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悔しさバネに「史上最難関」の役と真っ向勝負 ~インタビューリレー⑩ 直綾菜~

ゲスト紹介

直 綾菜
神戸市看護大学看護学部3年
演劇への情熱に溢れ、常に向上心を持ちながら稽古に臨む姿は、他のメンバーにとっても良い刺激となっている。『夢中』では、芸術というコントロール不可能な存在と共に生きていく苦しい役どころを演じる。


本編

〈演劇関連〉 ~演劇好き・公演を観に行こうと思っている人へ~


ー今回の役どころ/スタッフの仕事を教えてください。

吉田理沙役/小道具
画家の女性を演じます。


ー今回の役は、自分にピッタリだと思いましたか?それとも、全然違う!という感じですか?

生きている世界は異なる人物ですが、全然違う!とはなぜか思いませんでした。彼女の悩みに共感する部分が大きかったです。


ー脚本を初めて開いた時、どんなことを思いましたか?

ストーリーの複雑さや登場人物の多さ、脚本自体の長さにも驚き1度読んだだけでは内容をつかみきれませんでした。「なんだか、ものすごい脚本!!」と思いました。色々な場所で色々な人物たちのストーリーが動いていくところが面白いなと思いました。


ー『夢中』の魅力や見どころは何ですか?

もう全部!なんですけど、やっぱり役者の演技にぜひ注目して観ていただきたいです。今回は出演者もたくさんいるので、お気に入りのキャラクターを見つけてみてください♪私が演じる理沙にも見せ場のシーンがあるので、注目してくださいね(^▽^)/


ー大学以前に演劇の経験はありましたか?

ありませんでした。


ー演劇を始めたのはなぜですか?

大学からは演劇部に入ろう、と実は高校生のときから決めていました。
私は戦争や事件・事故などの話題にとても関心があります。そして同じ悲劇や過ちを繰り返さないためにも、風化させず学び続けることが大切だと思っています。しかしこれらの話題には関心がなかったり、怖くて知ることを避けたりしてしまう方もいると思います。私もそうでした。
演劇には大きな影響力があります。舞台美術や衣装を駆使することで、時代や現実を超えてありのままの情景を舞台上に表現することができます。
何かについて「知りたい」と思ったとき、分厚い本を読んだり、専門家の講義を聞きに行ったりするにはかなりのエネルギーや勇気が必要です。でも演劇を観ることなら、趣味の延長として楽しみながら、誰でも気軽に行うことができるはずです。それにも関わらず、演劇には一瞬で人々の記憶に強く残り続ける力があります。
自ら学び続けながらも、今度は自分が得たメッセージを誰かに伝えられるような人になりたい。それを実現するための演技スキルを身につけたい。
この思いから私は演劇を始めました。


ー役作りはどのように行っていますか?

その役の名前の由来から考えます。台本に書かれていない場面で何があったのかを考えてノートに詳細な様子を小説のように書き連ね、その場面を家で演じてから稽古場に行くと、その経験によって生まれてくる感情が湧き出てくる感覚がありました。あとはなるべく役の生活に自分の過ごし方を近づけます。役の気持ちになってその役としての字で日記を書くこともします。いつもそのノートと台本はセットで持ち歩いており、役作りのメモはもちろん、稽古期間に自分が感じたことやいただいたアドバイスも記録している大切なものなので本番直前にもよく見返します。


ー公演をやる時、動き出してから本番が終わるまでどんな気持ちですか?

もう始まってしまうと公演のことしか考えられなくなります。気がつくと役のことを考えてしまいます。プライベートと切り離して考えるのは苦手なのかもしれません。


ー役作りは外枠から作るか内から作っていくのか、どちらですか?

これまでは内から作る意識が強く、感情ベースで考えていることが多かったように感じます。しかし今回はそれだけだと対応できないシーンに直面し、外枠から考える方法にもトライしています。ですがそうするとまた壁にぶち当たってしまったので、もう1度内からのアプローチにも取り組んでみます…(笑)両方大切な方法ですね。


ーはちの巣座の強みは何ですか?

本気度です。大学生のサークルだからほとんど演劇せずに飲み会したり遊んだり…ではなくガチで演劇をやっています。演劇に真剣に取り組みたい方にはとてもおすすめできます。もちろん初心者でも大丈夫です。私も演劇未経験ながら他大生1人で飛び込みました(笑)


ー自分の部署のここが好き!教えてください。

役者の魅力を語ります!
普通に生活しているだけでは味わえないことをたくさん経験できるのが役者の魅力です。
まずは何と言ってもステージに立ってライトを浴び、大勢のお客様に見ていただけるところ。稽古期間は自分の演技に納得できず悩むことも多いですが、それを乗り越えてステージに立ったときの達成感は最高です。本番のステージから見た景色と、お辞儀をして背中から受けた拍手の音は今でも本当に忘れられません。演技を通し、お客様に自分の表現したいメッセージをお伝えすることができたときの喜びはとても大きいです。
また役を通して自分以外の誰かについて知り、実際その役になりきれるところも他の部署にはない大きな魅力です。稽古をしながらシーンごとの感情を突き詰めていく中で、その役に対する理解が深まります。一方で、私はこんなに大きな声を出せるんだ、こんな気持ちになるんだ、という風に自分に対しての発見も多く面白いです。


ーこれからどんな作品をやってみたいですか?

戦争など歴史的事実を描いた作品、時代背景が現代とは全く異なる作品をやってみたいです。あとは大好きなサスペンス♡


ーどんな役をやってみたいですか?

目や耳が不自由な役。サイコパスな殺人鬼など犯人役。


ー同期のここは直してほしい!教えてください。

最近あんまり話せてないなぁ。もっと仲良くなりたいよー!


ー台詞はどうやって覚えているんですか?

台詞を覚えるという意識はあまりなくて、とにかく何回も読む(音読でも黙読でも)、何回も稽古することで自然と頭に入っていることが多いです。でも通し前や覚えているか不安な部分は台本の上にノートを重ねて自分の台詞を隠しながら確認します。


ー影響を受けた演劇はありますか?

ミュージカル「ひめゆり」
どんな端役でもいいのでいつか出てみたい!沖縄戦当時のひめゆり学徒の様子がリアルに伝わってくるストーリーで、初めて舞台を観てあんなにも涙が出ました。重く暗い雰囲気もありますがミュージカルなので常に音楽が流れていて観やすかったです。誰もが1度は観るべきミュージカルだと思います!まさに私がやってみたい作風です。


ーオフの日はどう過ごしていますか?

友達と遊んだり、1日中バイトしたり、お昼まで寝たり、ピアノ弾いたり。色々です。


ー演劇を続けるモチベーションは何ですか?

夢があるからです。あとはずっと悔しいからです。ここでは終われない!という気持ちでずっと続けています。


ー演劇をやっていると、うまくいかなくて落ち込んだり、挫折したりすることもあると思います。どのように対処していますか?

対処しきれず派手に落ち込むことも結構多いんです(笑)悔しくて泣きたくなる瞬間も…「悔しい!」という気持ちは普段から声に出すことが多いです。その音声を自分の耳にも聞かせることで、その気持ちをバネにまた頑張ろう!と自分を奮い立たせます。


ー稽古場の雰囲気はどのように感じていますか?

「あ~これこれ!」と懐かしさを感じています。私自身40期の先輩方とは、はちの巣座創設40周年記念公演「なつのはじまり」の際に深く関わらせていただいた経験があります。当時私は1年生で演劇を初めてまだ4か月、そんな中主役をいただき先輩方についていくのに必死でした。今回の稽古場にいるとそんな当時の感覚がよみがえりつつあります。厳しい意見も飛び交いますが、全員が作品の成功のために真剣に取り組んでいる雰囲気が大好きです。最も自分の成長を感じられる稽古場です。あのとき1年生だった私も今では3年生になり、今回は1年生から4年生まで色々な人が集まった座組です。「なつはじ」をともに戦った懐かしいメンバーから、今回初めて出会った後輩たちとの交流まで楽しんでいます。


ー舞台人として大切にしたいことは何ですか?

「あれでよかったのかな」と思い続けること。舞台が好きな気持ちを持ち続けること。


〈文化談義〉 ~芸術好きのあなたに~



ー好きな役者、芸能人はいますか?

吉田羊さんです。


ーもし他の芸術系表現系部活をやるなら、何をやってみたいですか? 

中学までチアダンスをしていたので、また久しぶりに本気ダンス!したいですね。あとは14年間続けているピアノも得意で、いつかオーケストラで演奏するのが夢です。


ーおすすめの本を紹介してください!

最近読んで1番面白かったのは『蜜蜂と遠雷』
ピアノコンクールの物語です。「本の中に音楽が鳴っている」という感想を聞いたときは「どういうこと!?」と思っていましたが、読んでみると本当に音楽が流れている小説でした。誰がコンクール優勝を手にするのか、最後までドキドキしながら読みました。上下巻ある長編小説にもかかわらずあっという間に読み切ることができました。


ーおすすめの映画/ドラマを教えてください!

ドラマ『ナオミとカナコ』
好きすぎて去年はちの巣座で舞台化までしちゃいました(笑)


〈大学談義〉 ~大学トークをしよう~



ー大学のお気に入りスポット、景色が綺麗なところを紹介してください!

時計台。ハーブ園。渡り廊下。エントランスからの景色。


ー大学生に必要な力とは何なのでしょうか?

適度に手を抜く力(これができなくて困っています…)。
効率よく乗り越える力。友達と連携する力。


ー神戸市看護大学に入ってよかったことは何ですか?

素敵な友達、尊敬できる先生に出会えたこと。
憧れていた救急・災害医療の世界について知識が深まったこと。


〈その他〉 ~演劇に全く興味のない人もどうぞ!~


 
ー尊敬している人は誰ですか?また、その人から受けた影響を教えてください。

イモトアヤコさん。世界中で登山に挑戦し続ける姿、辛いときにあと1歩踏み出す姿にたくさんの感動をいただき、私もそんな人間になりたいと思うようになりました。自分のやりたいことには年齢や経験に関わらず挑戦し、最近ではダンスを始められたそうです。ブレないかっこいい姿も尊敬しています。


ー受験勉強はしんどかったですか?

超しんどかった!!本当に辛かったけれどとても良い経験でした。


ー自分の好きなところ、嫌いなところを教えてください。

真面目すぎる自分の性格が、大好きだし大嫌いです。
やる!と決めたらとことん努力して最後までやりきる姿勢は私の強みだと思っています!


ー演劇以外の活動について教えてください。学部では何を研究していますか?

看護師になるための勉強をしています。


ー趣味/息抜きの方法を教えてください。

1人カラオケして歌う!思い切りピアノを弾く!


ー座右の銘は何ですか?

ダメだと思ったそこからがスタート。


ー好きな食べ物は何ですか?

唐揚げです♡


ー住んでみたい場所はありますか?

Tokyo、New York、Los Angels!


〈最後に〉


ー改めて、公演に向けた意気込みをどうぞ!

ブランクもあるので緊張していますが、自分の中で今までとは少し違う覚悟を持って挑んでいます。史上最難関とも言える役ですが、私らしく必ず生き抜いてみせますのでお楽しみに。そして40期の先輩方と作り上げる最後の公演、私自身も思う存分楽しみながら全力で駆け抜けたいです。あなたと劇場でお会いできることを楽しみにしています!


ーあなたにとって、演劇とは何ですか?

ずっと大切にしたいもの!


神戸大学演劇研究会はちの巣座
40期卒業公演

『夢中』
3/1 11時~、16時~
3/2 11時~
神戸大学シアターD300にて上演。
500円+カンパ制です。
ご予約はこちらから可能です。




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