質感を表現する言葉の定義


艶、光沢、反射、透明感、映り込み。
質感を表現する言語がたくさん出てくるが、その言葉が意味する質感の状態・表現について認識が統一されているかと言えばされていないと思う。
では統一する必要があるかと言われれば、無いと思う。そもそも自己満足の要素が強い分野故に自分の評価軸がしっかりあればどんな言葉を使おうがどんな定義をしようが自由だと思う。

今回は自分が現時点で質感を見るときに注視しているパラメータを単語として定義しているものを紹介する。
もちろんまだまだ光学現象上説明できないことは山ほどあるし掘り下げはたりていないがここまで整理したことを書いてみる。

注)冒頭で書いた通り他人の評価軸・定義を否定するものではないし、これ以外は認めないとかでもない。


自分が塗面の質感を評価するときに主に気にしてみているところ。

<発色>
塗料の色がどの程度くすみがなく鮮やかであるか。これに加えてメタリック・パール色はどの程度見えやすいか

<レンジ>
色の明るいところと暗いところの差。明るいところ=光が当たった時の色としての明るさ。暗いところはその逆。
レンジが広いと陰影のコントラストがつき造形が良くわかり、そして深く見える。

<諧調>
色・陰影の移り替わりの細かさ・正確さ。
諧調が細かいとパネルの微妙な湾曲を認識できる。レンジと合わせて造形を視認できる要素。

<映り込み>
映り込みは二つの要素を確認している。
①映り込みの強さ
どれだけよく見えるか。強弱といった観点で確認する。

②映り込みの解像度
どれだけ細かく、奥行きがあり立体感があるか。
映り込みが強くても解像度が低く平面的だったり、
映り込みが弱くても解像度は高かったり様々。

映り込みの強弱は光源の強さでも変化するため評価時は極力条件を揃える。

以上が主に意識して確認している点。

ーー総称についてーー
上記の各パラメータの高い低い状態を総合して
○○感といった言葉で表現することがある。

<光沢感>
発色、レンジ、諧調のパラメータが高い状態。
この3つは基本一緒に上下する。発色良いがレンジは低いとかいうことはまず無い。
光沢感は明るさをイメージさせる単語だが、上記の定義だと明るさは基準とならない。例えばベース色が淡色であった場合<発色>が良くなると色は明るさが出てくるが、ベース色が濃色であった場合<発色>が良くなると色は暗くなっていく。だから自分は引き締まった濃い黒を見ても光沢感が強いと言う。
とはいえ総じて光沢感は晴天時等明るい時に確認されることが多く、どの程度クリアやコーティング・ワックス類に透光性があるかを試される要素というイメージが強い。

<マット感>
特に日差しが強い時にはクリアやその上のコーティング・ワックス類の透光性がとても高い感じで、反射による映り込みを感じないクリアが消えたような錯覚があり、その様をマット感と表記したりする。
光沢感が強い状態だとマット感も表現されやすいので光沢感=マット感は同義ともいえる。

<艶感>
映り込みの状態(強さ・解像度)を指す。
評価の仕方は好みの問題でもあり多岐に渡る。
艶感は光沢感と逆で曇り空、光源が弱い際に確認する要素のイメージ。

—相反要素—
自分の経験上映り込みの強さと光沢感に代表される発色・レンジ・諧調とは相反しやすい。映り込みが強く映る状態では相対的に発色・レンジ・諧調といったパラメータは視認しずらく映り込みが弱いとその逆になる。

一方で映り込みの解像度は光沢感と両立する。というのがこの記事を書いている段階の持論。

ボンネット:光沢感  サイド面:艶感。
色レンジが広いと例えばボンネットのプレスラインの明暗差が付き造形が深くなる。
諧調が細かいとボンネットのわずかな曲面が表現されやすい。
サイド面のように映り込みが強いほど上記が視認されにくくなる。


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ざっくりだけどこうやって定義付しておくと、この後の記事で「これをするとこの質感はこうなる」的な話をした際にこちらの言いたいことがつたわりやすいかなと思ったのでまとめてみた。












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