令和にスペースコロニーでめちゃくちゃ興奮している。現在進行形で。【機動戦士ガンダム ジークアクスの感想文でいいのかこれ】
ガンダムミリしらで『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』観てきました。スペースコロニーってめちゃくちゃスゴイ発明じゃないですか? 以下『ジークアクス』のネタバレ含みつつ令和にスペースコロニーを知った人の散文が延々と続くだけです。
小さい頃に身内が遊んでたゲーム(ちっちゃいガンダムが戦うSLGだった気がする)とかアニメとかを後ろで見ていた程度のガンダム知識なので、コロニーって「宇宙に浮かんでる」「人がいっぱい住んでる」「地球に落ちる」ぐらいの理解だったんです。
※参考資料↓
驚きました。構造を理解した瞬間、確かに体に電気が走った。帰りのエスカレーターがキラキラ輝いて見えました。なんだこのケレンあじは。まず居住スペースとしてものすごく効率的ですね。私が想像していたモデルと同じ大きさでもっと多くの人類が住めますし、地球と比較してもマントル部分がない分スペースがお得じゃないですか。限られた資源でなるべく多くの人間を宇宙で生かすにはこれ以上ない「これだ!!!」に溢れています。筒状の壁にびっしりとビルやら一軒家やらが引っ付いてるビジュアルもぐっときます。
「空を見上げると逆さま都市が広がっている」「向こうから見ると自分こそが逆さま都市の一部」丸い地球の表面にへばりついている私には全然想像できない世界が『ガンダム』では当たり前の風景として処理されてる。脳が心地よく壊れていく。逆さま都市まで旅行して反対側を見上げたら自分の街が逆さまになってるのバチクソエモくない? めちゃくちゃ長いゴムで青色と緑色繋いで逆バンジーしたら向こう側の高層ビル屋上で落下死体が発見されるミステリが始まったりするのでしょうか。
「これだ!」と思わされた時点で私はコロニーという宇宙移民SFギミックに完敗したのです。戦争とか哀しいことやってないでペースコロニーの平凡な生活をもっと見せていただけないだろうか、平均的なコロニー民のよくある平和な1年の暮らしを覗いてみたい、どんな年間行事があるのか、空を見上げたら太陽ではなくビルがある空間では何が信仰対象になるのか、日本人が住んでるエリアは四季とかあるんだろうか、夏を再現して「今年は暑いなー」と汗をかき冬には除夜の鐘を突いて登りもしない初日の出をありがたがるんだろうか! 地球にいた頃は嫌でたまらなかった夏と冬をわざわざ過ごすことで自我を保つ哀しいルーチンとかあるんでしょうか? 食事の疑似行動をとらないと故障するアンドロイドみたいに!
50年前にとっくにあったSF世界にこんなに興奮してるの何? しょうがないだろ一晩経ってもワクワクが止まらないんだから。
ということをTwitterで話していたら…
にゅっと現れたガンダム有識者からコロニー事情をいろいろ教えてもらいました。ここからの話は聞きかじりやうろ覚えをもとに都合よく想像しているので「それは違うよ!」があったら許してください。
・コロニーの壁(住民から見ると常に足元)1枚向こうは宇宙
・基本的に資源を生み出せない
・空気を含むあらゆる資源を地球に頼っている
・天気や気温はすべて操作されている(たぶん四季はない)
・人口爆発した地球人類を宇宙へ放逐するために造られた
・コロニーに住んでいる人は基本的に貧困層
・地球人はコロニー民を「スペースノイド」と差別している
・数あるコロニーの1基を統治するジオン公国が独立戦争を起こす
だいぶ不穏になってきました。さっきはあんなに華やかで色づいていたコロニーが一気にくすんでいきます。一年戦争の発端にもなっているなんてガンダムの世界観にものすごく根差した存在なんですねコロニー。ちっちゃいガンダムが戦うSLGはそんなこと教えてくれなかった。でもゲームで誰かが「人類は地球の重力に縛られてる」みたいなセリフを言っていた覚えがあります。あれって「宇宙で生活できるレベルまで科学が発展したのに地球の自然に頼らないと生きていけない人類」てなノリで皮肉っていたのでしょうか。やっぱり教えてくれていたちっちゃいガンダムが戦うSLG。
ちっちゃいガンダムが戦うSLGといえば、後ろで見てて今でも印象に残っている話があって、コロニー落としを阻止するステージがあったんです。それでプレイヤー(身内)がコロニー攻撃しまくって、でも倒せなくてコロニーがすぐ地球に落ちるんですよ。そしたらすぐやり直してたから負けイベントをクリアしようとしていたのかも。幼き私はそれをぼへーっと眺めていたから「コロニー=地球に落ちる物」だと覚えていたのでしょう。
……ジオン、コロニー落としてる場合じゃなくない?
『ジークアクス』の冒頭でもコロニー落としやっていましたけど、スペースノイドは地球に生活資源を依存しているんですよね? 母なる地球をボッコボコに痛めつけるのって戦後考えたら相当まずいですよね? 恐竜滅ぼした隕石は見事に地球を氷河期にしましたけど、同じこと起こって地球の資源が枯渇したらどうする気だったんでしょ。
でも一年戦争は「地球連邦VSいちコロニー」の戦争と考えると戦力差は絶望的でしょうし、「さっさと大量虐殺して地球人ビビらせないと勝てない!」といわれたら納得できます。住んでた人たちは住処奪われてかわいそうですけど、戦争ってそういうものかもしれません。
ガンダム有識者「コロニー落としでは住民を毒ガスで殺しておいたコロニーを使用したんじゃよ」
なんで……?
残酷とかじゃなく、なんで……?
独立が成功したとしてもスペースノイドはコロニーで暮らしていくのに「お前ン家緊急時は兵器にするしお前らは毒殺するからな」前例を作っちゃうの思い切りが良すぎないですか。 『ジークアクス』だとジオンが勝っちゃったけどこいつらが権力持つの嫌すぎるし緑のおじさんが軍艦連れてきたのコロニーの人たちめちゃくちゃ怖かったと思いますよ。俺の家が地球にぶつけられる。ここらへんは聞きかじりやうろ覚えをもとに都合よく想像しているので「それは違うよ!」があったら許してください。あってくれ。
スペースコロニー、だいぶ住みたくない
でもマチュはコロニーで生きているんだよなぁ。
一応『ジークアクス』を観た感想文なのでそっちの話もするのですが、マチュの人格形成にすごい影響与えていると思いますコロニーの環境って。
「お前が立ってる地面の真下は宇宙空間だぞ。壁に穴空いたらお前吸い込まれて死ぬぞ」
「5年前にお前の家と同じものが虐殺兵器に使われたぞ」
「そもそもお前の家は作られた偽物だぞ」
そんな環境に放り込まれて閉塞感を覚えず生きていける人はあんまりいなさそうです。少なくともマチュは生きていけない側の人間で、同年代と比べてかなり過激寄りだと感じました。「宇宙(ソラ)って自由ですか?」とも言っていますが、つまりコロニーの空には自由を感じない、って意味ですよね。マチュが罠張ってでもニャアンを追い詰めたり横暴働く軍警にケンカ売ったりしたのは「これ以上“何か”にナメられてたまるか」という反骨精神の現れで、根っこには「ここではないどこかへ行けばこの息苦しさから解き放たれるに違いない」切実な願いがあるんじゃないでしょうか。巷で狂犬と呼ばれたりする思いきりの良さも、現状から脱出したくてたまらないだけの等身大な悩みから来ている気がします。
そんで本当にクランバトルに誘われて非日常に飛びこめる! ってなるとうじうじ悩んじゃうのがまた愛おしい。遠くの塾に通わせてもらっている辺り、コロニー民としてはそこそこ良い身分っぽいんですよねマチュ。お母さんが政府のお仕事してるっぽいし。ぼんやりとした現状への不満はあるけどなんやかんや幸せに育ってきたので、後ろに手が回るような世界にシラフで行きたくはないバランス。普通の少女感がすっごい。
「偽物の空に閉塞感を覚える少女が本物の宇宙に飛び出す」そういうアウトロー全開な青春ジュブナイルを『ジークアクス』から感じます。そのテーマの土台となっているのが閉塞感を象徴するスペースコロニーなんですね。『ジークアクス』でものすごく大切な存在な気がします。だったらいいね。
コロニー、幸せになれ
スペースコロニーの話に戻って早々にまとめますけど、彼からは悲哀を感じます。科学を極めた人類の叡智の結晶なのに重い物をぶつけるという最も原始的な兵器として使われる矛盾。宇宙移民時代の要でありながら実態は地球に依存しなくてはならない中途半端さ。ワクワクするようなSF設定が詰まっているのに、実際に住む主人公には良く思われていない……本当に哀しいですね。どうかコロニーには宇宙戦争の負の歴史から解き放たれて人類宇宙移民時代の明るいアイコンになってほしい。どうせなら私が旅行できるぐらいになってくれ。やっぱり逆さの都市を眺めてワクワクしたいんだ。スペースノイドには鬱陶しいのかもしれないけど、アースノイドにはロマンなんだ、逆さの都市って。