非日常的空間「ヲルガン座」
広島市の原爆ドームの近くにずっと気になっていたお店がある。タイトルにも書いたヲルガン座というお店だ。
古いレンガ塀のレトロなビルにある雰囲気たっぷりの外観。その名前から小劇場かイベントスペースだと思って一度も足を踏み入れたことはなかった。しかし確かに劇場やイベントスペースもあるけれど、2階は飲食店としても営業していると知って先日ついに行ってみた。
もうね、入口の看板の時点で雰囲気たっぷり。きらびやかでそれでいてレトロで、そんな雰囲気がたまらない。階段を登って入口の扉を開けると、そこは別世界のような空間だった。
インテリアのひとつひとつがレトロで個性的だ。昔祖母の家にあったような玉のれんがあったり、かと思えば鹿の頭のオブジェがあったり。奥にはアップライトピアノが置いてあって、本棚には年季が入った文庫本や雑誌がぎっしりと並んでいた。雑誌のラインナップに「ガロ」があって、ああなるほどねと妙に納得した。(ガロというのは廃刊になった漫画雑誌でサブカル系のバイブルみたいな伝説の雑誌)
レトロで耽美で少し妖しくて、洋画に出てくる昔の外国のサーカスのような独特の雰囲気だ。こういう雰囲気が好きな人にはたまらないだろう。もちろん私は大好きだ。私の勝手な偏見だけれども、映画「ロッキー・ホラー・ショー」の世界観が好きな人なら好きだと思う。
私が来店したときには他にお客様がおらず、予約が入っているソファー席以外ならどこでも座ってよいとのことだった。
席はカウンターの他にロフト席とロフト下の席があった。私はロフト席の秘密基地感が好きなのでロフトの上と下のどちらにするか迷ったが、今回はより雰囲気のあるロフト下の席に座った。
席の近くにあった照明がより秘密基地っぽくていい。席に着くとメニューが運ばれてきたのだが、このメニューがめちゃくちゃかわいい。革の表紙に木彫りのフクロウの彫刻が貼り付けてあるのだ。
注文するものは既に決めていた。8月限定メニューの「巣ごもりタコライス」だ。ウェブサイトで発見して、そのあまりのかわいらしさに、これを注文しようと決めていたのだ。
かわいい。とてもかわいい。
タコライスの上はカリカリに焼いたチーズだ。オーダーしてしばらくすると、キッチンからチーズの焼けるいい香りが席まで漂ってきて料理が運ばれてきた時点でかなり食欲がそそられていた。かわいすぎて食べるのがもったいないという思いもあったけれど、食欲には勝てずおいしく完食した。
フードメニューは他にもおつまみになりそうな一品料理や日替わりプレートがあって充実していた。パフェなどのスイーツも充実していて、次回は入口看板のところで見かけたソフトクリームを食べてみようと思う。
店を出るとさっきまでいた空間が非日常的過ぎて、夢だったんじゃないかと思ってしまうほどだった。
またひとつ素敵なお店に出会えた。
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音楽喫茶ヲルガン座
広島市中区十日市町1丁目4-32天国ビル2階
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