ギリギリ嘘じゃない話 人は 失敗から学ぶ。
ドリルです。
15年ほど前 僕が工事現場で、働いている時 ある理由で両足を同時に骨折し、それから3カ月たって不死鳥の如く蘇り現場復帰したちょっとドジなおじさん福ちゃんのお話しです。
「福ちゃん!お帰り!もう、足大丈夫なんかいな!」
と、現場のみんなから声をかけられる福ちゃん。
「いや〜、ほんま恥ずかしいけど もう完全復活や!今度は、ダンプなんか押し返したるでぇ!!」
いやいや!まず、ダンプを押し返すような状況 作るなよ!って突っ込みたかったが、久しぶりに現場復帰してご機嫌だったので、その時は 笑って流した。
その時は………
いつものように 作業長が、砂で いっぱいになったダンプを福ちゃんに、
「邪魔にならんとこ、置いて来て!」
と、伝える。
「了解、了解!!」
福ちゃんは、久しぶりの仕事で楽しかったのか、小走りでダンプまで行きサッと飛び乗り、近くに止めるとこはいっぱいあるのに、何故か遠くの方に止めに行った。
しばらくしても、福ちゃんが帰ってこない……
まだ、帰ってこない……
「作業長!福ちゃん帰ってこないですね?」
「えっ?ホンマかいな?だいぶ 経つやろ?おかしいなぁ…ドリル すまんけどちょっと様子見に探しに行ってくれへんか?」
「はい!ちょっと心配なんで見てきます。」
まさかな…と思いながらキョロキョロと住宅街の中を探していると、小柄のヘルメットをかぶったオッサンが、頭を抱えながら まるでクマのように同じ所をグルグル グルグル回っている。完璧に職務質問 対象者ですが、見覚えがありました。
(福ちゃんや!良かった!無事や!でも、なんか様子がおかしいな?)
「福ちゃん!なにしてんの?」
ビクッ!っとして福ちゃんが、こちらに気付く。
「お、おう、ドリルか…」
「『おう』ちゃうよ!何してんのこんなとこで!中々帰ってけぇへんから心配するやん!って……んっ?……あれっ?ダンプは?ダンプどこ置いたん?」
「あ、あぁ…ダンプか?あそこ…あそこ、あるで………」
福ちゃんが、指差した先は、50メートル 程下った坂の下でした。
そこには、目を疑う様な光景が ありました。ダンプのフロントと坂の下の民家のブロック塀が、あり得ないくらい濃厚接触しています。
「福ちゃん!何してんの!!」
「何もしてない!何もせんかったら あぁなったんや……」
「あぁ、なるほど……って、なるほどちゃうわ!サイドブレーキまた 引いてなかったん!?」
「ひ、ひいてたよ。引いてたけど 降りたら勝手に動き出して…ほんで、押さえな!って一瞬思ったんやけど ワシもアホや ないからダンプ押さえても止まらん事くらい知ってるし どうしよう!どうしよう!って考えてたらゆっくり塀にめり込んで行って……」
「前の教訓 生かして無駄な抵抗せんかったのは、わかるけど もう一段階前のサイドブレーキをしっかり引くって方の教訓 生かして!ほんで、そんだけ遅かったらちょっと飛び乗って『グッ』ってサイドブレーキ引けたんちゃうの?」
「あぁ!その発想は、なかったわ。」
「いやいや、まず思いつくやろ!まぁ、取り敢えず監督と作業長に連絡して 家の人に謝りに行こ!!」
幸い怪我人もなく、家の塀の方も少し傾いていましたが、弁償してくれたらそれ以上は、良いとのことで事なきを得ました。
まぁ、福ちゃんも前の教訓を生かさずにダンプを押さえに入ってたら ブロック塀とダンプにサンドウィッチされてグチャグチャになってたかも知れなかったので学んでくれてて良かったです!
この話の本当度 90%
結局 福ちゃんは、やっぱり サイドブレーキ引いてなかったです。
サイドブレーキを しっかり引く!…ということを先に学んで欲しかった…。