【覚え書き】梨×五味弘文×頓花聖太郎『ホラーの扉』刊行記念トークイベント
この記事は、2023年12月12日に行われた『ジャンル特化型 ホラーの扉』の刊行記念トークイベントの覚え書きメモです。
もうアーカイブ配信も終了して見返せないので、メモと記憶を頼りに、印象に残った部分を書いておきます。
私の個人的な感想も紛れ込んでます。
【出演者】
・梨さん(ホラー作家)
・五味弘文さん(お化け屋敷プロデューサー)
・頓花聖太郎さん(株式会社 闇)
【『ホラーの扉』の概要】
一応、14歳くらいの少年少女をターゲットにした本なのですが……
大人が読んでも、しっかり楽しめる内容でしたよ!☺️
書き手のラインナップを見ていただければ、だいたいのホラーファンは知ってる名前を見つけるはず……有名どころを押さえてます👍
◎著者の作品制作秘話
《五味弘文さん》
お化け屋敷をプロデュースして30年!その数は全国で100を超えるそうです。今回は〈シチュエーションホラー〉というテーマで『とざし念仏』という話を書いた方です。
・小説を読んだ方は同意してくれると思うんですけど、文章を読んでるうちにこっちまで息が苦しくなってくるような……すごい臨場感があったんですよね。
五味さんの作品は自身の「閉所恐怖症」の体験をもとに書き上げたようで……
なるほど……
そりゃあ、真に迫るわ😅
・“お化け屋敷プロデューサー“にぴったりな題材でもあって、良いホラー作品です☺️
未読の方は、ぜひ読んでみてください。
《梨さん》
今をときめくホラー作家である梨さん。
今回は〈モキュメンタリーホラー〉というテーマで『民法第961条』という話を書いてます。
民法第961条とは「十五歳に達した者は、遺言をすることができる。」 という「遺言能力」についての法律だそうで……
ほら、不穏😬
・今回、頓花さんが色んな作家さんに依頼した中で、一番最初に原稿を提出したのが梨さん。
出来上がりまでが、めちゃ早かったらしい(笑)
題材が書きやすかったとのことでした。
・頓花さんとのやり取りで、梨さんがトリを勤めることになりそうだと聞き、それも含めてのギミック考案だったようです……😊
めちゃゾッとできるんですよね……
こう、物語と現実の境目をぼやかすような……
《頓花聖太郎さん》
お化け屋敷をはじめ、様々な〈ホラー〉を手掛ける『株式会社 闇』の代表。
アンソロジーとして各ホラー作家さんに執筆依頼をして、その小説の見どころやホラージャンルの解説文を書き、『ホラーの扉』としてまとめ上げた方です。
・頓花さんが「最強布陣」だと思って作り上げた一冊。
やりきった感溢れてましたね(笑)
本当、すごいメンバーが集まったよなぁ……☺️
・頓花さんが、名だたる作家さんたちの各話の内容について解説をするということで、御本人はめちゃ緊張したようです。
・“児童書らしくない出来“
“14歳にトラウマを植え付けるくらい、どの作家さんの作品も本気を出している“
大人が読んでも遜色ない出来で、さすがプロ!
子どもたちにも本物のホラーを体験してもらいたいですよね……
◎『自分にとってのホラーの扉』
《梨さん》
2ちゃんねるの洒落怖などがホラーの原体験。
9歳で初書き込みしていたとのこと。
あとは、“インターネット上で怖い話を書いてる人のコミュニティ“としてSCP財団を挙げてました。
人にはオススメできない「扉」らしいです(笑)
昔に比べると、今の子供はYouTubeとかで手軽にオカルト話に触れやすい気はするなぁ。
《頓花さん》
小さい頃は怖がりで、あまりホラーには触れなかったが、ミステリー×ホラー作品である『リング』からハマっていったという。
フジテレビ版のドラマと、小説が良かったと言ってました。
私も記憶が朧だけど、テレビドラマでの終わり方が当時、衝撃的だった気がするなぁ。
《五味さん》
小学生の頃、家の一室をお化け屋敷にして、夏休みに遊びに来た親戚に披露していた……という体験が原点らしい。
それからずっとお化け屋敷を作って、仕事にしてるんだから凄いですよね。
やはり小さい頃にハマったものは大人になっても影響するもんなんだなぁ……
◎『最近人気のホラー 衝撃を受けたホラー』
《梨さん》
・フリーホラゲで流行りの『8番出口』を梨さんもやったそうです!
二、三日ずっとプレイしていたとか😊
・リミナルスペースっぽくて良い出来だと感じている様子。
《頓花さん》
・背筋さんの『近畿地方のある場所について』を挙げてました。
エンタメとモキュメンタリーのバランスについて興味を持ってる頓花さん。
・ここで梨さんが言っていたのは 「断片を散りばめて、そこから読者に繋げてもらう形式は“読者に寄りかかりすぎ“」だということ。
モキュメンタリー作品のハードルが、どんどん上がってきていて、『近畿地方の〜』を超えるのは難しいと感じているそうです。
・「エンタメ性を持たせるには、恣意的に動線を作らなくてはいけなくなり、モキュメンタリーとの兼ね合いが難しくなる」というようなことも言ってました。
匙加減が難しいって話ね……
・ちょうど最近あった、テレ東のイベント『祓除』についても言及。
梨「イベントを前フリにした」
本当、それね。
なんて贅沢な前フリ……!
◎『ホラージャンルの話』
・今回入れられなかったけど見てみたかったホラージャンルについての話。
頓花さんは「ゾンビ物」
五味さんは「因習物」
・あとは頓花さんの解説文で「5W1Hを用いた理由」を質問されてました。
ホラーと一口に言っても、複合してることも多いのでジャンル分けに悩んだとのこと。
それで、本の担当者さんに説明をする中で5W1Hを使って、そのまま本にもその形式を持っていった……という話でした。
・あと、梨さんが「媒体によってホラーの題材を変える」というような話が興味深かったです。
今まで作品を載せてる媒体として……
インターネット、オモコロ、書籍、アンソロジー
などなどありますが。
媒体によって、“手に取る年代が違うだろう“ということを想定して、題材を変えたりすることもある、らしい。
読者のことも考えて作品作りしてますね〜
◎『ホラーの作り方』
・頓花さん、五味さん揃って梨さんの作品は「悪意がある」ということで意見が合致してました(笑)
梨「前提として、私は人類に対する博愛というものがある。座右の銘は『人間讃歌』」
梨さんの読者への呪いはファンサですよね!?☺️
・梨さんの作品は「文章」とは別に「ギミック」の有無や割合を考えることになる。
たとえば『かわいそ笑』はギミック盛り盛りなのに対して、『6』はほぼ文章のみで魅せてきた……とかありますよね。
御本人的には、「ストーリーのあとにギミックが付いてくる」のが一番よい形だと思っているそうです。
・梨さんの作品は、一読しただけでは理解できないことが多いので、ギミックで頭の片隅にでも“何か“を残そうとしているとか。
・トークイベントで話を聞いてて、なんとなくだけど“ギミックや謎解きで敷居を低くして、多くの人に手に取ってもらおうと努力している“ような雰囲気が伝わってきました。
コアなファンにばかり向いてると、新規の読者は増えにくい……ってのありますものね。
・梨さんとしては、書籍は「縛りプレイ」の媒体。
インターネットのほうが慣れているし手練手管を使えるので、やりやすいようです。
・あとは“ホラーの入門編としてのオススメ“、みたいな話になって。
みんなで、絵本の「いるのいないの」いいんじゃないですか?みたいな雰囲気になってましたけど、あれ大人でも怖いですよね😖
◉最後に
・出演者の皆さん、ホラークリエイターとして真剣に話し込んでいて、ちょっと難しかったけど興味深かったです。
・五味さんも梨さんも「エンタメを作っている」という意識をしっかり持っているのは共通してましたね。
怖い中に面白さがあることが大切。
・あと、頓花さんが梨さんの話を深堀りしようと時間を割いてくれたのが嬉しかったです〜!
いっぱい話が聞けて大満足🥰