展開、パーソナルスペース
馬鹿なもので、初対面の人にはあんまり展開しない。
パーソナルスペースって、便利だ。
『ここから先はお触り禁止』と言わずとも示せる範囲。
自分を見て欲しい時、知って欲しい時、そのスペースは途端に狭くなる。
触ってね、知ってね。私はこういう人なのよ、と。
それでいて、自分の弱みを握られた瞬間にそのスペースはバリケードのごとく分厚く、そして強固になる。
来ないでね、知らないでね。私はこういう人なのよ。
めんどくせえと思う。
職場の人によく思われようとして狭めたパーソナルスペースは酷く脆くて、一瞬で心をボコボコにされた。
だから、少しだけ広げた。
広げてしまった。
まあ息がしやすい!
誰の顔色も伺わなくていい、なんてことじゃないけれど、少なからず人との接点が減って、必要のない心配りが無くなった。
でも、少し寂しい。
それが全てだった。
誰も喋りかけてこない、必要なこと以外。
それが心地よくて、心地悪い。
この相反した心と和解できた時に、やっとパーソナルスペースを気にしなくてよくなるのかな、なんて思う。