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【備忘録】初めての同人誌づくりなのに挿絵入りでカバー付きで盛沢山にしちゃった話

みんな大好き薄い本。

いつか私も作ってみたい、私だけの薄い本!!

そんな憧れがありました。でも私には無理。描けないし書けないし。しかし、人生とは面白いもので。ひょんなことから、憧れは現実になるのです。

現在、印刷会社さんに入稿済みという段階ですが、いろいろ大変だったことをいい思い出にできるように、そして次回があれば同じ轍を踏まないために備忘録を残しておこうと思います。

同人誌作成に当たって、他の方のnoteには大変お世話になりました。有用な情報が盛りだくさんで、本当にありがたい。私のnoteは、どちらかというと日記みたいな記録と思っていただいて、有用な情報だけをさらいたい方にはおすすめしません。


始まりは突然――!

私はもともと、字書きと自称するのもおこがましいほどの、たま~~~にpixivに短い文を投稿して心優しい方からの「いいね!」をにやにや眺めるだけの女でした。本にできるほどの長い文なんて書いたことないし、ストーリーを思いついたとして、始まりから終わりまで書き終えるエネルギーなんてなかったのです。(書こうとするものがいちいち長編で身の程知らずだったのもある)

しかし、結果は約180ページの文庫本サイズ小説を完成させることができました!(挿絵など本文以外のページを除いてもたぶん160ページくらい)私がこの高みまで登ってこられたのは、仲間の応援と力添えがあってのこと。まさに友情、努力、勝利。

始まりは、とあるゲームの公式コミュニティで『映画告知風』のゲーム内スクショとちょっとした文章を投稿したことでした。フレンドさん(Eさん)に手伝っていただいて撮影、その後自分で加工して作ったのですが、自分の中でもなかなか満足のいく出来栄えで「この映画見たい!」「結末が気になる~!」とお声をいただき調子に乗っていた私。フレンドのEさんからもどんな話なのかだけでも詳しく聞きたい!と言われ、何を思ったのか私は……

・・・書くか。映画原作風小説。

と。これが始まりでした。

まさか小説書くとか言い出すなんて予想していなかったEさんは、とてもびっくりしていましたが私の方がびっくりですよ。

というわけで長編小説書いたことない私が、投稿したゲームのスクショと荒いストーリーを軸に、プロットづくりを始めました。

使用したツールについて

思えば当時、小説書きたいな~でもな~どのツールで書こうかな~と、書けもしないのにツールを調べていた私。

最初に使ってみたのは『Nola』。細かい設定付けができて、キャラメイクとか世界観設定とかめちゃくちゃ楽しい。しかし、設定を凝りすぎて本文を書く前に飽きる。挫折。

次、noteで他の方がおすすめしていた『縦式』というアプリ。スマホだけで同人誌ができるという魔法アイテム。原稿用紙みたいなところに縦書きで書き込める。もちろん目次なんかも作れてすごい。しかし、原稿用紙だと自分が書いた前後の文があまり見えない(見える範囲が狭い)のと、改行、改丁?だったり後から目次を付けるやり方がわからず前に進まない。挫折。

結局、前からちょっと使っていたiPhoneにもともとある『メモ』機能へもどる。横書きだけど思いついたときに思いついた場所だけバッと書ける。ただ、スマホなので「いっぱい書いた!」と満足して字数計算したり文庫本メーカーとかにかけると思いのほか進んでなくてショックを受ける。

最後に行きついたのが、Windowsに搭載されている『One Note』。ほんとにノートみたいにタグをつけて場面を分けられるし、テキストボックスみたいに文のまとまりを移動させたりするのが使い勝手がよい。本文を書きながらその横に、付箋みたいに裏設定のボックスを作ったり、ひっかかってる表現をメモしたりできる。清書にはできないけど、下書きとしてはこれ以上ない使い心地。これだ!

プロット、下書き、第1稿くらいまでを『One Note』で書き、体裁を整えるのはWordを使う。というのが私の今回の結論でした。今でもこれでよかったと思っていますが、Wordに移行するときに注意点が。後述します。

神絵師、降臨!

さて、プロットを書き始めた私ですが、ここで事件が起きます。小説づくりにノリノリで応援してくれていたフレンドのE氏がなんと、絵師を連れてきてくれたのです。絵師。それは我々字書きがいくら焦がれても手が届かない孤高の存在。神にも等しいその絵師は、本当に神絵師でした。

神絵師のKさん、なんと私の本の表紙を描いてくださるとのこと。まじか?しかもなんか、挿絵も描けるよ~みたいな言葉を発した。本が出来上がったら私は死ぬのかもしれない。Eさんと3人でボイスチャットで話を聞くと、どうやらK氏は今まであまり表だって作品を投稿したりはしてこなかったが、本の挿絵を書いてみたいという想いがあるらしい。で、挿絵も描いてくださることになった。……この話は本当に参考にしないほうがいい。(このあとリアルでも3人でお会いして精一杯神をおもてなししたつもりです)

印刷所選び

最高の出会いを果たした我々の前に、立ちはだかった壁。それはデータ入稿の細かいルールたちである。我々は全員素人だったのだ。用紙サイズ、塗り足し、トンボ、入稿形式。本を作るにあたって気を付けなければならないことは山のようにある。私は必死に調べた。そして悟った。

先に印刷所決めて印刷所のテンプレに沿ってやるのがはやいわ。

というわけで、数多の印刷所の中から、1つを選ぶ作業にはいった。正直、最初はどこがいいのか全く分からなかったし、決め方は人それぞれでいいと思う。

・小説向けのパックがある
・細かいこだわりを叶えてくれる
・お値段と質の口コミ

そんな感じのところを重視して印刷所サイトで見積りを繰り返し、今回は『STARBOOKS』さんにお願いすることに決めました。スターブックスさんは、ノベルオンデマンドというパックがあり、ページ数が多くても比較的お安いです。そして紙と箔の種類が豊富で、カバーをつけられる(しかも巻いてくれる)うえに、早期入稿するほどお安くなる早割がある。特にイベントに合わせる予定もなかったし、少部数のくせに箔押しカバーとかpp加工とか付けたので早割を大いに活用しました!入稿後の対応も丁寧で、とてもよかったです。ぜひまたお願いしたい!

気を付けたいミス

スターブックスさんは入稿マニュアルもとっても丁寧。テンプレートも豊富にあるので素人にも優しいです。テンプレート使ってもミスした私のような人にも優しい。ありがとうございます。では私がどんなミスをしたのか。

塗り足し忘れです。

とても初歩的なことです。ええ、わかってるんですよ。印刷がずれても絵が途切れたりしないように、実際の絵より3ミリずつ上下左右に多く描いておくんですよね。入稿マニュアルに書いてありました。EさんにもKさんにもお伝えしたし一緒にチェックしたはずなんです。でも……それでも塗り足しは忘れられてしまう。かわいそうな子!!!気を付けようね。塗り足し忘れ。

小説本文は塗り足しは不要なんです。ただ今回、挿絵を入れていますので挿絵の部分は塗り足しが必要になります。表紙も、カバーも塗り足しが必要です。神絵師のKさんは表紙の差分データまで作ってくれた。私は歓喜して勢いに任せてそのデータでポストカードを作った。塗り足しがなかった!そういうことです。怖い。塗り足しが怖い。

敏腕編集者、現る。

全員素人の同人誌作成は中盤に差し掛かりました。私の本文がひととおり最後まで完成したのです。え、お前書けないとか言っといてさらっと書けてるやん。とお思いでしょうか。いいえ。ひととおり、というのは本当に下書きみたいなもんなんです。とりあえず大まかな流れが書けて、ちょっとまだ最後の方はイメージしかないけどまあこんな感じっすよ!というのに4か月かかりました。これが早いのか遅いのかさえわかりません。私はヨロヨロとEさんに出来上がった原稿を見せました。Eさんはすごい速さでそれに目を通すと、赤ペンを入れ始めました。そう、Eさんは敏腕編集者だったのです。

Eさんは、ウェブ上でご自身でも創作をされており、とにかく読み取る力、物語の見方、表現力、何をとっても優れたお方です。私の小説も、「ここの描写が足りない」「ここの意味がとりにくい」と的確な指摘をくださって、本当に助かりました。そういうのって自分ではわからないんですよね。私はプロットをしっかり組みたい人だからか、プロットに沿うだけの物語になってしまうんです。登場人物がもっと自由に動き出すような、プロットを無視して暴れまわるような話の方がきっと面白いんです。プロットに沿ってサクサク進めてしまいがちだった私に、おいおいちょっと待てよ?っと言ってくれるE氏。あなたも神か…。そういう指摘ってたぶん、言いにくい部類のことですよね。人によっては言われたくないかも。でも私は素人ということもあり、大変ありがたかったです。得難い存在。

そんなわけで私は、Eさんの指導の下、もう一度最初から見直して修正を加える作業に入りました。Eさんに言われて見直すと、たしかにすごく『足りない』感があったんです。それで結局、1章分くらい追加で書き足すことにして、それでだいたい1か月くらいかけたでしょうか。大変な作業ではありましたが、楽しく書けましたし確実に良いものに仕上がったと今では思います。(EさんはKさんの絵の進捗管理とかもしてくれています。神)

この頃になると、3人でのボイスチャット打ち合わせを頻繁にするようにしていました。もともとは不定期でやっていたのですが、Eさんのご提案で週1で定例化することに。進捗の報告や、Kさんが絵を描くうえでの質問、修正の相談など。私としてはこの頃、こんなに大事になると思ってなくて気づいたら一大プロジェクトで、もはやこれは仕事じゃん?私に付き合ってくれているお2人はお賃金が発生するやつじゃん!と申し訳なさ6割とありがたさ4割くらいの気持ちでいました。私以外のお2人はなんと、私の好きなCPの住人じゃないんですよ。なんなら腐ってもいないんです。混乱するよね。私も。

さて、いよいよ終盤に差し掛かった同人誌作成。私は本編を書き終え、短編1本を追加で書き、Kさんもそれに合わせて追加で挿絵を描いてくれて、Eさんも詩の寄稿とキャラをイメージしたオリジナルドリンクレシピというおしゃれなものまで作成していただきました。Eさんはカバーデザインや扉、奥付もご担当してくださいましたが、本当に仕事が早いのよね。そしてクオリティもさすがのもの。まじで頭が上がらん。

挿絵の取り込み方、どうするか問題

ここで再び立ちはだかったのが、データ入稿の壁です。今回は挿絵をどうやってWordデータに組み込むか?という点。ちなみに本文の入稿形式はPDFです。WordをPDFにエクスポートして入稿。では挿絵はどうするか。

Adobeのライセンスをお持ちの方は悩む必要は全くありません。全部Adobeでできますたぶん。ない人は、私のやり方が参考になるかもしれません……。

まず、Wordに画像ファイルを挿入するやり方は画像が荒くなってしまうのでよくないです。これから行う作業の準備としてやっておくのはいいと思います。いわゆるアタリを付ける感覚で。ページ数を付けている場合は、とりあえず空白のページでもいいので挿入しておきましょう。挿絵のページは見開きの左側にしたかったので、調整して挿絵予定のページを作ります。本文全体をPDF化した後、『Cube PDF Utility』という無料のソフトを使って、画像ファイルを差し替え挿入します。画像ファイルはPDFにしなくてもそのまま挿入できました。(jpeg/pngなど)先ほども書きましたが、この画像ファイルには塗り足しが必要です。天地左右に3ミリずつ!

文章が数行左のページにかかっているけど、どうしてもここに挿絵を入れたい。そんなときはどうするか?とても悩みました。でも方法はあります。今回は、該当のページのみをWordからPDFにエクスポートします。それを『PDF-XChange Editor』という無料ソフトで開きます。上のリボンの「追加」というタブから「イメージ追加」を選択。ページ全体を範囲選択した後、画像ファイルを挿入します。リボンの「編集」から「イメージ」を選択し、画像の上で右クリックすると「整える」というプルダウンが出るので、その中から「最背面に移動」を選びます。そうするとあら不思議。いい感じになります(雑)。

正直、もっといいやり方がありますよね。きっと。でもこの状況で、他にやり方を思いつかなくて。悩んだ末のこれです。まあ次やるときは、完成した文章を絵描きさんにお渡しして、「ここに挿絵描いてください!」と言いたいですね。そんな余裕をもってできる日は来ないかもしれないが。ちなみに、お忘れかもしれないがこの場合にも塗り足しは必要だぜ。本文の部分はもともとぴったりサイズだが、該当ページだけ用紙サイズを天地左右+3ミリして、余白も上下左右+3ミリして、そのうえでPDF化する必要があるぜ!めんどいぜ!

いい方法があるなら教えてくれ…。Adobeに課金するしかないのかな?(Kinko'sさんなどでPCを借りると全部使えるのでそれも手かもですね)

新たな神、降臨!

さて、カバーが出来上がり、先に入稿しました。(塗り足しを忘れて再入稿しました。)カバーの下の表紙、どうするか考えてなかったわけです。表はカバーの表紙と同じKさんの絵で、題字なしバージョンにしました。裏は私の下手な落書き絵を載せてみるか~と思い立ったわけなのですが、ここで新キャラ登場です。それがリアルフレンドのY(絵描き)です。彼女は自分でも漫画の薄い本を執筆中の多忙な子なのですが、今回私のお絵描きのために一肌脱いでくれました。都内某所に集まった私たちは、YのiPadと『Clip studio』でお絵描きをすることに。初心者もいいとこなので、要介護されてきました。事前に用意した私のアナログ下書きの写真をもとに、クリスタで清書していきます。約1時間後。完成!わーいできた~!色も塗ったし完璧~!しかし、Y氏。「もうちょっと線とか直さない?」と自在にクリスタを操りはじめ、約2時間後……。私の落書きはハイクオリティに生まれ変わりました。ここにも神が。

またも神に救われ、表紙も完成しました。しかしひとつ、注意点があります。印刷所のテンプレを使ったのですが、今回は塗り足しを忘れないために薄く塗り足しの枠を書いておいたんです。そうすれば忘れないもんね!で、描き終わったらすべてのレイヤーを統合して入稿です。もうお気づきでしょうか。そう、塗り足しのガイド線も統合してしまった……。スターブックスさんにデータチェックをしていただいた際にご指摘いただき、修正して再入稿。事なきを得ました。

現在、データを修正して再入稿を終えたところでこのnoteを書いています。もう、同じ失敗をしないために……。再入稿したデータに不備がありませんように。

ここが本当の備忘録(Word書式設定など)

さて、最後にまとめとして有用なデータを置いておきましょう。

『One Note』の紹介をした際に触れた注意点についてですが、Wordの書式設定のことですね。ここにWordの設定を記録するとともに、声を大にして言いたいことがあります。書式設定は最初に。ルビふりと目次は最後に。

Wordの書式設定(ホームのフォント/レイアウトのページ設定から)

用紙サイズ:文庫サイズの場合、105mm×148mm

余白:上下14mm、内外13mm、とじしろ5mm

文字数:40(字送り8.5pt)

行数:15(行送り13.85pt)

フォント:游明朝(サイズ:8.5pt)※後からフォント変えるのは本当に面倒なので特別なフォント使いたいとかなら最初に選んで変えないのがいい。まじで。

ヘッダーとフッター:フォントサイズ6pt 位置 上下6mmずつ ※ヘッダーにページ数と章タイトル(奇数ページのみ)を入れた。

目次:Wordの「参考資料」から「目次」を選ぶと勝手に生成してくれます。章タイトルを見出しに設定しておく必要がありますが、便利です。目次もデザインにもこだわりたい場合は、これで各章のページ数だけ確認して自作するのもいいかも。

ヘッダーに記載がないページを入れたいとき:目次のページなどはページ数いらないのですが、ページによってヘッダーの有無を変えられませんので、面倒な作業を挟みます。いいやり方が他にあれば教えてください。

ページ数ありのWordデータを作る→「ホーム」から「名前を付けて保存」で「ヘッダーなし」とか名前つけて保存→そのままヘッダーに入れた文字を消す→上書き保存→ヘッダー不要なページを1ページずつPDFにエクスポート→ページ数ありの本文PDFデータを『Cube PDF Utility』で開く→ヘッダー不要のページを差し替えていく

ややこしい~~。これ見ただけでわかるのだろうか。伝わるのだろうか。とにかく私はこれを繰り返しました。

ルビ:フリガナふりたいとき。Wordで漢字を選択して「ア亜」とか書いてあるの(ホームにもある)を押すとルビが振れる。でもこれだけだと行間などによってはサイズがちょうどよくならないので調整が必要です。全部ルビを振った後に調整しましょう。Alt+F9を押すとルビを振ったところに、びゃーっと暗号のような文字が出てきます。¥up8とかなってる数字がルビのサイズを表しています。その状態で、「ホーム」タブの「編集」の中、「置換」を選択。「¥up8」を「¥up6」とかして置換するとすべてのルビのサイズを変えられます。最後はもう一度Alt+F9を押して終了です。

あとからフォントを変えると、行間や字送りなどの設定がズレることがあるだけでなく、ルビも振り直しです。面倒の極みなので最初にフォントを決めておきましょう。私は2回くらいやり直しました。

最後に

これで私の同人誌づくりの7割くらいは書き残せたと思います。いろいろ大変なことも多く、時間と労力をかけ、苦労してやっと出来上がる同人誌。でも出来上がった時の喜びは極上の甘露。本当に楽しかったです。たくさんの人々に支えられまくって完成させたわけですが、これを全部ひとりでやるなんてマジヤヴェエとしか言えません。(それが普通なんでしょうが)

今回作った同人誌は、2022年4月末のオンラインイベントで通販する予定です。もちろんサークル参加も初めてなので、商品の発送についてもいずれ備忘録として残しておこうと思います。

部数の決め方、紙の決め方、絵師さんに絵を頼むときのイメージの伝え方、依頼料、などなどまだ書き残しておきたいことがあるな……。力が余ってたら今度書きます。この記事が、未来の私、そしてこれから始めて同人誌を作る人の勇気につながることを願います。

ありがとうございました。

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Hachi-Octavius(はちこ)
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