かたつむりと小人のキキ

今日の小雨の分。

「君がお嬢さんを連れているとは珍しいな。どこに行くんだね?」
カエル紳士はまぶしそうにかたつむりを見上げた。
「連れているわけでもないんだけど…どこに行くんでもないし…」
とかたつむり氏。

「あのぉ、私アジサイの丘に行ってみたいと前から思ってたんだけど、かたつむりさんならすぐに連れて行ってくれるでしょ?」キキはこれはチャンスとかたつむりのカラをトントンと叩いた。

「うーん。ぼく実際はアジサイの葉っぱは食べられないんだよね…でもまあ、場所ならわかるよ」
カエル紳士はちょっと得意げに胸を張った。
「アジサイの丘なら、私でもわかります。よかったらお連れしましょうか?」
「ホント!ありがとう!」
カエル紳士はかがむと言った。「さぁ、背中にどうぞ」

キキはいいのかなぁとつるつるんとしたカエル紳士の背中を見つめた。
しっとりした背中に触れてから、おずおずとキキは首に腕を回した。

「よし、出発ですぞ!」
カエル紳士がいきなりピョンピョンと飛び跳ねたものだから、キキはわぁと言いながら必死でつかまった。

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