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2024年マイベスト馬券

ここ一年で心に残ったベストエンタメコンテンツを全力でオススメする Advent Calendar 2024の23日目です。

https://note.com/lost_tickets/n/n56a1ca8df1d1

昨日はドウデュースのジャパンカップについての素晴らしい記事でした。2日連続で競馬記事です。今日もそんな話だと思った皆さん、ごめんなさい。ただし、今日は皆さんが疑問に思っている話を少しはできるかと思います。


さて、みなさん、競馬やってますか?


競馬って、いいですよね。

毎年数千頭が生まれ、世代最強を決める日本ダービー。
1年の最後を占うとも言われるグランプリ、有馬記念。
世界のホースマンの夢、凱旋門賞にブリーダーズカップ。

偉大な先祖たちから受け継いだ能力を開花させた馬たちによる数多くのドラマが、毎年紡がれています。

さらに、競馬場で500kg近くある馬体を雄大に動かして駆け抜ける馬たちのその迫力は、他では味わうことができません。

さらに近年では競馬場はかなりクリーンになりました。好調な売り上げを生かしたイベントやコラボ、有名人によるプレゼンター、そして充実する場内のグルメに子どもたちが広々と遊べる公園も。



…あの、そろそろいいですか?




マイベスト馬券2024〜〜〜!!!!!!!


競馬はスポーツですが、僕は競馬と馬券を別物として捉えています。そして競馬と同じくらい馬券が好きです。

もちろん、馬券はギャンブルです。

さて、馬券は一見してお金の動きがよくわからないようにできています。

皆さん、馬券はJRAとのお金のやり取りだって思ってませんか?

全然違います。

まずは馬券の仕組みを説明しましょう。
日本では、全員の馬券購入額から主催者(JRAや他の主催)が20-30%の取り分を得た後の残りを的中者で分けています。つまり皆さんがたくさん買った馬券のオッズが下がり、いわゆる人気の馬券ということになります。これをパリミチュエル方式と言います。

ここでのポイントは我々は馬券を買う時、誰とそのお金を獲り合っているのか、ということです。
JRAとのやり取りだと思っていた皆さんは今日から認識を改めてください。

そう、あなたの敵は隣人です。

ちなみに僕は馬券をたくさん当てている人ではないです。生涯収支はまだマイナスで、後述する考えに行きついた結果、少しずつ取り返している段階の人です。


前々段:馬券スタイルについて


まず皆さんが気になっているであろう疑問から行きましょう。


Q.ぶっちゃけ、競馬って儲かるんですか?


A.え~~~~~~、儲かりません。大抵の場合。


当たり前です。主催が20-30%持って行ったあとのお金を獲り合うのです。株なんかと違って期待値が100%を超える可能性はほぼありません。僕も生涯収支は余裕でマイナスです。

しかし、儲かる方法もあります。ヒントはパリミチュエル方式にあります。

そうです。

皆が買わない馬券を買うことです。


皆が買わない馬券・・・?つまりどういうことでしょうか。
ここでは2つの側面から考えてきたいと思います。

まず、馬の選択です。

これは予想の話です。皆さんも昨日の有馬記念で、大本命のドウデュースがいなくなったことで何を買うか悩みませんでしたか?

困った結果人気だし、ルメールだし、でアーバンシック(2.8倍)を買った方も、もしかしたらこの記事を見ているかもしれません。勝ったのは単勝10.9倍のレガレイラでしたね。

では単勝を例にして、どうやったら儲かるかを考えてみましょう。

例として、10回レースをやって1回勝てる馬がいたとします。その単勝が8倍の場合、期待値Eは8×1/10、つまり80%です。ではその単勝が12倍だったらどうでしょうか、E=12×1/10、つまり120%です。理論上は10回このレースに賭けることができれば、全て100円を買った場合1回当たって1,000円が1,200円になります。(今回は10回に1回勝てる馬が10回レースに出て1回勝つ確率を1としています。勝率10%とはまた違います)

このように期待値が1を超えるであろう馬券を買い続けることで、理論的にはトータルの回収率が100%を超えます。

しかし実際はどうでしょうか。まず10回やって1回勝つ馬というのは実際は存在しません。なぜなら、勝つ確率を正確に把握できませんし、そのような馬がいると事前に全員に分かれば、単勝オッズは10倍に収束するからです。(10倍を超えるとみんな買うし、10倍を下回るとみんな買わないため)

そのため、競馬で勝つためにはほかの人と認識に相違がある状態を作り出し、その認識の相違を利用して皆が買わない馬を選ぶ必要があります。馬券を本気でやっている人たちの中で行われているのは、高度な不完全情報ゲームなんですね。

その情報、よくファクター(要素)というのですが、これも数が多く、実際に使えるのかどうかは分からない代物も多いです。血統、調教、パドック、天気、馬場、コース、風、走破時計、ラップ・・・

自分がどのファクターを重視し、軽視するか。そしてその結果どの馬を選ぶか。馬券で勝っている人はそこがすごくシビアで、自分の選んだファクターに対する知見、感覚を培われているなと思います。

長々と書きましたが、つまり、アーバンシックは3回に1回以上勝たないとプラスにならない馬だったけど、レガレイラは10回に1回勝てれば元が取れる馬だったという見方ができたということです。そのように思える馬を、自分が重視するファクターをもとに探してみるのがいいかもしれません。

ちなみにそのファクターですが、本当に千差万別、好みの問題でもあると思っています。実際上にあげたファクターはそれぞれその道のプロが結果を出しているものです。個人的には調教やパドックはあまり分からないので、レース中の不利(前が詰まったとか、出遅れた)とかを重視しています。


次は馬券の選択です。


さて、馬を選んだあと、次は馬券をどう買うかで悩む人が多いでしょう。

困ったら単勝を買いましょう。

僕は今、本命の馬の単勝が4倍つくのであれば、ほぼ間違いなく単勝を買っています。はっきり言って、単勝が当たる確率は体感よりも高いです。昨日の有馬記念であれば15頭で走っているので、単純計算でも1/15、約6.7%の確率で当たります。これを高いと取るか低いと取るかは人にもよると思いますが、例えば同じ15頭立てのレースで馬連4頭のボックスを買ったとしましょう。この場合6通りの馬券を買うことになりますが、馬連の全通りは15×14/2=105通りなので当たる確率は6/105=5.7%になります。今回の有馬記念であればその4頭にレガレイラとシャフリヤールを入れていないといけません。結構難しいんじゃないでしょうか。

ということで、まずは単勝をオススメしています。特に初心者であれば、1番人気以外で、40倍以下の単勝が程よいと思います。

他にも、馬連とかワイドとか三連複とか、いっぱい券種がありますよね。

困ったら選んだ中で2番目の馬とのワイドを1点だけ買いましょう。

これだけでだいぶ違います。本命が1着に来なくても、2番目の馬と一緒に3着まで来たら当たります。これは結構体感として当たるレースが増えます。昨年までの僕はこれが分かっていませんでした。馬連も買っていいですが、馬連は本当に当たりませんので趣味です。当たったら大きいです。

なお、この馬券の点数の考え方は競馬芸人のキャプテン渡辺さんの本に教えてもらいました。なのであまりここで詳しくは書きません。馬券に興味がある人はぜひ読んでください。

ちなみに複勝は修羅の馬券です。僕はほとんど買えません。


前段:日本ダービー

今年はG1で大きい当たりを2本取りました。その2本目をマイベスト馬券に選びたいのですが、その思考に至るまでに説明しないといけないのが1本目の日本ダービーです。

まだ見てないよ!って方はまずは以下の単勝オッズを見てください。


netkeibaより

2.2倍のジャスティンミラノは皐月賞を、4.5倍のレガレイラはホープフルSを勝った馬。実力馬が順当に人気しています。

競馬の物語的には、ジャスティンミラノの鞍上、戸崎さんはダービーを何度も2着で逃しており、今回こそというレースでした。

このレース、僕の本命は⑤ダノンデサイル。上記の9番人気、単勝は46.6倍です。この馬は前走の皐月賞では直前で出走を取り止めました。どうやら足に痛みがあったようで、そこから立て直してこのダービーに出てきました。そのような過程は全員が知っていたので、怪我の状態を不安視された結果、オッズは上がりました。しかしここまでは皆が考えることで、同じように考えていたらなかなか勝てないのが競馬です。考えたのは、もしこの馬が万全になっていたとして、ダービーで実力馬相手にどれほど通用するのか?ということです。

物差しとなったのは、⑥コスモキュランダと⑧アーバンシック。コスモキュランダは皐月賞で2着となった馬です。ダノンデサイルはコスモキュランダと前年の京都2歳Sで一緒に走ってこの馬を負かしています。もちろんこの時にコスモキュランダは挟まれる不利を受けており、実力を発揮しきれたわけではないのですが、最後の脚だけ見れば遜色ないレベルにあると思いましたし、のちにホープフルSで②レガレイラと接戦を演じた⑬シンエンペラーにも肉薄しています。また、⑧アーバンシックには京成杯で勝利しています。この時はコースの外側を回らされる厳しいレースだったものの、後続を振り切っており、相当に強い内容でした。

そういったこれまでのレース内容を考えて、このオッズを見たとき、ダノンデサイルだけ全然売れてないな…と思って本命にしたのです。アーバンシックやコスモキュランダも候補だったのですが、出遅れのリスクがあるとなった時、それに見合うオッズだったのかを疑問視してしまいました。

結果は以下の通り。

結果的には良いポジションでリズムよく進め、インから伸びたダノンデサイルが勝ち切り。2着に戸崎さんのジャスティンミラノでした。

馬券はこんな感じですね。

相手はジャスティンとコスモ

これはかなり上手くハマったなという感じで、最初はこれをベスト馬券としようかなと思っていたのですが、昨日考えが変わりました。


マイベスト馬券:2024有馬記念


最初に書きましたが、競馬と馬券は別物です。

馬券の最大の敵は、競馬愛なのです。

好きな馬の馬券、買って応援したいですよね。思い入れのある馬同士の馬券を当てて、気持ちよくなりたいですよね。当たり前です。

今回のマイベスト馬券はそのような競馬愛を抑え込んで購入した馬券が当たった話です。

昨日の有馬記念、ポイントは2点ありました。

一つはダービー馬ダノンデサイルの出走。先の通り、あまりにも思い入れのある馬です。普段あんなに当たることって無いので、もう思い入れしかありません。しかも菊花賞では大きな不利を受けてそれでも6着とあまりにも強い内容でした。ジャパンカップの時点では、最強馬ドウデュースを倒して有馬を勝つのはダノンデサイルだ、その時単勝を握って一緒に喜びたいという気持ちがありました。

もう一つが主役のドウデュースの出走回避。本来この馬の出走でそれ以外の馬の単勝がかなり美味しく見えており、実際ドウデュースは自分の中で3番手評価だったので期待値があると思っていたレースでした。もちろん競馬ファンとしても、天皇賞秋、ジャパンカップと信じられないくらい強い内容で勝ってきたこの馬の秋古馬三冠も正直見たかったですし、それが見れれば馬券が外れても構わないという気持ちでした。ダノンデサイルがドウデュースに挑む構図に燃えていたんですよね。それがなくなってしまいました。

さてドウデュース不在となった中、1番手評価だったダノンデサイルの単勝はおそらく2番人気の4倍ほど。1番人気アーバンシックは3倍ほど。当初の予定通りダノンデサイルの単勝にしようかとも思ったのですが、このメンバーでの4倍は勝負するには心もとないオッズです。そこで従来の2番手評価、レガレイラに行きつきます。

この馬は2024年ひたすら運が無かった馬です。

  • 皐月賞→スタートで後手を踏み、最後方から上がり最速で届かず

  • ダービー→内枠から後方、最後方から上がり最速で届かず

  • ローズS→最後方から大外を回して上がり最速で届かず

  • エリザベス女王杯→直線で進路を確保できず届かず

とは言え皐月賞もダービーもラストの1000mの脚は素晴らしく、最後の脚比べなら世代随一の能力があります。特にホープフルSではジャパンカップでドウデュースを追い詰めたシンエンペラーに勝利している馬です。そんな能力がある馬がエリザベス女王杯のようにある程度ポジションを取れるようならばチャンスがあると思っていました。単勝オッズは11倍。正直つきすぎている、6倍くらいが妥当ではないかと思っていました。


どちらを上に取るか、悩みました。悩みましたが、今年は何としても勝ちたかった。これまで何度馬券で反省してきたでしょうか。二択のうち人気している方を買って、人気していない方が来たときの気持ちを考えてください。逆の100倍しんどいです。ちなみにどちらも買う選択肢はありません。

結果的に、レガレイラを選びました。相手がダノンデサイル。

結果はご覧ください。

ということで馬券はこんな感じに当たりました。


回収率450%

最初のコーナーで前方につけた時点でかなり期待していましたし、最後は戸崎!ってテレビに向かって叫んでました。(レガレイラの鞍上は戸崎さんだったのです!)

正直、上の選択は間違っていなかったのですが、馬券には反省点もあります。特に三連複、三連単の相手にシャフリヤールを入れるべきか、ジャスティンパレスを入れるか悩んだ結果人気しているジャスティンパレスを入れました。さっき言ったことが現実になっています。人気していない方を入れなさいという。

あと、馬券の組み方は積み上げ式になっています。場合によっては全部当たる可能性のある馬券で固めています。逆にレガレイラが来なければ1円も帰ってきません。それでいいのです。


ということで今年のマイベスト馬券は、思い入れを捨てて勝利を追求した結果手に入れたレガレイラ単勝でした。


皆さんも思い入れと全く関係の無い馬券を当てて、悲しき馬券マシーンなりましょう。



あとがき

馬券で勝ちたい、というのは想像以上に難しいと感じています。

馬券は、放っておくと期待値が80%に収束するギャンブルで頑張って110%を取るものなので、年間に100万円賭けたとしてもトータルのプラス額は10万円にしかなりません。つまりこれで500万とか稼ごうとすると、年間5000万とかの賭け額になってしまうんですね。これがまず現実的ではありません。

さらに、安定して110%を取れることなど無いので、資金が必要になります。ほかにもいろいろあるのですが…

それはそうとして馬券という民衆心理と向き合うゲームは非常に楽しいので、皆さんにも楽しんでいただきたいなと思う次第です。100円から遊べますからね。

馬券に関してはさっきの本以上のことは特にしていないのですが、予想については、実はインターネットに良い教材が結構転がっています。

これはnetkeibaの予想家たちの予想なんですが、未来のレースの予想はもちろん有料なものの、過去のレースは大半が無料なんですよね。

最近はAI予想も主流の中、アナログも使用して予想し、このように公開したことでオッズが下がり、それでも高い回収率を残している方の予想法は正直勉強になりますし、読み物としても面白いです。

一つ思考をトレースするという意味でも読んでみて良いかなと思ってます(自分はよく読んでます)

自分に合う予想家さんがいれば、その人の本も読むとか。

後はレースの振り返りですね。

netkeibaのスーパープレミアムなら読めるはずのこのコラム。
いつもお世話になっております。

netkeibaに新設されるマスターコースでは馬ごとのラップも出るようです。これは上級者向けですが、お金がかかるデータは使う人が少なくなるので、結果的に情報の優位性を取れます。その辺が解析できる方にはいいかも。


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