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社員の成長の砂場 HackCamp

こんにちは。株式会社HackCampカルチャーリードの菊井です。
この度、HackCampを卒業することになりまして、退職にあたってHackCampへの思いを書いてみました。
読んでいただければ嬉しいです。


はじめての正社員

2018年の春、私は知人の紹介でHackCampの採用面接を受けました。就職氷河期に就職活動からドロップアウトしてアメリカに留学し、帰国後も日本での中途採用の敷居は高く、8年ほど派遣を渡り歩いて、第一子を産んでからは家庭に入り、在宅で細々とフリーランスで翻訳の仕事をしていたので、44歳にして初めての正社員としてのお仕事でした。

そのような経歴だったので、キャリアへの意識も社会人としての自己評価も低く、経験のない法人向けの提案営業をするという仕事が自分に務まるのかどうかもわからなかったのですが、代表の関さん、副代表の矢吹さんは、私ができることややりたいことをどんどんやってもらいたい、扱っているサービス(ハッカソンイベントの企画運営)の性質から経験のある人は少ないので、進んで学んで成長してくれればいいと言ってくれました。
どんなことができるか聞かれても何も話すことがないと思いながら挑んだ面接で、関さんに「うちでどんなことをやってみたいですか?」と聞かれて驚いたのを覚えています。Canばかり気にしていたのに、聞かれたのは私のWillだったのです。そんなことを職場で求められるとは考えてもみませんでした。
また、スタッフは自律的に働くので自由度がとても高いというところは私の性に合っていると思ったし、基本的にフルリモートでOKということも、当時まだ幼かった二人の子供をひたすらに溺愛していた私にはとてもありがたかったのです。

修行の日々

それからの毎日は目が回るような日々で、当時は私の社会人経験が少ないためにハードルがたくさんあるのだと思っていたのですが、今思い返すと、すべて一から描くような案件だらけで、人手も足りないし、自分が未熟だからこんなに大変なんだと思いこんでいなかったら途中で逃げ出していたかもしれませんw
しかし、お客様はエンタープライズの経営部門や事業部門のトップの方が多く、代表、副代表がそのようなお客様と関係性を構築したり、彼らの課題を一緒に探り解決策を見出す場面に立ち会い、それらをひとつひとつ形にしていく毎日は、なかなか得られない貴重な修行の場でした。
自由度が高いというのは楽とはむしろ反対の環境なので、ペースや自律的な働き方についてこられず辞めていくスタッフもいなかったわけではありません。

HackCamp Way

HackCampが提供するワークショップにはブレストやアイディエーションに使えるたくさんのワークがあるのですが、グループワークの基本的な構造は、以下のプロセスの繰り返しです。

個人で考える

共有する

お互いのアイデアやフィードバックからヒントをもらう

アイデアをブラッシュアップする

この構造は普段の私たちの仕事にも適用されます。
リモートワークなので個人でする作業は多いですが、上のようなプロセスでチームメンバーの意見やアドバイスをもらいながら形を作っていきます。
一般的な会社の仕事では、個人で考えてから共有するまでに結構な比重があり、相手は上司で共有というより提出をして、指摘された部分を直す、ということが多いのでしょうか。
HackCampではお互いの壁打ちに付き合うことも多く、叩きを作るところから周りに相談しながら作っていきます。上司以外にも相談する内容に適切な人物にフィードバックをもらいにいき、必ず新しい発見があるので個人で完成に近づけるよりも早く質の高いアウトプットを出すことができました。

私はこのようなワークショップの構造をみていて、あの手塚治虫さんや藤子不二雄さんが住んでいたという伝説のトキワ荘のことをいつもイメージしていました。
トキワ荘には有望な漫画家が編集者により住まいをあてがわれたそうですが、たまたま有望な漫画家がそこに住んでいてそれぞれに成功したのではなく、同じ場所に住むことで毎日のようにお互いの作品や考えに触れ、お互いに意見をぶつけ合い、刺激を受け合い、憧れたり嫉妬したりしながら切磋琢磨することができたことがそれぞれの成長につながり、よりよいアウトプットが生まれたのではないかと思います。
多くの文学や芸術のムーブメントも溜まり場のカフェから生まれることが多いですよね。
私にとって、HackCampで仕事をする毎日は、リモートではあったもののトキワ荘で生活しているような感じでした。
それぞれの能力がお互いに刺激しあうことでより良いアウトプットと成長が生まれることが、グループで考えたり仕事する「共創」の最大の利点ではないでしょうか。

参考:HackCampのワークショップについてhttps://hackcamp.jp/learning/article/kyosoworkshop_taiwa/

成長の砂場

HackCampは10人に満たない小さな会社ですが、会社全体で社員の成長を大切に考え、チャレンジを奨励し、失敗を歓迎します。お互いの成長のために、時に相手にとって厳しい内容でも、相手の成長につながるフィードバックを勇気をもって贈り合います。
この5年間で、私はたくさんのちょっと無理目なチャレンジを繰り返し、メンバーに助けられ、失敗し、励まされ、学習しなおして、またあらたにチャレンジをしました。HackCampは、社員の成長のための砂場のような場所でした。

HackCampの9つのバリュー

ネクストステップ

そのような環境で毎日仕事を続けさせてもらった5年間で、私はワークショップデザイナーとして、カルチャーリードとしてのスキルと自信を身につけることができました。
今月から、このスキルを最大限に活かすことのできる新しい職場でのチャレンジが始まります。5年前の自分には想像もできなかったような大きなチャレンジになります。
会社を辞める人間がいくら会社のことを褒めても結局辞めるのだろうと思われるかもしれませんが、このネクストステップを踏み出すことができるのは、HackCampでしか経験できない修行の日々があったからこそです。

HackCampでは個人="I"の意見やアイデアを出し合い、その場にいるみんな="We"の合意を形成するという作業を、社内でもお客様とも繰り返してきました。入社前は個人主義であまり集団に所属することに魅力を感じていなかった私ですが、この5年間で、職場では常に”We"を意識できるようになりました。
これからの私にとっての"We"がHackCampではなくなってしまうのは本当に寂しいですが、このカルチャーを持ったHackCampはこれからも毎日成長して新たな"We"を作っていくと思います。今後のHackCampの成長が楽しみです。

社員の成長を何より大切に考えるHackCampという会社は、わたしにとって唯一無二の会社でした。本当にありがとうございました。


2023年 大子町合宿

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