04|コンクリートブロック堰堤(長野県小谷村・第6号千国砂防ダム)
フォッサマグナの西縁をなす糸魚川静岡構造線に沿って流れる姫川流域は、たびたび大きな土砂災害に見舞われており、多様な砂防対策が図られている。その中のひとつに、400を越えるプレキャストコンクリートブロックを積み上げた砂防堰堤がある。
既存の重力式コンクリート堰堤の直上、つまり地盤支持力が期待できない堆積土砂の上に、緊急に堤体を構築することになったため、沈下による変形を許容する形式が選ばれたという。
角張っていたブロック表面が、滑らかに削られている。土砂を含む水流がひっきりなしに磨き続けてきたためだ。人工的で固い材料の代名詞のようなコンクリートも、自然の営みの中では柔らかく、少しずつ大地に還っていくのではないかと思わせる。
文・写真:八馬 智 HACHIMA Satoshi