ツツジの悪夢
ツツジっておどろおどろしい感じがする。
という人は少数派だと大人になって気がついた。私はその少数派だ。
なんていうか、花の色がどぎつい感じがしちゃうんだよね。
と思いつつ、他の花なら気にはならぬ。
思い出した、ある光景。
それはかくれんぼうをしていた5月。
神社にはたくさんのツツジの花が咲き乱れ、私は埋もれるように花の裏に隠れた。
友だちは私をなかなか見つけられず、ドキドキしながら潜んでいると。
突然がさりと音がした。
いつも見慣れたノラ猫が神社にいる鳩を加えて私を睨んだ。
いつも見る眼差しとは全く違うケモノの目や血まみれにぐったりした鳥の姿に。
私は耐えかねて大声をあげて逃げ出し、かくれんぼうは終わったのだった。
私が鮮やかな桃色の裏に赤い血を見つけてしまうのは、その日のことが頭の中に潜んでいたからかもしれず、私は未だにツツジからは目をそらしてしまうのである。
見てはいけないものの入口のような気がして。
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