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番外編 国内最古参の鳥類孵卵器製造メーカーへ潜入してみた(参考)爬虫類用クールインキュベーター
一般鳥類愛好家として、訪れるのは今回で2回目だ。かつて昭和フランキ研究所は埼玉県浦和市に所在していて、現在は北足立郡伊奈町に移転して株式会社昭和フランキに名称変更となった。来月2月に創業93年を迎える国内最古参の鳥類孵卵器メーカーで多くの園館、大学、トキ保護センターなどで使用されている信頼と安心の孵卵器を製造している会社だ。
応接室に通されて目に飛び込んで来たのはお花のように飾られた鳥の羽根
見てわかる人だけが楽しむ生花のようで相変わらず敷居が高い飼い鳥の世界が見えてくるじゃないか(笑)
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先日、私事だと同社の小型孵卵器ベビーB型を購入したばかり。ちなみにA型とB型の違いは手動転卵か自動転卵かの違いでB型が自動転卵装置付きになる。
小型孵卵器には庫内の空気を撹拌する電動ファンは付いていない。底部の空気穴から取り込まれた新しい空気が自然対流方式により上部の換気口から放出される昔ながらの仕組みで換気口の開き具合で湿度を調整する。
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さらに大きい孵卵器にP008-A型とP008-B型がある。鶏卵だとA型で42卵、B型で倍の84卵収容数の違いは転卵装置が一段か二段かの違いで両機種とも温湿度はデジタル管理、電動ファンが付いた強制対流方式の孵卵器だ。自然対流方式と強制対流方式、それぞれメリットとデメリットはあるものの置き場所の気温に左右される点は共通である。爬虫類の孵卵器とは違い、鳥類は転卵が必要で管理する温度帯も違う。
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爬虫類用孵卵器の話になるが先日、馴染みの爬虫類屋でhachukenさんはMITSUBISHIのクールインキュベーター持ってるじゃん。だから真夏でも亀の卵、大丈夫なんでしょう?って聞いて来た店主がいたが、MITSUBISHI以外の別上位機種でも小型孵卵器の冷却機能など真夏には全く歯が立たない。フル回転させれば寿命も短くなり、昨今のTSDオス設定には遠く届かない事が度々ある。温度が一定の室温が管理された部屋への設置が鳥類用も爬虫類用も賢明だ。
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いざ、昭和フランキ工場内へ。以前より興味のあった製造工程を見せてもらった。想像どおり職人さん達の1つ1つ手作りで、ちょうど伺った時は孵卵器P008の箱作りをしていた。話は脱線するが、私が1回目に訪問したのは数十年前で当時は昭和フランキさんから直接、個人が孵卵器を購入する事は出来なかった。近くの鳥獣店で注文するようになっていたため今のインターネット販売の存在は鳥類愛好家にとっては手軽に購入し易くなったと思う。このインターネット販売について質問してみたところYahoo!は公式とのこと。
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昭和フランキ各機種はカタログを見ても内部構造がよくわからないのが唯一の難点だ。実物の撮影許可を頂いた。
孵卵器を購入出来ない極貧生活の頃はよくチャボの仮母に抱いてもらった。最近は数千円出せばプラスチックの中華製孵卵器なら買えるが、周りの購入者の声を聞くとやはり故障が気になる。数台買い直すぐらいなら万一の時でも修理の出来る純国産がいいだろう。卵の発生と共に発熱も起きる。中華製プラスチック製品の放熱性や耐久性に疑問が残る点を考えれば部材が厳選された純国産品の選択がベスト。以前は本体のパネル内部の芯材が木製だった記憶があり、聞いてみると現行品は断熱材を芯材とした4種類の部材で複合パネルになっているようで木材は使用されていない。トキの人工孵化に使用されたぐらい孵卵器は一流、あとは使い方次第って事になる。
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P-1の入卵数は鶏卵で840卵
P-2は1960卵
ここから先は今回見学させてもらった昭和フランキさんの受け売りになるが最後に大型孵卵器の紹介をしよう。主な使用目的は孵化鶏卵(胚のある鶏卵)からインルエンザワクチンが作られている。最近では北里大学に納入したようだ。ウィルスが生きた細胞に感染して増える性質を利用して孵化鶏卵へウィルスを注射、鶏卵1〜2個から大人1人分のワクチンが製造出来るそうだ。医療の分野でも孵卵器は活躍している。愛鳥家の孵卵器製造だけでは不安になるが来月には設立93周年、今後益々の活躍が期待出来そうだ。
日頃から爬虫類マニアを自分を含めて変態か変人と揶揄しているが、鳥類愛好家ってやつも孵卵器を持つとなかなかのもんで、なんて呼んだらいいのかわからない(笑)
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