尾畠さん徒歩旅中止とテレビのエゴについて
「スーパーボランティア」こと尾畠春夫さん(79)が東京から自宅のある大分までの徒歩旅を中止したというテレビニュースを見た。
どの局も「尾畠さんが人気すぎて、一目見たさに人だかりができ、交通渋滞などが発生したため」といった報道の仕方だ。
テレビの取材に対し、尾畠さんは涙ながらに「申し訳ない」と謝る。それに対して、テレビは「無念」だの「葛藤」だの好き勝手言うが、謝罪は0である。
ただこの旅を中止せざるを得なくなった一番の原因は、リポートし続けたテレビ局なのではないだろうか?
一般人が東京から大分まで歩く旅をするだけならこんなに大騒動にならずに済み、尾畠さんは今頃太平洋沿いを一歩、また一歩と進み続けていたのだろう。テレビの連日に渡る密着さえなければ。それならば、謝るべきはテレビ局なのではないだろうか?
私にはどうも今回の件が、テレビ局の「一般人を有名にさせてあげよう」というようなエゴが巻き起こした騒動のように思えてしまう。
テレビは一般人を巻き込んだ挙句、自分たちは謝罪をしない。その上巻き込まれた人が涙ながらに謝罪する姿を放映する。まるで自分たちは悪くないとでもいう顔で。
私が知らない間に、テレビはずいぶん偉くなったようだ。
ところで、カンニング竹山さんが「紳士協定的なものを結んで、尾畠さんを追わないってことを多分、メディアもした方がいいかもしれないですね」とテレビで発言したそうだ。同じ轍を踏まないためにも、彼の発言がもっと大きな反響を生むことを願ってやまない。
なによりも、「皆さんに迷惑かけた」と涙ながらに謝る尾畠さんが、いたたまれない。
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