『Thisコミュニケーション』は本当に「戦死者の2割は同士討ち」なのか?
1巻無料公開中のポストアポカリプス×少女バトル×最悪軍人×内部粛清コメディ『Thisコミュニケーション』(集英社)。
その第1話で語られた格言「戦場の同士討ちは2割」は、作中でも通用しているのかを検証した。
何事もやる前から結論づけるのは合理的ではないのでやっておこうと思う。
〇『Thisコミュニケーション』とは?
ここで1巻が無料で読めるので読もう。
https://jumpbookstore.com/ext/2112/thiscommunication/index.html
第1話で「これでもか!」と言わんばかりにコンセプトを強く打ち出している。読めばわかる。化物を殺す軍人の話である。
〇検証のルール
1.『Thisコミュニケーション』1巻~5巻におけるハントレスの死亡回数とシチュエーションを調査し、総死亡回数と同士討ちの割合を導く
2.同士討ちの定義は「デルウハ、あるいはハントレスが直接手を下した」あるいは「直接の死因は別にあるが、死亡そのものがデルウハの作為によるもの」とする
3.ハントレスと関係ない死亡は除外する(例:デルウハの過去)
4.コミックス5巻初登場の「彼女」はハントレスとして扱っておく
5.作中に描写のない死亡は除外する
〇検証結果
コミックス1巻~5巻を読みなおしたところ、総死亡回数及び同士討ちの回数はこうなった。
死亡回数39回に対し、同士討ちは34回と非常に多い数字となった。
なお、同士討ちと認められなかったケースは以下の通りである。
・1巻1話の"にこ"と"みち" 死因:イペリット
・4巻14話の"にこ"と"みち"と"よみ"※ 死因:オスカー
※よみの直接の死因はデルウハが手を離したことによる落下だが、その直前にオスカーから致命傷を受けているので同士討ちにカウントしなかった
そして、割合はこうなる。
六内円栄『Thisコミュニケーション』(集英社)1巻 48P 1コマ目
はい。
〇考察:どうすれば「戦死者の2割は同士討ち」になるか?
87.18%を2割、つまり20%にするにはどうすればよいのだろうか?
簡単な話だが、同士討ちを極力控えた上で、ひたすら敵襲が原因となる死亡をくり返せばいい。
たとえばこの先1度も同士討ちが発生せず、かつハントレスの死因がすべて敵襲あるいは事故によるものであれば、わずか170回目でちょうど20%に到達する。
あと136回ほど同士討ちすることなくハントレスに死んでもらえば「戦死者の2割は同士討ち」が真になるのだ。
デルウハ隊長を嘘つきにしないためにも、ハントレスの少女たちにはがんばってほしいものである。
〇最後に
検証範囲を1巻~5巻までにしぼった時点で、勘のいい人は気づいたと思うが、筆者は1巻無料キャンペーンから『Thisコミュニケーション』を知り、その面白さにのめりこんだ新参ファンだ。
なので、5巻以降の展開はまったく知らない。はたしてハントレスの死亡回数は増えているのか。だとしたらそのうちのいくつが同士討ちなのか。2割には近づいているのか、遠のいてしまったのか。7番は何者なのか。よみのデルウハに対する依存が深すぎやしないか。むつがかわいそうすぎてかわいすぎやしないか。気になって仕方ない。
なので5巻以降の殺人を計上していないことを物足りなくなる方もいらっしゃるだろうが、そこはご容赦いただきたい。
最後になるが、こんなにも奇想天外に面白い漫画を1巻無料にしてくれた関係者の方々に心から感謝を申し上げたい。第6巻は、まだか。
〇参考資料
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