これからLIFULLは、どこで、どのように働くのか?
今日は、コロナ禍のLIFULLが何を考え、今後どこで、どのように働こうとしているかを、ツイートを振り返りながら書いてみたいと思います。
コロナ禍のLIFULL
まずは、新型コロナウイルスの感染拡大や、政府による小中高などの休校要請、緊急事態宣言発出への対応について。
2月から現在に至るまで、常に役員やCTO、関係部門が緊密な連携を図り、昼夜問わずチャットにより対策を検討し、即時対応を心掛けてきました。
たとえば、2/27に政府から要請があった、3/2以降の小中高校等の休校についても、3/1には以下を全社アナウンスするなど、
・特別休暇(有給)を付与
・出社する場合は、子どもを連れての出社を許可
社員が不安にならないように、できる限りスピーディに対応してきました。
働く場所については、原則週2日在宅勤務とし、週1日から週4日の在宅勤務は上長が口頭承認すれば認めています。また、業務やプライベートの事情により、週5日オフィス勤務、または週5日在宅勤務せざるを得ない場合は、部長等が承認すれば認めています。
直近の全社の実績では、週3.5日程度在宅勤務をしている状況です。
以下に、LIFULLが今後の働く場所について、現時点でどのように考えているかを書いていきます。
リモートワーク?オフィスワーク?
緊急事態宣言などにより半強制的にリモートワークに突入した結果、「リモートワーク良いかも」と感じた人が多いと思います。経営者の方々も、僕が聞いている範囲では同じように感じた方が多かったようです。
こうなってくると、今までリモートワークというのは一部の人にとっての動機付け要因(なくても大丈夫だけどあるとうれしいもの)でしたが、今後は多くの人にとって衛生要因(ないと不満を感じるもの)になっていくと考えられます。
一方で当社は、経営理念に「常に革進する(現状を革めて次へ進む)」と謳っています。リモートワークは想定される課題はいくつかあるものの、会社の生産性を高めつつ、社員の人生の生産性を高める(通勤時間等)可能性も秘めていそうです。
また、当社ではLivingAnywhereという事業も推進しております。これは、賛同企業・団体が日本各地に拠点をつくり、シェアしあい、どこでも働ける環境をつくるという構想です。また、拠点において様々な企業・団体・個人が交流することで、新たな知や価値を生み出していくということを目指しています。
このような背景から、今後はリモートワークでいくと意思決定したうえで、リモートワークという武器をどのように活用すれば会社を革進できるかを考える、という順番で進めていきました。
次に、どの程度リモートワークを取り入れていくかを考えた時に、選択肢は3つ思い浮かびました。
①リモートワークのみ
②ハイブリッドワーク(リアル前提)
③ハイブリッドワーク(リモート前提)
②と③については、たとえば全社MTGを実施する際に、運営側がオンライン前提で設計した時にリアル参加を希望する社員がいると、当該社員に配慮した設計をするのが難しいのではないかと考えました。リモート派・リアル派と割れないようにどちらを前提にするかを決めておいたほうが、コミュニケーションがスムーズになるのではないかと考えています。
①~③のどれを選択するか決めるために、仕事を以下のように整理しました。
どこで、どの仕事をするのがよいのか?
仕事をこのように整理した時に、それぞれどこで仕事するのがよさそうか?
上の「1人で集中業務/アイデア出し」はどこでやっても問題なし。
右下の「みんなで雑談」のような人間関係の構築やコミュニティづくりの際には、やはり対面がよかろうと考えました。この点については文末のほうで少し触れようと思います。
最後に左下の「みんなで議論」ですが、当初オフィス/対面向きかなと思っていましたが、実際にやってみるとZoomでも十分議論ができるし、なんなら対面より良い場合もあると感じています。
ということで、一部対面でのコミュニケーションを大切にしつつ、業務の大部分はオンライン中心でやっていけるのではないかと考え、③ハイブリッドワーク(リモート前提)でいってみよう、となりました。(リモートワークの日数は前述のルールを継続)
さて、そのうえでリモートワーク前提で組織運営を行っていく際の課題となりそうなものを整理してみました。
リモートワーク前提にした場合の課題
これらに対してそれぞれ対策を講じていきました。
たとえば、
個人×短期
・在宅勤務のtipsを僕の「役員コラム」で発信
・健康相談/産業医面談を即時オンライン化
・毎月実施している「Well-beingサーベイ」という社員対象のパルスサーベイの結果が芳しくない社員との面談数を増やす
など様々な施策を行っています。
チーム×短期
実は今年の4月からリモートワークを全社に拡大することを決めていたため、2019年10月時点で評価制度を改定していました。従来は能力を細かく評価していく方法を取っていましたが、リモートワークによって社員の仕事ぶりを詳細に評価しづらくなるため、成果を上げる総合力を評価する形に変更しています。※気が向いたら別の機会に詳しく書きます。
全社×短期
経営陣による「役員コラム」など、様々な方法で経営陣からの情報発信回数を増やしています。
難易度が高いのは「長期」の課題です。
たとえば、成長や組織学習については、オフィスにいるときのように先輩に「ちょっとここ教えてもらえますか?」と気軽に聞きづらくなったり、チーム内の阿吽の呼吸で仕事をしづらくなったり、部門を超えた知と知の交流が難しくなったり。心理的安全性については、本音を言い合うためのベースの関係性が作りづらくなったりと、想定はできるものの、現時点では長期的な影響が読み切れない課題がいくつかあると思っています。
それもこれも、「さて、Zoomの接続準備して」というひと手間が入ることで、合目的的なコミュニケーションのみが生き残り、雑談やちょっとした相談、自販機の前での出会い頭のコミュニケーションなどが発生しづらくなるのが大きな原因かなと考えました。
そこで、「さて、Zoomの接続準備して」と気合を入れたうえで緩く、偶発的なコミュニケーションを生むために、「新しいコミュニケーションのルール」というものを策定してみました。
新しいコミュニケーションのルール
たとえば、個人の成長やエンゲージメントについては、1on1を週次で行い、「3つのしごと」について話し合います。
これは、当社のエンゲージメントに関する調査で、1on1を1か月に1回以上実施し、プライベートな話(私事)もできている人はエンゲージメントが高いという結果が出ているためです。(もちろん私事なので、話したいことがあれば話してもらう感じです)
チームの心理的安全性や組織学習については、朝会、夕会を実施してもらうことと、週に1度コミュデイ(コミュニケーションデイ)として、唯一オフィスで顔を合わせてもらう施策を入れています。(もちろん3密、ソーシャルディスタンスを意識して、です)
事業部レベルの大きい組織では、部門総会の冒頭でZoomのブレイクアウトルームを利用してメンバーをシャッフルしたアイスブレイクをしてもらいます。
全社的な部門を超えたコミュニケーションで新たに始めたのが、オンライン推奨のサークル活動です。まずはテストとして1サークルに月1万円の支援金を支給してみました。
これが結構驚いたのですが、募集開始1か月で約50サークルが立ち上がり、社員の約3割が参加してくれています。
また、Onlineトークという、様々な社員がZoomで自分の経験やトップセールスのコツなどについて話すプログラムもはじめています。将来的には、テレビ番組のように様々な社員が情報発信をして、他の社員が好きな番組を見にいけるような形になっていくと面白いかなと妄想しています。
最後にオンボーディング。特に春以降に中途入社の人から「LIFULLの一員になった気がしない」という声をもらいました。
たとえば5年後、アフターコロナに入社した人が結構な割合になった時にどうなるのか?まだはっきりと想像できません。新しい組織の形ができるのかなとも思いつつ、現時点では、後ほど書くようなコミュニティを強化してコロナ前の濃い関係性の組織をめざし、まずは少し過剰かなと感じられるようなコミュニケーション量を設定しています。多すぎれば調整していきたいと思います。
このような感じで、これまで貯めた「リアルな人間関係貯金」が底をつくときに、「新たな人間関係貯金」ができていることを目指し、まずは型をつくってはめてみて、徐々に型を外して文化をつくっていきたいと考えています。
プロジェクトとコミュニティ
さて、「みんなで雑談」のお話ですが、組織には、機能体(プロジェクト)と共同体(コミュニティ)の側面があると考えています。
プロジェクトというのは、まさに組織の目的を果たすという組織本来の側面です。
一方でコミュニティというのは、そのメンバーと一緒にいること自体が目的という側面です。
コミュニティとして強くなると、エンゲージメントや部門を超えた関係構築、危機における組織の粘りなどに効いてくると考えています。
短期的にはプロジェクトとして機能すればよいと思いますが、長期的に組織を育てていくという観点では、コミュニティを強くするために良い人間関係を育んでいくことが大切です。
リモートワーク中心になると、コミュニティを育てていくことが難しくなりそうです。そこで、前述したコミュデイのようにオフィスはコミュニティ形成の場と捉え、コミュニティとしてのLIFULLを育てていくのに活用していきます。
ということで色々まとまりなく書いてきました。
1か月後には違うことを言っている可能性もありますが、、試行錯誤中ということでご容赦ください。
好きだから辞められない会社へ
今後、通勤時間が無くなることで生まれた可処分時間を副業に充てる人が増えていくかもしれません。さらに本業が複数ある複業という働き方も増えていきそうです。
そうなったときに企業として強くなっていくために重要なのは、「嫌いだけど辞められない会社/離れられない会社」から「好きだから辞められない会社/離れられない会社」になって、雇用契約にこだわらず素晴らしい人材を惹きつけていくことかなと思っています。
コロナ禍において、当社のエンゲージメントスコアは上昇しました。理由をヒアリングすると、何人かの社員が「会社が社員のことを考えてくれたから」と回答してくれました。
また、現時点では生産性の低下は見られず、みんな自律して仕事に取り組んでくれています。
今後も色々たいへんだと思いますが、会社が社員を大切にすれば、社員は会社を大切に思ってくれるという当たり前のことを忘れずに、会社作りに励んでいきます。