【👄ネタバレ】Aマッソお笑いライブ『滑稽』の感想

◎お笑いライブ『滑稽』について（ネタバレなし）

『Aマッソのがんばれ奥様ッソ！』『このテープもってないですか？』を手掛けた大森時生さんが、やたらと宣伝してたAマッソの『滑稽』。
めっちゃ不気味なPVなんですよ……

お笑いライブなんて行ったことないし、Aマッソも『奥様ッソ』で初めて知ったくらいなので、正直さほど興味はなかったんですよね。
でも、梨さんが大笑いしてるツイートを見て興味がそそられ、そのまま流れるように配信チケットを衝動的に買っていたという……

#Aマッソ滑稽 を観させていただきました
あはははは　あはははは　あはははは pic.twitter.com/dewfaXF6hC

— 梨.psd (@pear0001sub) February 26, 2023

観終わった人たちの感想としては、Twitterでは賛否両論ながらも、概ね好評に感じますね。
『最悪』を褒め言葉として使ってる人の多いこと……（純粋に『最悪』って思ってる人もいますが）
「大森時生×Aマッソ+梨」なんて組み合わせ、とんでもないもん見せられるって予測できましたよ！

私も覚悟して視聴したものの、想像以上な展開見せられて、大満足です！
うわ〜、最悪〜！（笑）

noteにも、『滑稽』ライブの様子を綴った記事が続々あげられてますね！
盛り上がっていて楽しい〜！

東京公演のアーカイブ配信（視聴券2500円+システム利用料220円）は延長されて3/31㈮19:00までだそうです。　

あと、3/13㈪14㈫の大阪公演（チケット6000円）もあるようなので、制作陣に耐性ある方にはオススメします。

何も知らずに現地で体験するのが醍醐味かと思われます。

たぶん、ライブでしか味わえない雰囲気とか感情とか、あるだろうな〜
配信も便利でありがたいんですけど、良くも悪くも画面越しなので安全地帯にいるというか……
現地、楽しかったんだろうな〜

と、ここまでは”ネタバレなし”のざっくりした感想を。
いや、本当に何語ってもネタバレになるんで……

以下は、ネタバレありきで諸々垂れ流していきますので、ライブ未視聴の方はご注意ください。

本当、興味あるならネタバレなしで観たほうがいいよ！

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ネタバレOK？

◉おおまかな流れと初見時の感想（ネタバレあり！）

①オープニング

・『滑稽』ティザー映像が流れる。
・普通のお笑いライブがどんなもんか分からないが、ワーッとAマッソの２人が舞台に現れる。
「養鶏場による一社提供」なので、スポンサーの意向による【鶏と卵ネタ】をやる２人。ノルマか（笑）
なるほどなるほど、こんな感じのコンビ芸なんだな～

・お客さんとのトークというか、雑談みたいなものを交えて、場が和やかになってきた気がする。コマネチ滑ってたけど。
ここで今一度、Aマッソから「マスクの着用」を促される。
まだコロナも怖いし、大笑いしたら飛沫飛ぶもんね。
「笑えるライブにしたい」ので着けてほしいと。
はいはい、大事ですよね。

◈『Affirmation　〜ほほえみのつどい〜』　ＰＲ動画

急に、どこぞの団体のPR動画が流される。
2018年から活動している『Affirmation（アファメーション）』という団体らしいが……とても胡散臭い。
「子供たち云々」言ってる割に参加者は大人ばかりのようだが……？

②交通事故ネタ

車とバイクの接触事故で、バイクを大破させられたヤンキーぽい女性（村上）が、世間知らずすぎて逆に車の運転手（加納）に心配されてしまう話。
めちゃ面白い。

ヤンキー女に「ピシーッと立って待ってろ！」言われて、最初は逃げちゃおうとするものの、ちゃんと待つことにしたラストにホッコリ。

◈『affirmation』のドラマ①

・起床して、ピシーッと立って挨拶。
さっきのコントとリンクしてる……？

・うわ〜、これは典型的な集団生活してる宗教団体ですよね……
直立したまま、お粥みたいなご飯を食べるのは、ランクが低い信者。
ランクが上がると、ちゃんと座って食べられるみたい。お粥を。
・スピーカーの声に合わせて『笑顔の誓い』を唱和する一同。大笑いをする。

笑顔とは私 　楽しいとは私
ああなんて滑稽なんだろう！
らひずみー 　ふぁにずみー 　　
おーは ぃでぃきあす！

（affirmation　笑顔の誓い）

・メガネの女性（市子）が「誘い笑い」といって、自分が連れてきた新メンバーの男性（俊哉）を皆に紹介する。
幹部っぽい男の人（野木パパ）が、俊哉がイジメを受けていた過去を、けっこう酷く言ってるぞ〜？
古傷をめっちゃ深くまで抉り取ってる感じ……
過去のあだ名の”便所コオロギ”から「コオロギ」と施設内で呼ばれることになる。
周りの信者たちが笑うから、同調圧力で笑うしかない俊哉。ひどいね。

・ここの団体の御神体？である『破顔様』って禍々しい見た目してるな……
目がなくて口の中の歯列が二重になってて異形感すごい。
ポーズはダブルピースみたいで楽しげなんだけどね。

・街中でビラ配り。
う～ん、よく見かけるやつですね。
一般人に酷い対応されることで、団体への帰属意識を高めるとかいう……
笑った口が印刷された気持ち悪いマスクしてるな……

施設に戻ると、敷地外から市子を呼ぶ声が……母親らしい。
勝手に大学辞めて宗教にのめり込む娘を連れ戻そうとしたみたいだが、母親は市子に嫌われているようで、取り付く島もなし。
『滑稽』ティザー映像と同じものを観て、『笑顔の誓い』を繰り返し口ずさむ市子。
どんどん宗教にのめり込んでる描写か。

・にっこりポイントが貯まり、市子は『ニコニコさん』となるため『ほがらかセミナー』を行うというアナウンスが流れる。
よくわからんが……つまり、昇格みたいなもの？

③受験に落ちたコント

・高校受験に落ちた女生徒（村上）が「後悔を消せる！」と豪語するオジサン（加納）に絡まれるコント。

「ここの高校に受からんで良かった〜思える情報持ってんで」と、女生徒から五千円をせしめる。（後に、もう五千円とる）

労力の割に成果がイマイチわからない情報を、さも重要そうに語るオジサンの胡散臭さ（笑）好き。

・「男贔屓のひどい、1年生の国語教師」として出てきた顔写真が「市子」に似てるメガネの女性なんですが……？

◈『affirmation』のドラマ②

・笑顔の上層部信者に悪口で罵られる市子。
「辛いときの笑顔が、いっそう滑稽だ！」
酷い言葉を投げつけられて内心、辛いだろうに笑顔を保たなくてはならない様子。
これが「ほがらかセミナー」？
全く「ほがらか」ではないが！？
チャクラを開く試練みたいなものなのか。

・私物から写真を抜き取られて、この人物は「恋人か？」と詰問される。
おい、プライバシー……

写真にある「過去に死んだ弟」のことは市子の心の一番弱いところだろうに、無遠慮にズケズケと笑顔で暴かれる。

ここの教義によると「死に顔は笑顔」でないといけない。
「無表情なら穢されていた」ことになるそうな。
いや、笑顔の死に顔っておかしいだろ……
『弟は穢れていた』というトンデモな貶めを受ける。

・市子は「弟が死んだのは母親のせい」だと思っていることが、ここで分かる。

弟の写真を笑い顔になるように折り曲げるの不謹慎すぎ……！

泣き笑いをして「チャクラが開けた」市子は首飾りを一つもらえた。
情緒忙しそうだな……

・俊哉が市子に恋慕している様子がうかがえる。煩悩との戦いですね。
施設内では恋愛はご法度のようだが……
野木の部屋から、乱れた服の野木パパと、爪を噛む市子が出てくるのを目撃し男女の関係を迫られていたのではないかと心配する俊哉。
誰かに相談しに行ったようだが……

④「抽象」を表現したいコント

・部屋で仕事してるところに、友人が訪ねてきて、仕事が終わるまで待ちながら会話をしていたが、だんだん何を言いたいのかわからなくなってくる「抽象的」な……演劇をやりたい！という戯曲の課題発表。
セミナー講師（村上）と生徒（加納）……？

生徒が滾りすぎてウザがられてて、反応もいちいち面白い。

・ホワイトボードに貼ってあったポスターの中に「市子」のポスターがシレッと紛れてませんか？

◈『affirmation』のドラマ③

・上層部信者である ともみ は、女性だけを集めて、俊哉が見たことを話させる。

市子は面と向かって聞かれて、野木パパとの男女関係を否定するが、俊哉は納得いってない様子。

・ともみ「性欲は邪念。せっかくの忍び笑いも意味がなくなってしまう失笑行為」「あなたのせいで、私達みんなが見つかりかねない」
→え、これってみんなコッソリやってるってこと……？
あと、さっきのコントで出た台詞が丸々同じで出てきたな〜

・俊哉はご法度である恋慕の情を否定するために、市子を否定するように仕向けられる。
「いっちゃんには魅力がないって、きちんと言って」

こういう変態的妄想を抱いたのは、にっこりポイントの足りない俊哉の責任では無く、市子の邪念のせいだと言う。
そんな、痴漢されたのはミニスカ履いてた女性のせいだ！みたいな理論……
やたらと市子を追い詰めるな、この人たち🤔

・邪念の原因は「心の中の嘘笑い」らしい。
つまり、本心からこの団体に染まりきってない市子を責めている？

・市子に詰め寄る俊哉を止めに、男性信者が入ってくるが、転倒させてしまう。

「笑ったってどうにもなりゃしないよ！」

勢いのまま、市子を連れて逃げ出そうとするが、野木が現れ止められる。

笑うことができない市子を見て、ともみは自分の手にペンを突き刺し、痛みに耐えながら笑う異様な光景。
ピンクの服の女性信者、一瞬ちょっと怯んでたよね？

「彼を笑わせなさい！このルマット（愚者の意？）！」ともみの叫びに、急に笑い出す市子。

・笑いながらみんなで俊哉を外まで追い詰める。
ふと真顔に戻った市子は、俊哉に弟の姿を重ね、手を繋ぐ。

これは一緒に逃げ出そうとしたのか、引き戻そうとしたのか、どっち？

・しかし、そこに信者の運転する車が激突し、俊哉は市子と繋いでいた手だけを残し吹っ飛ばされる。
直接的なグロいシーンでビックリした。

野木「あ〜、（敷地から）出ちゃったから。破顔様のアルカルクだ」
『アルカルク』って”神罰”みたいなニュアンスかな？

俊哉の死に顔は笑ってなかったから「穢されていた」らしい。
人が死んでるのに笑う信者たち。
異常ですね。

⑤「写真deトーク」のコーナー

箱の中に年齢が書かれた紙が入っていて、引いた年齢の思い出写真について語るコーナー。
この直前のドラマパートとの落差がエグい。情緒引っ掻き回されますね！

・18歳 村上　教習所合宿にて
・21歳 村上　花園神社にて
→顔がなんか強張ってる？
・10歳 加納　小学校の運動会
・29歳 村上　自アパートで焼酎と共に→加納に「何から逃げてるん？」と真面目に聞かれたエピソード。

◈『affirmation』のドラマ④

・あれから笑うことができなくなり（そりゃそうだろ……）みんなとの食事の席にも出てこなくなった市子。

部屋で引きこもり、爪を噛む。
ストレスか。

・夢の中に俊哉が出てくる。
「僕って救われるんじゃなかったんですか？」「市子さんにはずっと俊哉って名前で呼ばれたかったな」
朝食の粥が、いつのまにかコオロギに変わっている。
俊哉の顔もリアルなコオロギになってる〜！シュール。

ともみ「彼の迷いはあなた自身の迷い。砕いて！」
→人々に救いをもたらすはずの『破顔様』への信仰の揺らぎ、嫌な思い出を想起させるあだ名の強要という醜悪さ。
市子が心のどこかで本当は疑問視していることを放棄させようとしてる？

・夢から醒めると、俊哉の顔写真の面をつけた信者たちに囲まれていて「笑って」と促される。

この時点になってようやく、市子は「ここから出して」と逃げたがるが……
破顔様の像を怒りに任せて投げつけるも、不思議な力で足首を折られる。
グロシーン、Part2。

・放心状態で、俊哉が死んだシーンをテレビで繰り返し見ている市子。

誰が撮ってた……？
野木が持ってた破顔様の像の口の中にカメラ仕込まれてたかな？

『笑顔の誓い』を唱えて笑みを見せる市子。
「Happy　Smile！〜綻び様、市子の嘲笑〜」とテロップが出てドラマは終了する。

・スタッフロール

市子役　幸福えみ
ともみ役　有田藤子
野木パパ役　小木多喜蔵
俊哉役　WARA

協力
affirmation川崎支部かぞくの皆さん
Aマッソ

ロケ地協力
affirmation九十九里支部
山武市

製作
affirmation芸術部

監督　城之内タケシ

最後に『市子様に捧ぐ』という文字と共に、最初の『affirmation　PR動画』に出てきたメガネの女性の映像が挿し込まれる。
あれが本物の「市子」だったんだ……

⑥教育ママ　コント

・真顔の村上が椅子に座り、その周りをハイテンションな加納が動き回る。

加納が「いっちゃん」と呼びかけたところで、このコントが「市子とその母」を扱ったネタなのだと察する。
察したくなかった……

加納のはっちゃけた言動が面白いんだが、倫理観が邪魔して笑うに笑えない。
前後関係知らなくてコレ単体で観てたら笑ってたかも。

・始終ふざけた様子の母親役だが、言葉の端々から「息子を亡くして市子に依存してる」ような様子が見受けられ、隙あらば「勉強しろー！爪を噛むなー！」と連呼。

「右から右から赤本が来て〜健太はそれを来世に受け流す〜」不謹慎すぎ。

母親「健ちゃんがいなくなったのは誰のせい？」「誰のせいでもない」

・コント内コント『拠り所を新しく見つけた人』を見るに、最初は健太ばかり構っていた教育ママが、健太が居なくなったからと市子のとこに擦り寄ってきたってことかな？

母親「健太がいなくなったのは誰のせい？」
市子「お母さん！」
母親「違うよ〜」
市子「お母さん！」
母親「違うよ～」

薄ら寒くなったわ、このくだり。

市子「じゃあ、健太のせい！？」
母親「市子くん正解でーす！」
パチパチパチ。

◈『affirmation』のドラマ⑤

・ドラマのメイキング映像が流れる。

インタビューも、最初は普通の役者さんだと思って聞いてたんだけど、段々違和感が……
あれ、もしかしなくても現役信者さんですか？

『実際の菊田市子さん』とか顔写真添えられるの、血の気引いたよ……
再現ドラマかよ……！

→スタッフロール、流して見てたけど、よく見るとおかしいし。
これ、名前検索してみたけど全くヒットしませんわ。実在の役者名ではない。
「幸福えみ」も「WARA」も「笑」って字と関連したネーミングですね……

というか、『affirmation』という架空の新興宗教を扱ったフィクションドラマだと思ってホッとした次の瞬間に、『affirmation』が実在する描写入れてくるのやめてくれ。

・幸福えみの「市子さんみたいに正気を失うんじゃないか」って言葉。
つまり、本物の市子は正気を失ってるんですね……

『俊哉役』ではなく『コオロギ役』と書くの悪意が見え隠れ〜
WARAが、あれを飛び出し事故だと言い張る強さ。すごいな。

ともみ役の人は熱心に教義をずっと喋ってて怖かったね。

・「嘲笑前の市子様」映像が、両足折られて風呂場に軟禁という衝撃映像。
両足動かせないんじゃ、逃げられないね……

・黄色いワンピースを着せられた市子が荷車に乗せられ、『affirmation』のシンボルマークを沢山貼り付けた白いバンに運び込まれるシーン。
まるで出荷みたいだな……ドナドナ。

あと”白いバン＝白身”に入った”黄色い服の市子＝黄身”で卵にも見えるから、最初の養鶏場ネタも回収してるのか？

・幸福えみ「市子様は綻び様に嘲笑されました」
→なんか不自然な言い回しなんだよな〜。教団独特の言い回しなのかな。
『嘲笑される＝選ばれる』なら自然な繋がり方か？

幸福えみ「皆さんの笑顔を綻び様に」
「どうぞたくさん嘲笑ってくださいね〜」

→上記の言葉で、このライブでの観客の「笑い」は『綻び様』に捧げられていたということがわかりました。
巻き込まれたねぇ……

『引き続きご協力お願いいたします』
って……笑えんわ……

⑦化け物オカンのコント

村上がオカンの指輪を売って、その金で焼肉食べに行って、オカンを焼肉屋に置いてきて、迎えに行ったときに唾吐いてシバいた話。（語弊）
村上が話す順序がおかしいせいで、加納のツッコミが振るわないのを笑うネタ。

なんだけど。

段々、本当のオカンじゃない、オカンみたいな先輩について笑いながら話すようになるAマッソ。
特殊な用語も頻発。
観客は置いてきぼりに……
あ、『ルマット』と『アルカルク』知ってます！🙋
『affirmation』の独自用語ですね。

そして村上の「『綻び様』やぞ今は！」発言から、オカンみたいな先輩とは市子のことだと分かる。
ひとしきり哄笑したあと、
「ご協力ありがとうございました！」
とコントを締めくくる。

Aマッソも信者ですか……？

◈エンディング

・急に映し出されたのは『滑稽』ライブ中の客席の様子。
配信視聴組は、ここで初めて「マスクが普通じゃない」ことに気付かされる。
信者が街頭活動のときに着けてた口がプリントされたマスクじゃないですか。
やだ〜（困惑）

・しかも、首からニコニコさんの飾りをつけて、破顔様ポーズする人も映ってる……ひぇ。

これ、会場で観た人たち、知らずのうちに信者に囲まれてたって構図ですよね。
震えたろうなぁ……

というか、教団の儀式に強制参加させられてたんだよね。
すごい構成だな。

・そして舞台のスクリーンが上がり、後ろに巨大な祭壇らしきものが置かれていたことに気づく。
後ろからせり上がってきたのは、十字架に磔のようにされてる市子の姿。
会場の笑い声と共に、市子が低い声で笑い、暗転。終幕。

◎終わりに

いや〜、すごいもん見せられましたねぇ。
お話は胸糞悪いんだけど、構成や仕掛けが見事！
張られてた伏線が終盤で一気に回収されてくのはゾクゾクしました。

まだ消化しきれてないので、うまく言語化できないんですが、「笑いとは？」考えさせられる作品でしたね。

潜在的優越感……
笑わされているのか、嘲笑っているのか……
ううむ。