クローハンマーバンジョーとは?

 私は楽器を弾くのが趣味で、バンジョー🪕という楽器を“クローハンマースタイル”と呼ばれる奏法で弾いています。今日はクローハンマーバンジョーについて解説したいと思います

故Dwight Dillerによるクローハンマーバンジョー


①バンジョーとは?
 バンジョーはアメリカ民謡で使われる弦楽器です。カラッとした軽い音がします。三味線なんかと近くて、太鼓に竿が刺さったような構造です。ギターでもベースでも、ネックの先端に糸巻き(ペグ)が付いていて、弦は細いものから太いものが順番に並んでいますが、バンジョーは1→4弦の順に弦が太くなった後に、5弦が一番細くなります。しかも5弦のペグはネックの途中から飛び出しています。この5弦は押弦せず、つねに開放弦で一定の音程を鳴らし続けます(I度かV度の音にチューニングされます)。5弦が常に鳴り続ける事で、演奏の「間」を持たせ、また独特の響きを与えてくれます。5弦はドローン弦とも呼ばれます

バンジョーのネック 筆者所有

 バンジョーのルーツはアフリカにあり、黒人奴隷がアメリカに持ち込んだ楽器が時代を経て進化したものと言われています。現在でもセネガルやガンビアにはEkonting(エコンティン)という楽器があり、バンジョーと同一の祖先を持つと言われています。土着とモダンの中間に位置しているのがバンジョーの魅力のひとつかもしれません

エコンティンの演奏


②クローハンマースタイルって?
 バンジョーの古い奏法で、これも黒人たちが持ち込みました(上記のエコンティンの奏法はクローハンマーそのものです)。
 人差し指or中指の爪で弾くのが特徴で、つま弾くのではなく、サムズアップ👍の握りを緩めたような手の形でガシガシとダウンピッキングします。奏法上、アップピッキングは出来ないので、表拍だけを弾く事になります。それだけでは寂しいので、ダウンピッキングのついでに親指を5弦に引っ掛けておいて、次のピッキングに備えて手を戻すタイミングでリリースして鳴らし、裏拍を埋めます。1動作で2つの音を鳴らすのが基本動作になります(実際はここにスライド等のテクニックを混ぜてメロディを作ります)
 この一連の叩く・引っ掛ける動作が釘抜きのついた金槌🔨を思わせるため、もしくは単に爪で叩きつけるためにクローハンマーと呼ばれます

Tom Collinsさんの教則ビデオ


③どういう演奏に使えるの?
 クローハンマー奏法は、コードとメロディー、リズムの3要素をひとりでこなせるため、ソロでの演奏に適しています。弾き語りにもぴったりです。楽器初心者の人でも押さえる弦が4本と少なく、覚えるコードも少ないのでオススメです。昔ブルーグラスやってたけどバンドが無くなって、押入れにバンジョーを眠らせてる人なんかも、ソロでやるのに丁度いいのではないでしょうか


うまい人の演奏は色々なテクニックを挟んで、単調になりがちなクローハンマーを凄く表情豊かに弾いています。どうやって弾いてるのかほんとうに不思議です


合奏ももちろんいけます


 「オールドタイム」というジャンルでは、バンドで演奏される事も多いです。今回はあえて細かいジャンルの話はしませんが雰囲気だけでも感じ取ってもらえればと思います


④どうやって習得するの?
 日本においてはプレイヤー人口がきわめて少ない(100人くらいでしょうか)ので独学になります。YouTubeの動画では↑に上げたTom Collinsさんは細かいテクニックを丁寧に教えていてオススメです。今なら自動翻訳の日本語字幕なんかも付けられるし、だいぶハードルが下がりました。
 教本ではMiles Krassenのものが有名です。当然英語ですが、Googleレンズなどで頑張って訳しましょう。私はKen Perlmanの教本を最初に買いました。課題曲がアイリッシュだったり原曲とかけ離れてたり、引っかかる点はありましたが、段階を追って上手くなれるので個人的には良かったです

数少ない日本人プレイヤー
界隈のレジェンドです

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