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つぎはぎ

昼過ぎまでだらだらとYouTubeを見たり本を読んだりしていたが、(あっ、このままじゃダメだ)と気持ちを奮い立たせ何かしようと思い、手軽にできそうな何かを探した。
そして、特別定額給付金の申請をまだ出していないことを思い出し、今日中のポスト投函を目指すことに。

実は申請に必要な免許証と口座がわかる通帳のコピーは既にとってある。
なぜ今まで出さなかったのかというと、単純に面倒くさかったから。
初動はきちんとできる。でも、最後までできない。性格なのか脳の構造的欠陥なのか、それはわからない。

何かを中途半端にしておくことに気持ち悪さを感じない。
というよりも、むしろ初動でやった範囲で終わった気になってしまうという方が正しいか。
計画を立てたら既に終わったものとして処理してしまう傾向がある。
短期決戦型。毎日少しずつ形にしていくのにストレスを感じるので、例えば画家が少しずつ大きなキャンバスに絵を描いていく、というようなことは基本的にはできない。

それに加えて断続的に続けなければいけないことが本当に苦手で、毎日やるわけではなく数日おきに進捗を追ったり、調整したり修正したりしながら数ヶ月もかけて一つの仕事を完遂しなきゃいけないとか、地獄で罰を受ける気持ちになってくる。

話が少し脱線した気がしないでもないけど、兎にも角にも特別定額給付金の申請においてやらなきゃいけないことの7割は既に終わっていたのだ。あとは、ただ名前と口座番号を書いて押印した書類とコピーしたものを同じ封筒に入れて、ポストにポトンっと落とすだけ。
必要事項の記入、押印、密封の作業は五分もかからなかった。なんでこんな簡単なことを一週間も放置していたのか謎だ。

そんなわけで準備もできたので、夕方の散歩も兼ねて駅の近くのポストまで持っていき、投函。
用は済んだのであとは帰るだけだが、駅からの家に帰るルートは大きく三つある。とはいえメインで使用するルートは一つで、他の二つは買い物をして帰る時に使うことがほとんど。

まだ外灯も必要ではない時間。身体にまとわりつく湿気。雨は降っていないものの、梅雨という季節を実感しながら歩いていると、道路に違和感を覚えた。
車もほとんど通らない道なので、しばし止まって考える。そしてその正体に気づく。

コンクリートの色や質感がバラバラで、道路がつぎはぎだらけなのだ。
直線距離で200mといったところだと思うが、少しずつ違う人の手によって作られたのではないかと思うほどに不自然で歪な色と質感。きめ細かく青みがかった綺麗な濃いねずみ色をした箇所があるかと思えば、そこだけ粗悪なコンクリートを雑に塗りたくったように色あせて表面がでこぼこしている箇所もある。

斜めに線状の窪みができていたり、ほんの少し盛り上がっていたりと様々な表情を持っていた。

歩ければ、車が通れればそれでいい。機能としては。
でも、良い仕事なのかというとそうではないだろう。なのになぜかカッコイイと思ってしまった。
なんとなく赦された気がしたというか。
自分もきっとつぎはぎだらけだから、親近感が湧いたのかもしれない。

少し立ち止まり前後に続く直線道路を見て、そんなことを考えた日曜の夕方。

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