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IPO、ダイレクトリスティング、SPACの違い ― さまざまな上場方法

ひとくちに上場、株式公開といっても、さまざまな方法があります。
ここでは、代表的な3つの上場方法である、IPO、ダイレクトリスティング、SPACの違いを簡単にまとめます。

IPO

IPOとは「Initial Public Offering」の略で、日本では「新規公開株式」や「新規上場株」と呼ばれます。上場=IPOと考える人も多いほど、メジャーな株式公開方法です。

IPOは大変メジャーな方法ではありますが、2点の大きな問題があります。

伝統的なIPOの問題点
(1)上場準備に膨大な手間とコストがかかる
(2)公募価格がやたらと低く設定されがち

まず(1)上場準備に膨大な手間とコストがかかる問題について。
IPOのプロセスは複雑で、必要な書類も多く、とても時間がかかります。また、仲介役である投資銀行(アンダーライター)を雇う必要があり、手数料として新株発行による資金調達額の約7%が持っていかれます。

次に、(2)公募価格がやたらと低く設定されがちな問題について。
IPO株の公募価格を決める際は、ロードショーと呼ばれる機関投資家へのお披露目会を行い、機関投資家の意見を聞きながら決めます。この際に、少数の機関投資家が強い発言権を持っていたり、仲介役である投資銀行が全IPO株を売却することを優先するあまり、不適切なほどに低い公募価格で合意してしまう事態が頻発しています。

この結果、IPO直後に株価が跳ね上がる「IPOポップ」が問題となっています海外VCの分析によると、2020年上半期のIPO銘柄は初日に平均31%上がったということです。景気の良い話にも聞こえますが、創業者やVCサイドから見れば、資金調達できた(かもしれない)金額の31%もの低い値付けで売ってしまったことを意味します。大きな資金調達を目指す企業にとって、これでは本末転倒です。

IPOの2つの課題(1)上場準備に手間とコストがかかる、(2)公募価格と市場価格の不適切な乖離を背景に、近年盛り上がっているのが、次に紹介する「ダイレクトリスティング」と「SPAC」です。

ダイレクトリスティング(直接上場)

ダイレクトリスティングは、新株を発行せず、既存の株式だけを上場させる手法です。仲介役である投資銀行を雇う必要がなく、必要な手続きもシンプルなので、スピーディーに上場できます。またIPOと違い、ダイレクトリスティングの株価は市場の需要と供給によって決まるため、機関投資家の意見を聞く必要はありません。

ダイレクトリスティングは近年注目を集めており、Spotify、Slack、PalantirAsanaなど大型テック企業がダイレクトリスティングで上場しました。これらの企業は、上場前から強い商品とブランド力を持っていたため、仲介人のサポートを借りて投資家にアピールする必要性も低く、ダイレクトリスティングの道を選んだのでしょう。

SPAC(特定買収目的会社)

SPAC(スパック)とは、Special-Purpose Acquisition Companyの略で、日本語では「特別買収目的会社」とも呼びます。受け皿となる企業(SPAC)を先に上場させておき、ターゲット企業を数年後に買収して、買収された社名を新社名とすることで、実質的に上場とする方法です。
ものすごくざっくりいうと、機関投資家に安い値付けをされるくらいなら、中身のない「空箱」を先に上場させて資金集めてベンチャー買収させて、あとから社名を変えればOK!ということです。
従来の感覚であれば「ちょっと上場には早いかな?」という企業であっても実質上場ができるので「抜け道上場」と呼ばれることもあります。

SPACは、投資銀行やPEファンド、著名投資家などが「フードテック」「スポーツビジネス」などテーマを決めて設立することが多く、2~3年かけて買収企業を探します。

SPACの良い点は、ダイレクトリスティングと同じく株式公開までのコストが低くシンプルな点、IPOよりも高値で買収される可能性が高い点、ロックアップ(創業者などが一定期間は持ち株を売却できない制限)がない点などが挙げられます。

まとめ:3つの手法の比較表

以上、IPO、ダイレクトリスティング、SPACの特徴をまとめました。ざっくりまとめると以下の表のようになります。

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ダイレクトリスティングやSPACはまだ未整備な部分も多いですが、従来型IPOの問題を解決する新たな上場手段として、日本でも今後盛り上がっていくのではないでしょうか。

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