そこに写るのは、70年代日本の怨霊
日本で公害が問題になった時代を知っているだろうか。その時代、日本は誰よりも発展を望み、誰よりも努力した。健康という2文字すら忘れて。経済という2文字に囚われる日本人に警鐘を鳴らした写真家がいた。
世界が見た水俣病2021年2月5日(アメリカ)公開『MINAMATAーミナマター』。
その真理を追う写真家をみてみよう。
そのモデルは、ユージン・スミスという写真家だ。かつては、水俣市に住み、その影響を世界に伝える。第二次世界大戦時には、戦場カメラマンとしてその姿を日本から世界に発信していた。彼にとって、写真を撮る行為は、撮影者も被写体もその魂を奪われると表現している。
その昔、世界は破壊し合い新しい世界を作ろうとしたが、その世界もまた破壊の始まりになってしまった。目覚ましい発展に対し、健康や環境を破壊することは、現在において良しとしない。環境にやさしい生活を望む声は、このような過去の過ちから脱しようとする意思だろう。
水俣病をはじめとした公害問題は、近年あまり報道されない。もはや、過去のものとして歴史の1ページになりつつある。しかし、これは誤りである。この影響は、今日のの日本でも未だに解決していない問題だ。被害者は、一生この傷を背負い続けなければならない。ユージン・スミスが報道しなければ、もっと深刻な事態に陥っていたことだろう。
日本人に、暴行されてもなお、その意志を貫いた彼の姿勢に敬意を表したい。
されでは、それでは。