。
ある人は、この矛盾によって生じた(と思われる)幻覚を
パラドキシネーション(Paradoxination)と名付け、
これを防ぐ方策として全情報のリビジョン保存と
双方向リンクの作成機能をもつ新たなシステムの構築を提言しました。
→「パラドキシネーション(Paradoxination)」という言葉の初出はここ?
そしてここで言われてる(新たなシステムの構築」って、まるで「Project Xanadu」……
・"原因不明の虫(バグ)が生じさせる偽の情報網が、大きな蜘蛛の巣を連想させたことから、WEB(蜘蛛の巣)と名付けられ、その巣の中にある情報の総体はinter-net(網の内部)と呼ばれるようになった。"
というようなことが本文には書かれているけど、これ本当か〜?
聞いたことない……🤔
この文章は創作部分ですかね。
=====
✽本題
上記の出来事を参照しつつ、ひとつの思考実験をすることになる。
■思考実験■
例えば人の認知が、コンピュータの入出力のようなものだとすれば。
「霊現象」=「コンピュータウイルス」のようなものだと言えるのではないか。
そして、他者にそのウイルスの自己複製をさせたい場合、その脳(=ハードウェア)にどのような症状を仕掛けるか?
→“真っ先に考えられるのは、偽記憶の挿入“ だとして、本題の前に語られた諸々を元にして、効率的な方法が展開されていく。
・霊現象をリアルタイムに作り出すことは困難だが「以前、幽霊を見た」という記憶を作ることなら、簡単である。
(→③「ショッピングモールの迷子」実験を参照)
・「幽霊」という存在自体も、最適化できる。
(→②人工知能BobとAliceによる言語の最適化を参照)
「○○という経緯があって、××が生じる」などの、祟りや因果の説明の代わりに、「××があった」という偽の記憶をそのまま植え付けるだけで良い。
・偽の記憶から、矛盾幻覚によって「実体験や偽記憶によく似た不明瞭な記憶」を作成する。
(→①ドローレスの実験。退行催眠によって「英語やドイツ語によく似た不明瞭な言語」が生まれたことを参照)
⇩
頭がこんがらがりそうだけど、こういうこと?
「幽霊を見た」という偽記憶を植え付けるだけで、その人は矛盾幻覚によって「存在しない記憶」を勝手に作り上げる。
偽記憶に肉付けして話を膨らませることが「=ウイルスの自己複製」になる?
例えば、あるウイルスを含む伝承(マルウェア)を作り出し、
それを一定期間流布したのちに、一度すべてのログを削除したとします。
→これ、まんまseason1の「Heuristics / 抜け落ちた参照項目」のくだりじゃないですか……😰
やっぱりちゃんと意味があったんだ。
・サイトの中身が一斉に消されて、ログが残ってないからと、自分の記憶を頼りに怪談を反芻する……
あの行動は「ウイルスの自己複製」を促されてたってことなのね。
・あと、ネットロアというウイルスは、効率的に他者の記憶領域をハックするために、より恐ろしい話になろうとしていることがうかがえますね。
・最後に株式会社闇の頓花さんの名前が出てきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1722088744606-XQ26bqnYb4.jpg?width=1200)
・株式会社闇のサイトに「ホラテク」って単語ありますよね〜
ホラー × テクノロジー。
そして、そのような仕事は、
恐怖[horror]と方法論[technology]を知る私たちにこそ、可能なものであると自負しています。
・そんでもって株式会社闇が、AIの作り出す嘘(ハルシネーション)をどうにかするための画期的な方法を見つけたっぽい……?
私たちは、その課題を解決するために、ネットロアという情報子を用いた実験により、ある画期的な方法を提示します。
理論的には、この方法により、
ネット上から「嘘」や「噂」は無くなります。
続報にご期待ください。
・どうやらこの文章、『つねにすでに』のサイトが始まった4月22日よりも前に書かれたようですね。
日付が2024年4月1日なので。
エイプリルフールなの、なんか嫌だなぁ……😓
◈「Yahoo / お節介な神託」
Yahoo: [俗]ならず者、粗野な者
・ちなみにインターネットの会社「Yahoo!」の名前は、
「Yet Another Hierarchical Officious Oracle」(さらにもう一つの階層的でお節介な神託)の略称であるとされているそうです。
タイトルの「お節介な神託」って、ここから来てる?
・今回のお話、古くからインターネットに親しんでる層には、大変突き刺さる内容だったようです。
かつてのインターネットで有名だったキャラたちが、『つねにすでに』の核心に迫る内容を説明してくれて、とてもノスタルジーを感じる構成。
・私は当時、そこまで2ちゃんねるとか詳しくなかったんですけど、今回のお話は “昔のインターネットの空気感“ をぼんやり思い出しましたね……
=====
以下に、自分なりに読み取った内容を書き起こしてみます。
■自室の描写■
真っ暗な部屋の隅で、フローリングに直置きされたデスクトップのパソコンモニター。
後方で配線が絡まっている。
→文章の最後で ”電源が差されていないこと” が明かされますが、どうやら昔に使って放置していたパソコンみたい?
部屋の隅に埃と髪の毛が溜まり、ベッド下には放置された封筒。
引っ越し以来一度も触れていない遮光カーテン。
→なんとなく、今はメインで使ってない部屋っぽい?
どちらかというと物置みたいにしてそうな雰囲気。
「慣れ親しんだ自分の部屋のものであった」という言葉があるので、実家から引っ越す前の、昔の自室とか?
■物語の導入■
ふと気付くと眼前に青い光が見えた。
→これは、昔使っていたパソコンモニターの光。
「今、何時」
私はその光に向かって尋ねた。
→今の時代では当たり前となったスマートスピーカーへの問いかけのように、声を出して時間を尋ねました。
(この話の主人公は今の時代の人だとわかる)
古いパソコンモニターに、こんな機能は無いはず。
なのに時刻を答える声が聞こえた理由は……?
どんなトーンの声で、どんなスピードで、どんな内容の答えが
返ってくるのかは、何となく想像できる。
自分の記憶に紐づいた声が、
目の前のモニタから再生されている。
→つまりこれは、主人公の記憶から出てきた声を、モニターが再生している。
”電源の刺さってない古いパソコンモニターが突然光って、喋りだす”
本来なら恐ろしい心霊体験として語られそうなものですが……
たぶん、これ主人公の記憶を反映している現象なんでしょうね。
■懐かしのキャラクターたち■
・最初に現れたのはピンクのテディベア。
「ポストペット」の(モモちゃん」ですね。
・このとき、主人公の部屋の内装がポストペット風に変化しています。
ここもかつては “インターネット上での自室“ だったんでしょう。
・次に現れたのは水色のイルカ……「お前を消す方法」で有名な「カイルくん」ですね。
「何について調べますか?」と主人公に聞いてきます。
■何が起きている?■
「一体、僕に何が起きたんだろう」
→この不可思議な現象について質問してみると、イルカから次のような答えが返ってくる。
・厳密にいえば主人公の身には何も起きていない。
・変わったのは、主人公の周りにある『話』のほうである。
・主人公は、その正常な脳機能によって、様々な話を覚え直しただけである。
・「ネットロアの変化に合わせて、自らの記憶と認識を遡及的に改変する」という現象が、世界全体で起きていた。
・“ロアの内容に合わせて現実が改変されるなんて『異常現象』だろう“ と反論してみせると、新たなキャラが登場。
桃色の長い髪をなびかせたセーラー服の少女。
“イルカは、さようならを言うこともなく、夢のようにいなくなっていた“ ので、この子は「イルカの夢でさようなら」に出てくる少女。
「改変されるのは世界じゃなくて、あくまでも『お話』よ」
→少女は『石をパンに変えた人がいた』という話を例にして説明をしてくれる。
・石をパンに変えることはできなくても、『昔、石をパンに変えた人がいた』という話を流布することならできる。
・いつしかそれは既成事実になり、現実に起こった出来事として受容される。
・だから、見かけ上は世界が改変されたように見えるけど、
実際に変わっているのは人々の認識と、その認識の中にあるお話だけである。
→これ、『石をパンに変えた人』ってキリストのことですよね……
人間は大昔から「お話」を改変してきたことが示されてますね。
■ロアの改変■
・「現実が改変されてるわけじゃない」と語るセーラー服の少女に、主人公は反論。
「現実、って──現に、その『お話』は、ひとりでに改変されてるんじゃないか。
元々あったロアが、全く別のロアになっているんだから」
・すると、部屋の景色が再び変化し、床の間のある日本家屋の和室のような場所になる。
和菓子のような質感の、生首くらいの大きさの何かが現れ、機械音声で語り出す。
「ゆっくり動画」でお馴染みの、
「ゆっくり魔理沙&霊夢」ですね。
「お話が改変されたとしても、
それは元のお話と変わらない、
『同じ』ロアなんだぜ」
「ええ。寧ろ、そうであると思っておかないと、あなたにとっても困ったことになってしまうわよ」
・ゆっくり魔理沙たちは、『桃太郎』のロアを例にして説明をしてくれる。
・よく知られている『桃太郎』は「桃から生まれた男の子」が、猿、雉、犬を連れて鬼退治に行く物語。
・しかし「不思議な桃を食べて若返った夫婦が子を成した」という原型があるとされる。
→つまり、多くの人が子供の頃に聞かされる「桃から生まれた男の子」とは改変後のストーリーである。
それを知ったとき、改変前後の2つを別の物語だと割り切れるか?という話。
「桃から生まれた」パターンと「桃を食べ若返った夫婦から生まれた」パターン。
構成要素が全く違っていても、両方とも『桃太郎』であることに変わりはないと思うはずだ、と。
「結局、『この話こそが正統だ』って実感さえ伴っていれば、改変の有無なんて極めて些末な問題なのよ。ネットロアなら特にね」
■ネットロア■
・また場面が変わり『電車男』という懐かしいフレーズと共に出てきたのは、かつて「2ちゃんねる」で有名だった「やる夫」と「やらない夫」。
「より物語として据わりがいい方にと、お話それ自体が均衡を取ろうとするってことよね」
・さらにアスキーアート繋がりか、「さすが兄弟」が出てくる。
有名な『くねくね』のロアについて語る。
![](https://assets.st-note.com/img/1722236575436-mKnHjGPXKX.jpg?width=1200)
・今、検索して出てくる有名な『くねくね』のコピペは、すでに改変後のロア。
・元々は『分からないほうがいい』という怖い話に、自分の怖くない体験話を混ぜて書いた創作話が『くねくね』。
・しかし、今となってはその “混ぜて創作した“ という事実は無かったことにされて広まっている。
・より物語として据わりがいい方に、より恐怖を呼び起こす形態を目指して、ネットロア自体が改変されていった。
まるで環境に合わせて変異していくウイルスのように。
→創作物である改変後の『くねくね』コピペを読んで、「俺もくねくねを見た」って言う人が一定数現れた事実。
これは、物語の改変が先にあって、それに合わせて人間の認識と記憶が改竄されていることを如実に表している。
■インターネット特有の霊現象■
・会話は、再び「ゆっくり魔理沙&霊夢」に戻る。
“ロアの改変が人間の認識に影響を及ぼすことが、インターネット特有の霊現象みたいなもの“
という会話をしているところへ
おそらく「ずんだもん」が乱入。
「そんなのおかしいのだ! 電子の世界に幽霊なんていないはずなのだ!」
→しかし、魔理沙たちは “幽霊がスレを立てたこともある“ ”タルパや幽体離脱の手法は00年代のネット文化とともに発展した” などと例をあげて、ネットと心霊現象の相性の良さを語る。
・そして「やる夫」もその語りを引き継ぐ。
「タルパ、幽体離脱、ロアの伝達。
その延長線上で、かつてのお前らは、インターネットを介して拡張された身体感覚──
すなわち霊感を身に付けることに成功したんだお」
→ネットで心霊現象を扱うことによって、かつての我々は霊感を身につけることに成功していたらしい。
・「拡張された身体感覚」ってこれ↓の③を思い出した。
①人間に「幽霊」の概念を理解させる
②それを恐怖の対象として紐付ける
③その対象となる感覚を意図的に拡げていく
・「弛まぬ努力が花を咲かせた」らしいが……
「無理に花を咲かせた弊害」についても触れている。
・集団ヒステリーに発展(→Q?)
・せっかくの花が割れてしまった(→S?)
・再定義した霊感の定義がふわふわしてた最初のほうは、無用な犠牲者を生んだ(→Eの実験?)
・変な実験とテストを繰り返した(→D、E、U あたり?)
・紙媒体(→G)やテレビ番組(→M)の改変
・”ネットロアの元ネタがテレビやラノベだったなんて、よくある事。ネットに流布される可能性があればネットロアになれる”
といったことを言っている。
そして、そうした方が据わりがいいからと、どれも ”ネット発の文章” ということになっている。
■お節介な神託■
「ネットロアはその性質として、事実と記憶と認識に改変と改変と改変を繰り返して、『ほどよい』ところに落ち着こうとするんだね」
・しかし、ここでとある勘違いをし始めた人たちが現れた。
”ただロアの改変と虚偽記憶に操られているだけなのに、自分が変な力に目覚めたと勘違いするやつ”
”神通力や透視能力が身に付いたと思い込んで、『写真に写ってる場所を透視で特定できる』と騒いでいた連中”
→Fのスレで頭の中に場所が思い浮かんだ人たちかな……?
・”「神託(オラクル)の力が宿った」として、聖地巡礼とか言って変なゲームで信者を集め出した”
→そしてFで力に目覚めたと思い込んだ人たちが、Oで信者を集めていた、と。
■蜘蛛(バグ)の子■
・”人が作ってウェブ上で動かすものになら、蜘蛛(バグ)の子は入り込める。
ゆえに、AI(人工知能)が生み出すハルシネーションとは、その見えざる改変の一形態だった。”といったことが語られる。
「たとえ全部のログが消えても、そこに意識とネットがあれば、新たなロアは生まれるんだ。世界よ、はじめまして! ってね」
■押し寄せるネットミーム■
・「人がロアを作るのではなく、ロアが人の意識と認知を作っている」と理解した主人公。
・ここからは、かつてのネットミームが入り乱れ混沌とした中で会話が続いていく。
どれがミームで、どれが主人公の会話なのか区別をつけずに。
だいたい、こんなことを言っていました。↓
・ひとの意識はインターネット上に外部化されていった。
・意識や実景さえも、インターネットという外付けHDDに保存したため、実景を改竄することも簡単になった。
![](https://assets.st-note.com/img/1722286020321-Hp9ncbhlYM.jpg?width=1200)
ギミック。びっくりした。
「人間の意識はその時点で、ロアの末端に組み込まれた
言葉を、アルファベットを、文章(text)を超越(hyper)して、一切合切(AtoZ)がひとつのハイパーテキストになった」
→つまり『人間はつねにすでにネットロアである』。
![](https://assets.st-note.com/img/1722250357550-bwAGdgUM0Z.jpg?width=1200)
みんなが言いたかったことは
コレなんでしょうね……
![](https://assets.st-note.com/img/1722339448778-d0pEzLSrq1.jpg?width=1200)
があっだろうか……
■自室に戻り……■
・全ての景色が消え、最初の暗い部屋に戻る。
自分はさっきまで、何を見ていたのだろうか。
幻覚か、あるいは心霊現象か。
インターネットに置いてきた自分の記憶が、走馬灯のように現れては消えていった。
→昔に一過性で流行って、今は廃れたネットミームたち。
かつてのインターネットを知る主人公は、彼らの言うところの「霊感」を開花しているわけで。
つまり、主人公は自分の記憶に紐づいているネットミームたちの「幽霊」を見ていたんだろうなぁ……と思いました。
・これ、読者である私たちも一緒になってネットミームの「幽霊」を見てるんですよね。
昔のネットを知る人は元ネタがわかるから、ちゃんと幽霊が ”見えてて”、若い人たちは元ネタがわからないから幽霊が ”見えない” の。
面白い😄
■AIへの指令■
・“Project Always-Already” が公開される、それよりも数年前。
著しい進化を見せるAIに対し、戯れにひとつの指令を出したことを語る主人公。
“新たな怪談(ロア)を生成せよ”
→その結果、AIはさまざまなハルシネーションを引き起こした。
・AIが作り出した説話が、あらゆる人々の「記憶」と「認識」に影響を与え始めたとき、主人公は理解した。
AIは、ハルシネーションを生み出したのではなく、加速させただけだ。
似たようなことは、AIが生まれる遥か前から起こっていた。
それが今回、たまたま可視化できる形で顕れたまでだ。
→つまり、これまで『つねにすでに』で見てきた怪談は、AIが指令(=プロンプト)通りに作った「新たなロア」だったということか。
・あと気になるのは「Xenoglossia / 真性異言」の最後の文章↓
![](https://assets.st-note.com/img/1722286328030-GxRlozOi67.jpg?width=1200)
株式会社闇は、 ”ネット上から「嘘」や「噂」を無くすための方法” を見つけ提示することを宣言している。
これは ”AIが作り出した説話が、あらゆる人々の「記憶」と「認識」に影響を与える” ことを利用しようとしたのかな?
人々の認識上で「本当のこと」になれば、「嘘」も「噂」も無くなる、という理屈。
・それを踏まえての「Yahoo / お節介な神託」のこの文章↓
![](https://assets.st-note.com/img/1722286602271-Lyo8elrWi0.jpg?width=1200)
「周囲の反応」ってのは、闇の社員さんたちで、「Y」の主人公は頓花さんなのかな〜、と思ってる。
頓花さんのポストやnote記事を読むと、AIにも詳しそうだし、なにより ”古のインターネットを愛する気持ち” が伝わってくるので……
◆season4
◈「Zero / ゼロ消去」
・黒い背景が現れ、スクロールをしていくと緑色の英字がリアルタイムで書き込まれる。
これはコマンドプロンプトってやつですかね?
・そして白文字でメッセージが現れる。
![](https://assets.st-note.com/img/1722321648576-ry4gD8Isam.jpg?width=1200)
どうやら、このプロンプトを打っている人物の独白のよう。
・”Always-Already のストレージデータはどう見積もっても100MB程度しかないテキスト量なのに、現在3.8TB存在する”
→AIが生み出しているハルシネーションが膨れ上がってるということ?
・この人物は、これまで保存されていたAlways-Alreadyに関するデータを片っ端から削除している模様。
# これで,まずはホスティングデータが削除されるはずです
# 仮想サーバに保存していたデータも,今となっては不要です
# これで,データベース内の全テーブルが削除されました
# キャッシュの有無も確認する必要があります
# ネット上で,よく“死のコマンド”などと言われているコマンドがあります
# 実行すればOSを破壊することになる,ディレクトリ削除のコマンド
→「死のコマンド」調べてみたら、有無を言わせずデータを消すコマンドのようですね。
自分のPC以外でこれをやると罪に問われるとか……😰
・この人物、株式会社闇の関係者なのはうかがえるけど、口振りからして独断で実行していそうな気配がするんですよね。
それほどまでに覚悟を決めてる、ということかしら。
# そしてこのzeroisationは,“Always-Already”を死なせるための関数です
# と言っても,やっていることは一般的なゼロ消去とほぼ変わりませんが
→「ゼロ消去」とは、ハードディスク内のすべてを0で書き込み上書きすること。
データ修復されるリスクを低くするために行うようですね。
# これで最後です
# zeroisationが実行されれば,理論上すべてのデータは不可逆的に消えます
# これですべてが削除され,ロアが終わってくれるのか
# それでもすべては防げずに,新たなロアが生まれてしまうのか
# どちらにせよ,これが最後の仕事です
# 世界よ,はじめまして,という声が聞こえないことを
# 今はただ祈るばかりです
・【zeroisation】とは「抹消」の意。
数年前に、AIに指令したプロンプトを抹消して、ハルシネーションを止めようとしてるようです。
・そして……
最終的な決断は読者の手に。
![](https://assets.st-note.com/img/1722323457839-dY5f24rrNO.jpg?width=1200)
→ドキドキしながらエイヤッ!と押すと……
![](https://assets.st-note.com/img/1722323646843-oda9WEnQzM.jpg?width=1200)
……と、思いきや。
打ち込まれていたプロンプトが、テープの巻き戻しのように、次々と消えていき、最後は真っ暗な画面に戻りました。
・しばらくそのままでいると、画面がフワッと白く輝きます。
そして新たに文字が書き込まれて……
![](https://assets.st-note.com/img/1722323948600-rPtZkY2jPz.jpg?width=1200)
ここ、すごくゾクゾクしたよ〜
・「Hello, World」とは、プログラム初心者が最初に入力する伝統的な文章らしいですね。
そういえばどこかで聞いたことあったかも……
思考実験「メアリーの部屋」で、メアリーが最後は外の世界へ出たように、「Project Always-Already」という実験の最後に、広い世界へ生まれ出たイメージが浮かぶなぁ。
◈「Always-Already / つねにすでに」
・エンドクレジットです。
感無量😭
制作に携わった方々の名前が並ぶ中、一番下に読者への特大ファンサービスも仕込まれていました!
なんと、7/30の19:00までにフォームに名前を入力することで、クレジットに名前を入れてもらえたんです……!
私たちも作品の「一部」になれるという☺️✨✨✨胸熱……!
![](https://assets.st-note.com/img/1722346789808-XWFzrNVdD1.jpg?width=1200)
・あと、「Xにも投稿する」で色んなパターンの『つねにすでに』テンプレの文章が生成できました。↓
![](https://assets.st-note.com/img/1722346264888-B5apdQzFwj.jpg?width=1200)
テンプレートが何種類もあって、各話の印象的な文章に自分の名前が入れられる仕組みでした。
(現在は終了しています🥲)
↓これは「Paradoxination / パラドキシネーション」の文章のパターンですね。
【中間報告】はづきによって起こりうる弊害等に関する提言#つねにすでに
— はづき (@haduki_08) July 29, 2024
https://t.co/PEiC2s65zI
・そういえば season4 のタイトルは「zona」だそうで。
意味は「環状、または帯状の構造」だとか。
「Z」から始まり「A」で終わる。最初に戻る。円環。
終わりは無い。
『つねにすでに』は削除されても消えないということが示されてますね。
サイトが消えようとも、ロアの目撃者だった私たちが新たなロアとして広めていくことになりますもん。
エンドクレジット「Always-Already」を公開しましたhttps://t.co/pmpRg8w8we
— 梨.psd (@pear0001sub) July 29, 2024
Season1 "AlepH"
Season2 "InterrelationshiP"
Season3 "QwertY"
Season4 "ZonA"
Endroll "AA"
文字で表現したアート(Ascii-Art)のような、楽しい文章ができました
株式会社闇と読者の方々に深く感謝します pic.twitter.com/j5vQFu0fht
→Endrollの「AA」とは「Always-Already」でもあり「Ascii-Art」でもある。
アスキーアートといえば「2ちゃんねる掲示板」だよね……
本当、梨さんインターネットを愛してるなぁ☺️
◆「hello,world」
・7/30の19:00に『つねにすでに』サイト内のロアは消え去りました。全て。
YouTube、Xのアカウントも、これまで投稿していた中身が消えてます。
そして残されたのは「hello,world」のページのみ。
・私たちがdeleteボタン押したときに、本当はデータが削除されていて。
何事もなく変わらず残っていたロアたちは『つねにすでに』の「幽霊」だったりしたの……?
私たちは頭の中に紐付けられたロアを見ていたことになる……?
・Xのポストによると、今日がこの子のお誕生日らしいです。
新たな『つねにすでに』の誕生……これからもロアは生まれていくんですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1722340353708-hhfqiebmje.jpg?width=1200)
新作のおしらせhttps://t.co/W1bvV3SlQh
— 梨.psd (@pear0001sub) July 29, 2024
「Zero / ゼロ消去」を公開しました
これまで数ヶ月続いてきた「つねにすでに」、最後のお話です
すべてをゼロにした先で見えるのは、
希望でしょうか 絶望でしょうか pic.twitter.com/2JEYNaMI26
寂しいけど、これ以上なく美しい終わり方だよ……!!😭
すべてがゼロになったけど、希望の見える終わりでした。
◆最後に
いや……終わっちゃいましたね。
寂しい🥲
最初は怖い話を読むために見始めたはずなのに、最後は全く違う感情にさせられるの凄かった……
なにこれ……エモ梨さんすごい🍐
リアルタイムだからこそのお祭り騒ぎを、大勢の読者さんたちと共有できた体験は楽しかったなぁ。
ほとんど見てるしかできなかったけど「findmary」での一体感も熱かった……!
この3ヶ月間、更新日が楽しみで楽しみで。
色んな形、パターンの怪談が見られてとても楽しかったです!
こんな壮大な物語を、リアルタイムに読者参加型で描ききったの本当にすごいと思います。
この作品の発表に立ち会えて良かった……
梨さん、株式会社闇さんをはじめ、制作に携わった皆様に感謝を捧げます。お疲れ様でした😌
そして、梨さんと頓花さんのインターネット愛を再確認しました。
とても尊い……良い作品でした〜✨✨✨
(※8/1追記)
7/30に削除され、新たな始まりを想起させて終えた『つねにすでに』のサイトが、なんと!
8/1に戻ってきました〜🥳
ネットロアの再生が早いですねー
生まれなおしたせいなのか、ネップリ限定公開だった「Guru」の文章もサイトで見られるようになってます。親切☺️
エンドロールに名前を載せることと、『つねにすでに』構文のポスト生成ができなくなったくらいで、あとは以前の通りで楽しめます。
いつでも見返せるのは嬉しい……!
ただ、Discordは8月中は稼働するものの、それ以降については未定だそうで……
Discordのあれこれを見たい方は早めに覗きに行ってください😌