怖い話風のほっこりしてくれたら嬉しい話
この季節とは真逆の暑い夏の日
実家に帰っていた俺は友人と酒を飲む約束をしていた
その友人に会うやいなや
「飲む前にこれから肝試ししてみないか。
近くに有名な所があるんだ。」
幽霊を見たことがない俺は興味津々でオッケーした
車で30分ほどした所に月明かりにも照らされていないまっ暗な山が現れ、麓に辿り着くと暗い坂道が見えた
「ここら辺じゃ有名な自○の名所らしいよ」
と言うと、車のアクセルを踏んで薄らと見える坂道へ進んで行った
蛇のようにぐねぐねとして荒れた坂道をボコボコ踏みながら進んでいく
坂道を登りきったところに車を停められるスペースがあったので、そこに車を停めて降りると
そこには月明かりに照らされた山々の綺麗な夜景が広がっていた
「…なんか思ってたより綺麗なところだな」
そう言って辺りを見回すと空気が澄んでいて
心が健やかになる
普通に女と着たいところだ
そう考えていた時、どこからか鳴き声のような音が遠くから響いてきた
周りを見回すが暗くて何も見えない
ただ鳴き声は続いている
そしてその鳴き声は徐々に大きくなってきたのだ
俺は経験したことのない不気味な現象に自然と身構える
周りを警戒していた時、坂道の向こうから白い塊がうっすらと現れた
遠くにいる白い存在に経験したことのない焦りと恐怖を覚える
おどおどしている俺たちとはよそに、白い塊はみるみる内に接近してきてさっきよりも大きな声で鳴き声を発している
後ろは崖、逃げ場のない俺らの目に鳴き声の正体が飛び込んできた
こんな山にいるとは思えない程、まっ白でフサフサでそれはそれは綺麗な子猫だった
か細く鳴くその声は余りにもかわいく
恐怖を一瞬で癒しに変えていく
猫好きの俺にとっては信じられないくらいかわいい
しばらく子猫とじゃれ合い愛でてから
「幽霊はいなかったけど…来てよかったな…」
友人にそう話すと、子猫と別れを告げて暗い坂道を降りることにした
ほこほこした気持ちで友人と話していると、坂の途中で立ちしょ○しているオッサンがいたので、そいつを幽霊ということにしとこうと決めて山を後にした
-おわり-
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