私は名前を作って戦わせています

この記事はDiscord上に存在している、最強の名前トーナメントサーバーにて開催された「名トアドベントカレンダー2024」に参加しています。(これがなんなのかわからなくても読めます)
これから下記ハブに投稿される多くの記事も要チェックだ!


あらためてこんにちは。
アドベントカレンダー企画一日目をたまわりました、みやだと申します。普段は集合の端っこの方で細く息を吐いて暮らし、その傍らで「最強の名前トーナメント」に参加する日々を送っています。
せっかくの機会であるので、当記事では
○最強の名前トーナメントそのものについて(初見・初心者向け)
○筆者の名前作りについて(みやだのことを認識している人向け)
の二つのことを書いていこうと思います。
よろしく!



まず最強の名前トーナメントって何?という話。

有志が更新している公式サイトがこちら。
最強の名前トーナメントについて、今までの大会履歴、大会の参加方法などが載っています。まずは覗いてみても楽しいかも。

では本題に行きましょう。
私たちは普段、Discord上にある「最強の名前トーナメント」という場所でこの遊びを遊んでいます。
開催されるのはだいたい夜の九時前後。そこでは大体の場合、鯖名にある通りトーナメント式の大会が行われています。(そうでない日もある)
戦うのは、最強を謳う名前達!

既存選手杯 二回戦 第四試合より抜粋

こんなように選手の名前が出され、その名前そのものや試合の相性なんかに対し自分たちで議論を交わしていき、最後には投票で雌雄を決します。

迅鳴さんの勝利!

これを決勝まで繰り返し、優勝を決めていくわけです。
これを基本毎日、少ない時でも週に2~3はやってます。1年以上。すごいことですね。

ひとつの大会丸々が記事になっているものもあります。流れや雰囲気はここを見るのが一番わかりやすいと思うので合わせてぜひご覧ください。

そしてもう一つ、名トには欠かせないのが名前の作成および提出です。
大会に出る名前はほぼ全部鯖内の人間が考えたもの!それぞれが最強だと思う名前を考え、形にし提出しています。

大抵、大会の開催が予約されると同時にGoogleフォームが立てられ、作成した名前を提出することができるようになります。
検索すれば毎日何かしら募集があるので結構気軽に参加できちゃう。そう、あなたも!

この日はわりと少なめ

名前の自由度はかなり高く、先程のような二つ名+名前のシンプルなものから形式を完全に破壊した散文までなんでも出せます。

一年もやってると結構来るとこまで来ていて、みんな何が来てもとりあえず受け入れてくれるようになってるので提出のハードルは本当に下がっていると思います。
初見のみなさま、興味はあるけど不安ごとがあったり相談したいことがあったりする場合は筆者でよければ聞きますので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
次に最強の名前を送り出すのは、あなたかもしれない…



さて、ここからは名前づくりについての話に移っていきます。

ではまず。名トの大まかな傾向として、名前一つでどれくらいのことができるのかわかる方が勝ちに繋がりやすいというものがあります。
その場にいる人間が初めて見る名前に対し、限られた議論時間で情報を噛み砕いて勝敗を判断するわけですからね。要素の強さはもちろん、それをどう伝えていくかも大事なことです。

また「名トは運」と言われることも多くあるのも事実です。その時いる観戦者、その名前とかち合う対戦相手との相性、その他試合の流れ等々…。よっぽどのことでない限り全ての名前に優勝の可能性があるのがこの遊びのすごいところですね。

筆者の名前作りについても、わかりやすさに重きを置いている傾向が強くあります。発想力の点において他の参加者に遅れを取りがちな節があるため、そこを補う形でとにかく強いことを押し出しているのが私のスタイルです。

それではこれらを踏まえて、私がどんな名前をつくっているのか見てみましょう。

漸血症を伴う矧弱回帰疾患 1.あなたはひっかき傷に気付く。
脳幹切除 御(ミ)耳(ミミ)寐(ミ) 曳(ヒキ)抜(ヌキ)
ふるえ由来 浅間敷 ゆびさき と恋
能力名:大脳皮質(最も近い)

…?
言ってることが違う…

すみません、冒頭で筆者の名前作りに関して(みやだのことを認識している人向け)としたのはこういうことです。
自分で言うのもアレですが、かなり外れ値の名前を出しています。そしてこれらの雰囲気怪異達を解説するための記事になります。
よろしく!

前置きとして、ここに書くことの大枠は名ト鯖の派生鯖である「最強の名前コンテストサーバー」に建てた『みやだ全部開示部屋:解説編』というスレに置いてあります。興味があればそちらも見てみてくださいね。

でははじめます。

残春杯という特殊ルールの無いオーソドックスな杯で提出した名前です。
キャラクター然としていなくておぞましさがコンセプトとして置かれているような名前は怪異と呼ぶことが多く、私が提出するのはそういった怪異ばかりです。
やっていることとしては対戦相手を病気にして、それにゆっくり気付いていく間に毒が回るようにうごけなくなってしまう、のを形にしています。実はなかなかお気に入り。

製作過程についても解説していきましょう。
まず最初に置いたのは「 矧 」の字。はぐ と変換すると出てきて、字面としてなんかキモくていいなあと思っていたのでここから始めました。

名トで知らない漢字を出す時、あんまりその意味に頼らないようにしています。今回だと矢をつくるみたいな意味がありますが、それをベースに置くとまず議論内で「漢字を調べてもらう」フェーズを経ないといけなくなってしまうわけです。ただでさえ噛み砕くのに時間がかかる名前ばかりつくっているのに自ら理解までの行程を増やすような真似はしたくない、という考えがありますね。

ということで矧の字面のキモさだけを引用して名前を組んでいきましょう。

まず前提として、対戦相手はともかく、議論者は確実に人間です。今のところDiscordを使用するのは人間が大半ですからね。
なので、人間がおぞましい目に遭っていると議論者も共感がしやすいです。
何が怖いでしょう?例えば、知らない病気に体が侵されていたら怖いでしょうか。病気として知らない症状が体に出ていて、なにかしらの手段で病名を知ったとしても知らない文字に知らない響き。そうだったら、理解による恐怖の緩和もできません。
ということで疾患にすることにしました。
この頃からどうにか相手より強くなければならないことを感覚的にわかってもらわなければならないと気付き始めていたので、そのまま弱の字を入れることで弱さを相手に押し付けようとしています。おまけのように回帰の文字も付け足して、「何かわからないけど弱いものに還っていく」の意を与えた病名が完成しました。

矧弱回帰疾患

今だったら読みの響き的に「矧弱性」にしてたかも。

でもこれだけではなんか足りません。「病気だ」以外に言うことがあんまり無いです。じゃあ足しましょう。
病気といえば合併症ですね。
ここで頭にふっと「ひっかき傷」というワードが出てきます。地味に痛くて、身近で、ひらがながもつ独特の不気味さがあって良いワードかもしれません。どうにか使えないでしょうか。
そういえばいつの間にか足に傷をつけてくる妖怪がいました。かまいたち。彼らはあんまり傷をつける以上のことをしてこないので実害的な恐怖はありませんが、こと病気に関してはそんなこと言ってられません。知らない間に、明らかに自分でつけた傷がある、病気の情報と共に。

1.あなたはひっかき傷に気付く。

こうだ!
1.と置くことでこれから先何かが起こることを想起させつつ、まだ大事にはなっていない、焦りの混じったような、それでいて確実に時間が過ぎているような感覚を伴う良いフレーズです。名前が出た時点で症状が始まっている=既に病気にはなっている、が成立していて最悪だ。
まだまだ足したいところですね。
傷に関する恐怖のひとつに、あんまり血が出てない、というのがあると思っています。というのも、血が出るという描写は名トにおいて結構想像しやすいものになっているから。傷が付いて血が出るの一つじゃ芸がないので、ここを直感から外してみることにしましょう。
血が出ないというのは、どういうことでしょう?血液の流れがあまりよくなさそうです。心拍数が下がる、太もものあたりが冷える、切れた皮膚がシワを帯びてすぼまっていく。うーん

漸血症を伴う矧弱回帰疾患 1.あなたはひっかき傷に気付く。

完成!
ゆっくり血が流れるさまを漸血症としました。血の字が使われているのによく読むとむしろ血は出ていなさそうなのが読み取れるのもアンバランスで良い感じ。もっとなにか良い言い方がないか探してもみましたが、これ以上にハマる言葉が見つからなかった。私の名付けではこういうことがかなりの頻度で起こります。
必殺技は

2.脈拍が聞こえる。28以降が数えられない。
3.あなたはうつぶせになっている。

の二つ。焦っている間は心臓の音がよく聞こえますが、いやにゆっくりだったら嫌ですよね。
そして心拍数を測るために数を数えてみると、28より先の数字が思い出せない。これもかなり嫌。
最後にはいつの間にかうつぶせになっています。人間がとりうる体勢の中で一番気味が悪い体勢こと、うつぶせ。こうなると完全に戦闘不能であるように見えます。いいね~~

ではこれをもって提出!
大会ではどれくらい活躍したのか見てみましょう!

2票

カァ~~~~~~っ
ええ、よくあります。
くやしくもありますが、その上で目をギンギンにして名トを楽しんでいます。アタシこの遊び大好き。


もうひとつ解説をします。

投票システムなどが普段と少し違った「最強の名前トーナメントβ」にて提出した二名です。

まずはストロボ・ライムから。

地平と駈ける希始念慮【緑閃光】ストロボ・ライム

この杯の少し前にHIPHOPの曲をモチーフに名前を作って提出するコンセプトの杯があったのですが、その時完全に気をおかしくしてて名前が作れず提出を見送ったので、それのリベンジとして作った名前でした。
モチーフにしたのはYACA IN DA HOUSEの『OSARABA』という楽曲。

リリース当初から今までずっと大好きなので各所でオススメする度に「私の入場曲です」と言っています。

曲をモチーフに名前をつくるというのは名トの中でもまあまあ見かけるものです。それ自体がコンセプトになってる杯も沢山あります。
そして私は、そのどれもでメチャクチャ苦労しています。かなり苦手分野。今回はその苦手意識を和らげるのも目的でした。

まず、楽曲の中から使えそうなイメージを選びとりました。
OSARABAはライムグリーンの疾走感と音の厚みで楽しさを醸している一方、リリック内で垣間見える諦念がその楽しさを洞のようにくりぬいてしまっているような印象があります。
ここからおちゃらけたキャラクターが実は誰よりも暗い未来のことを考えているような属性が想起できます。わかりやすくするために絶望と希望の順番を入れ換えて「再起」でまとめてしまいましょう。
もうひとつ、ライムグリーンと希望の二つから「グリーンフラッシュ」をモチーフに持ってきました。見ると幸せになれるらしいやつ。漢字表記では緑閃光というらしく、かっこいいのでこのまま採用してしまいます。
肝心の名前部分ですが、ストロボという言葉の響きがかなり好きですね。こういう既にある名詞を名前に持ってくる手法はよく見かけますし私もメチャクチャやります。名前で要素がひとつ増やせるし突き抜けたかっこよさが補強される気がする。

緑閃光ストロボ・ライム

現状を全部つなげるとこんな感じ。読んだときの語感はかなり心地良いですね。
ここからさらに二つ名を足していきます。
せっかくなのでまだ補えていない疾走感の部分を使っていきたい。グリーンフラッシュは地平線に現れるものなので地面を駆けていく様子とは相性が良さそうです。
OSARABA内に『吊るMY首』というフレーズがあります。これは先程言及した人生に対する諦念と人狼ゲームが苦手で早くゲームから抜けたい気持ちを掛けたものであるらしいのでありがたく使いましょう。この諦念を「希死念慮」とおき、キャラコンセプトである再起を持っていくために死を始にもじります。四字熟語の意味的にもこれからどうにか足掻いていくのを願うように解釈できていいですね。
あとは語感を整えるために言葉を足していきます。

地平と駈ける希始念慮【緑閃光】ストロボ・ライム

完成がこれ。地平“を”にするとなんだか読んだとき抜けた印象になる気がして“と”に変更したり、駆けると駈けるで悩んだ結果グリーンフラッシュの見える丘に印象を任せて決めたりしています。
二つ名「短いテキスト」名前 の形式は短い中に要素を詰められて語感も整えやすいので多用してしまいますね。
必殺技もかなり素直です。ストロボの目がちかちかする感じに身を任せつつ、「目を醒ませ、ストロボ」でバチッと決めにかかる様がかなりかっこいい。

それではもう一人、ひとすくいに行きましょう。

滔々惚々『髄まであまく腐柔かして』脆 ひとすくい

発想元はベッドで眠る人にスプーンがスッと入っていくような美しい腐敗のイメージ。自分や相手にそれをさせて勝っていこうと言うコンセプトでした。

まず作ったのは滔々惚々の部分。腐敗したものの気色の悪さを増長させるには流動させて増やすのが一番手っ取り早い感じがあったので「滔々」という語彙に頼りました。々の字にかなりのロマンと気味悪さを感じていて、隙あらば使えないか画策しています。

ここからはほぼ同時進行で全てのパーツが完成していきます。バトルルールにおいてはまず相手の急所をどうにかしないと勝てないことがわかっていたので髄という言葉を置きます。グニュグニュになった骨を表現するのに「ふやかす」を用いますが、そのままではひらがなの濃度があがって格が落ちるため、それらしい漢字を当てはめましょう。おそらく語源的にもこの辺から来ているだろう腐と柔を置き、「腐柔かして」と文意をぼかして自他の境界を薄めます。こうやって対象を不透明にすると「現に私はこうなっている、あなたもそうなるんだよ」を暗に伝えられる気がして、この手法も多用しています。
名前は発想元のイメージからとって一掬いとします。そうなると名字も響き的に「もろ」の音が良いと判断。彼女もそれなりに人間であるので実在する名字から持ってきたかったところですが、もろの音がぴったりハマりそうな名字が諸口みたいなのしかなく、あんまりイメージに沿わないため断念します。そこで脆の字をそのまま使った方が不気味なのではと思い置きますが、
脆 一掬い
ではちょっと固すぎるかも。ちょうど必殺技でも悩んでいたので掬いの字はそっちにもっていき、名前はひらがなに開くことでバランスをとってみましょう。
脆 ひとすくい
うーん、良いかも。
こういうのの繰り返しで名前を作っています。
先程ふやかしてでひらがなの面積を取ることを嫌いましたが、名前はこっちの方が収まりが良いなら話は別です。しかし腐柔かしてはあんまり触りたくない。では二つ名の調子を整えるついでにに文言を追加してしまいます。

滔々惚々『髄まであまく腐柔かして』脆 ひとすくい

これで完成!
必殺技に行きましょう。
さっき掬いの文字を使えるようにしたのでスプーンの文字と共に使います。以前木のスプーンでバニラアイスを食べたときの感覚が良かったのと、皮膚という文字列の気味悪さをもって組みます。
そして人が例えられてもっとも嬉しいものといえばスイーツですよね。ある程度液感が残っていて、甘くて、多少ピンク色でも違和感がない食べ物といえば、ムースケーキですよね。もじりましょう。
多くの場合、私はスマホの予測変換から良い漢字を持ってきます。今回は結果的にひらがな混じりの稚拙な雰囲気が漂っていたので無理なものは持ってこず。夢(む)、稀(け)、嗌(えき)をはめました。稀嗌(ケーキ)、すごい良いと思います。
ここで、もう一つの必殺技に使用するスイーツがなかなか決まらない問題が出てきます。ある程度液感が残っていて、甘くて、多少ピンク色でも違和感がない食べ物といえば、本当にムースケーキしかない。
どうにか今回はより皮膚の質感から遠のいて柔らかいものであるメレンゲを採用します。もじりで恋の字が使えたのがとても大きい。恋ってどれだけ盛ってもいいですからね。
メレンゲといえばメレンゲクッキーがまず出てきますが、あれも脆さで言えば指折りです。スプーンという道具を使わなくてもいい程ふやけ、ぷちっと潰せてしまう感覚を持たせる必殺技を組んだら完成!
かわいくて美しい良い名前になったと思います。



以上、解説でした。長々とありがとう。
外れ値の名前を出している自覚はありますが、考えた結果これ以上名前の軸や表現を動かせなくなった成れの果てがああであるだけなんですね。
名前作りは大好きなのできっと今後もこうです。よろしくお願いしますね。

私の記事はこれでおわり!
明日以降の記事もみんなで読もう!ね!
それでは。

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