学芸員課程の話をしよう(詳細編)
学芸員の取得条件についてはこちらのnoteをお読みください。
前回では学芸員の取得方法について書いた。今回は博物館とは改めて何か、実際にどう受けていたか、学芸員の現状をわかる範囲で書こうと思う。公開が遅くなってしまったのは読書が進んでいた証拠というべきか。
博物館とは?
まず、博物館とは何か、博物館法における定義と施設は以下の通りである。
定義
施設一覧
総合博物館
歴史博物館
美術博物館
科学博物館
動物園
水族館
植物園
動植物園
野外博物館
理系単科大学でも学芸員課程が設置されているのは、博物館法では科学博物館や動物園なども含まれており、科学系や生物系の専門知識が必須のためである。
それぞれについて簡単に説明しようと思う。
総合博物館
地域の自然環境、歴史、くらしや美術などを展示している博物館。
東京・京都・奈良・九州にある国立博物館、東京大学総合博物館(東京都)など
歴史博物館
歴史をテーマにした博物館。郷土資料館、民俗館、文学館も含まれる。
井上靖記念館(北海道)、伊賀流忍者博物館(三重県)など
美術博物館
美術館や彫刻館、記念館のこと。最近はマンガやアニメ関係の施設もある。
MOA美術館(静岡県)、ニンテンドーミュージアム(京都府)など
科学博物館
自然史博物館や科学館、天文館やプラネタリウムが該当する。
福井県立恐竜博物館(福井県)、JAXA筑波宇宙センター(茨城県)など
動物園、水族館、植物園、動植物園
生き物も展示物という観点から該当する。博物館法の規定で学芸員の配置が必須になっている。
よこはま動物園ズーラシア(神奈川県)、沖縄美ら海水族館(沖縄県)など
野外博物館
歴史的建造物や建造物の博物館が該当する。寺院や世界遺産も。
明治村(愛知県)、姫路城(兵庫県)など
学芸員で学ぶこと
学芸員で受講する内容は以下のモノである。基本的なことから経営手法、資料の扱い方など単位数は少ないもののカバーされている。
博物館実習に関しては長くなるため、需要があれば思い出せる範囲で別に書こうと思う。
通常、大学では「X年にこの単位を取る」と決められているが、科目履修生の場合はそれは関係ない。博物館実習と何かが2年次でないと取れないこと以外は、どれも1年次で取っていいとなっていた。
また母校の場合は学芸員+選択必修の教養2科目以上が必須で、日本文化に関することと美術史を1年次で受講した。本当は考古学か民俗学をやりたかったが、カリキュラムの時間割の都合上無理だった。
なお、生涯学習概論は司書ですでに履修済みだったため学芸員では取っていない。
学芸員の現状について
学芸員は研究者という側面も持ち合わせている。本来の研究分野(文学や生物学など)に加え、生涯学習や学術という意味での学芸員専門科目を習うのはこのためである。
司書なら図書館情報学があるが、学芸員にこれに相当する学問がないのもことためだと考えられる。ちなみに、学芸員の主任教授の専攻は近世日本美術である。
採用試験においても、条件として「XX学を主専攻にしていた人」、「XX学において、⚫︎⚫︎(時代などの詳細項目)を主専攻にしていた人」と書かれることが多い(例えば歴史学において江戸時代、など)
上記に加え、非正規も正規も全国的に採用数が少ないこともあり、一度募集をかけると新卒、既卒、非正規、経験者、研究者問わず全国から一斉に募集がかかり相当な倍率になってしまう。ここで優位になるのは実務経験者になってしまうのが現状だ。
新卒で…となると、最低限、修士まで行った方が安全だと思われる。ここには学会的なこと、論文執筆の場数的に学部より経験があるという理由が含まれている。新卒採用されたらかなり貴重だと思われるが…
最後に
覚えている範囲で学芸員に関することを書いた。
一部、変更や確認のために参考文献などを用いて書いたものの、万が一、間違いなどあったら気軽にコメントしてほしい。
参考文献
前述したリンクの情報に含まれるため省略