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#diary #20191013 #イカの不在
仕事で福岡に来ていた。本来であれば12日(土)夜のフライトで羽田に戻るはずが、台風の影響で文字通り雲行きが怪しくなり、前もって振り替えておいた13日(日)AMの便も金曜の夜には欠航が決まり、なんとか13日(日)夕方の便を確保した。
さて約半日時間ができた。どうしようか。
元々が旅好きで、かつ平日は毎日のように運転しているから1時間前後の運転であれば全く苦にならない。むしろ電車やバスにガタゴト揺られるより、背中や腰が痛くならなくて好きだ。古い車両のシートに染みついた臭いで気持ち悪くなることもない。
というわけで急遽レンタカーで行けるところを探す。九州は見所が多くて素晴らしい所だけど、今回は時間が限られているからそう遠くまではいけない。県内だと未訪問の小倉や一度行った東峰村…そういえば最近見た映画『悪人』で呼子のイカを食べてたことを思い出し(映画の中の2人はほとんど食べてなかったけど。もったいない)、足を伸ばして見ることにした。車で1時間くらいみたいだし。
突然ですが、私の旅のモットーは
「私、(食に関しては絶対)失敗したくないので」
である。今回は仕事がメインだったからお座なりになってたけど、プライベートの旅であれば数ヶ月前から下調べをして、まず食事処から段取りしていくのが私の旅である。周りには呆れられるが、次いつ来られるか分からない旅で1日3度のチャンスをフルに活かそうと思えば、そうせざるを得ないではないか。
思えば、今回の福岡旅行はこの「仕事だからお座なり」が大きな躓きだったのだろう。実は前日12日(土)の夜は、仕事終わりでくたくたに疲れていたにも関わらずどこも予約していなかったせいで、空腹を抱えたまま中洲の橋の上でめぼしいお店数件に電話をかけまくるという事態に陥っていた。行きたかったお店はどれも人気で、当然のことながら土曜のピークタイムに飛込みの1人客が入り込む余地はなく、結果的に某有名ホテルのカルボナーラという「なにも福岡で食べなくても」という晩ごはんになってしまったのだった。ちなみにカルボナーラはフォークを持つ手が震えるほど美味かった。調子に乗ってワインも飲んだ。
話を呼子に戻そう。
ドライブは快調だった。台風の影響で風は強かったが、澄んだ秋空とコバルトの海が美しかった。今は海なし県に住んでいるから、絶え間ない波がなおのこと美しく見えた。
呼子に着くと結構な人出。そうか世間は3連休中日だったのかと今更気付く。観光地のランチ人気店は、供給<<<<<需要になると2時間待ちなんてのもザラではないのは30歳を過ぎれば知っていることだ。そして人気店以外は、残念ながらかなり残念クオリティになってしまうのも肌身に染みている。さらに言うならその2時間を潰すのが至難の技なのも痛いほど分かっている。あぁ、旅先の貴重な2時間。
なんてことを思いながら車を進めるとどうも様子がおかしい。数軒ある活イカ屋さんのうち大きめの店舗が、11時台なのに人気がない。一度駐車場に入った車が出てくる。不穏な空気である。
今回の目的のお店『河太郎』さんに到着すると案の定激混みであった。「あぁ朝イチで馳せ参じて開店前から並ばなくてはならなかったのに」と朝ごはんに駅ビルでのんびりお粥をすすっていた自分を責めた。それでもと思い待ち時間を確認すると「1〜2時間ですかねぇ」とのこと。そして
「今日は活イカないよ」
…えっ、今なんと?
「時化で船が出なくて、活イカないの。それでも良ければ」
…そうか…大自然には勝てない。席についてるお客さんも、どうも揚げ物ばかり食べている様子。それはそれで美味しそうだけど、あの透き通るようなイカと対面したかった私は今回は諦めて撤収することにした。せめて、と思い隣の売店でイカシュウマイを買い、車内で食べた。
後でわかったことだけど、ここ何日か船が出ず全くイカが上がっていなかったらしい。河太郎さん以外の飲食店はほぼ休業で、お土産物屋さんがイカやアジの干物を売っていた。映画『悪人』のとある大事なシーンでズームしていった、呼子のイカのあのまっすぐな瞳に出会えるのはまだ先になりそうだ。
そういえば猫を見なかったな。いてもおかしくなさそうな街だったんだけど。
店先でイカを洗濯物よろしく大量に干し、グルグルと勢いよく回転する“スルメマシーン”に出会えたのが今回のハイライトでした。おわり
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