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ウィーンの美術史美術館で過ごす日曜日の朝。
暗く寒いヨーロッパのイメージを払拭するように良い天気が続いているウィーン。
気温は0度から5度と寒いが、日差しはとても暖かい。
こんな日に私は散歩がしたくなる。
コロナ禍にラジオを聴きながら2時間ほど散歩をする習慣があり、ラジオを聴きながらの散歩が趣味になっているのだ。
夫は散歩がどちらかといえば苦手である。
散歩をしていることに飽きるし、疲れるからだという。
おまけにこちらの学校の授業で始めたヨガに精を出していたところ足を痛めてしまったこともあり、より散歩への距離は離れてしまった。
良い天気の時は大抵私が散歩の誘いを持ちかけ、いやいやながらも付き合ってもらうか、私一人で散歩に赴くかどちらかだ。
嫌がる飼い主に懸命に訴えかける犬にでもなった気分である。
今日はその会話の落とし所が美術史美術館だった。
夫は美術館には私以上に興味があるといえる。
何度か博物館や美術館に足を運んだが、ズンズンと先へ進む私を尻目にいつもじっくりと作品とにらめっこしている。
私たちは美術史美術館の年間パスを昨年末に購入していた。
訪れるのは三度目である。
こんな風にふらりと立ち寄ることが出来るなんてこの上ない幸せだと感じる。
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いつ見ても美しい入り口を通り抜けて、常設展へと向かった。
有名なアルチンボルドの作品
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私のお気に入りは「水」だ。
この作品が含まれる「四季」と「四大元素」は1569年にマクシミリアン2世に捧げられたのだそうだ。
1569年に何があったのかと調べたところ、日本では「本圀寺の変」があったのだそうだ。
『本圀寺の変…「本能寺の変」じゃなくて…?』と思いそれ以上考えるのをやめた。
次にその時代の作曲家を調べた。
すると、パレストリーナ(ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ) Palestrina, Giovanni Pierluigi daがちょうど同じ時期に生きていたことがわかった。
パレストリーナという、彼を題材にしたオペラを11月にウィーン国立歌劇場で観劇していた。
そのオペラ自体は第二次世界大戦前に作曲されたのだが、内容としては新たな手法を取り入れるのを禁止された作曲が、新しさを取り入れながら教会側を納得させる傑作を生み出し、今日の音楽につながっている。というようなお話だ。
時代を同じくしてアルチンボルドは今見ても新鮮なこの作品を生み出していたのか、と感激した。